【テクノロジー解説】核融合ってなに?太陽と同じしくみで、1億5,000万℃のプラズマを磁石で閉じこめる。日本もふくむ34か国がフランスで世界最大の実験装置「ITER」をつくり、50MWの加熱から500MWを生む10倍をめざす【ITER】
太陽の光と熱は、水素の原子核どうしがくっついてヘリウムになる「核融合」から生まれています。地球でこれを起こすには、重水素と三重水素を1億5,000万℃にして、ドーナツ形の容器の中で強い磁石でプラズマを閉じこめる「トカマク」という装置を使います。日本、EU、中国、インド、韓国、ロシア、米国などの34か国が、南フランスで世界最大のトカマク「ITER」を建設中。入れた加熱の10倍、50MWから500MWの核融合出力を出すことをめざします。ただしITERは実験装置で、発電はしません。

プレ男「核融合は夢のエネルギー」ってよく聞くけど、原子力発電とはちがうの?

メル美太陽と同じしくみ、って聞いたことがあるよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回は核融合です。国際的な核融合実験炉「ITER(イーター)」の公式サイトをもとにまとめました。
太陽は「核融合」で光っている
ITER によると、
- わたしたちが光として見て、あたたかさとして感じているものは、太陽の中心で起きている核融合の結果です
- 太陽の中心は約1,500万℃。水素の原子がものすごい速さでぶつかり、原子核どうしの反発する力をこえてくっつき(融合し)、より重いヘリウムになります
- できたヘリウムの重さは、もとの原子の重さの合計よりほんの少し軽くなります。その失われた重さが、アインシュタインの式 E=mc² のとおり、ばく大なエネルギーになります
- 太陽は1秒間に6億トンの水素をヘリウムに変えています

プレ男1秒で6億トン!太陽、スケールがちがいすぎる。
地球では「1億5,000万℃」が必要
- 太陽には強い重力がありますが、地球ではそれが使えないので、別の方法が必要です
- 実験室でいちばん効率がよいのは、水素のなかまの重水素(D)と三重水素(T)の反応です。くっつくとヘリウムと中性子ができます
- それでも、1億5,000万℃、つまり太陽の中心の10倍の温度が必要です
磁石でプラズマを閉じこめる「トカマク」
- トカマクは、核融合のエネルギーを取りだすための実験装置です。ドーナツ形の真空の容器の中で、燃料のガスをプラズマ(電気をおびた高温のガス)にし、まわりの巨大な磁石(コイル)でプラズマを容器の壁から離して閉じこめます
- 加熱して1億5,000万〜3億℃にすると、粒子どうしが反発をこえて融合し、ばく大なエネルギーが出ます
- そのエネルギーは熱として容器の壁に吸収されます。将来の核融合発電所では、ふつうの発電所と同じように、この熱で蒸気をつくり、タービンと発電機で電気にします(ガスタービンってなに?)
- トカマクは、1960年代後半に旧ソ連の研究で生まれ、世界中で使われるようになりました。名前は、ロシア語の「磁気コイルのついたドーナツ形の部屋」の略です
世界最大の実験装置「ITER」
- 南フランスで、34か国(EU の27か国、中国、インド、日本、韓国、ロシア、米国、スイス)が協力して、世界最大のトカマク「ITER」を建設しています。ITER はラテン語で「道」という意味です
- 目標は、核融合でできたヘリウムのエネルギーで、外から加熱しなくてもプラズマの温度が保たれる「燃えるプラズマ」を実現し、示すことです
- 磁気閉じこめ方式の核融合出力の世界記録は、ヨーロッパの JET が1997年に出した、24MW の加熱から16MW(入れたエネルギーより少ない)
- ITER は、入れた加熱の10倍、50MW から500MWの核融合出力を出すように設計されています。歴史上はじめて、プラズマで正味のエネルギーを生みだす核融合実験になる予定です
- ただし ITER は実験装置で、電気はつくりません。将来の発電の実証炉への道をひらくのが役目です
- 燃料の三重水素は世界にわずかしかないため、リチウムから三重水素をつくる技術もためします

核融合は、太陽と同じしくみでエネルギーを生みます。地球では1億5,000万℃のプラズマを磁石で閉じこめる必要があり、世界34か国がフランスで実験装置ITERをつくっています。ITERは発電はしない実験装置です。
エネルギーの技術つながり
- 光を電気に変える新しい太陽電池:ペロブスカイト太陽電池ってなに?
- 太陽の核融合で生まれる粒子を見る:ニュートリノってなに?

プレ男太陽を地球につくる、みたいな話なんだね。

メル美34か国で協力してるのも、すごいことだね。
点火の成功や世界記録など、核融合の最新の進歩は、核融合発電はいまどこまで来た?へ。
まとめ
- 太陽は、水素がヘリウムに融合するときに失われる重さが、E=mc² でエネルギーに
- 地球では重水素と三重水素を1億5,000万℃に。トカマクの磁石でプラズマを閉じこめる
- 34か国が南フランスで世界最大のトカマク ITERを建設中
- 目標は50MW の加熱から500MW(10倍)。燃えるプラズマの実証
- ITER は実験装置で、発電はしない。将来の発電所への道
参考文献
- ITER Organization. What is ITER?. https://www.iter.org/proj/inafewlines (閲覧日:2026年10月5日)
- ITER Organization. What is fusion?. https://www.iter.org/sci/whatisfusion (閲覧日:2026年10月5日)
- ITER Organization. What is a tokamak?. https://www.iter.org/mach/tokamak (閲覧日:2026年10月5日)
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