【テクノロジー解説】ニュートリノってなに?毎秒、何兆個も私たちの体をすりぬけている「幽霊のような粒子」。日本の巨大な検出器でとらえ、小柴昌俊博士(2002年)と梶田隆章博士(2015年)がノーベル物理学賞
ニュートリノは、太陽の中の核融合などで生まれる、ほとんど何とも反応しない素粒子です。毎秒、何兆個も私たちの体を気づかないうちに通りぬけています。2002年のノーベル物理学賞は、日本の巨大な検出器「カミオカンデ」で、1987年2月23日に遠くの超新星爆発からのニュートリノをとらえた小柴昌俊博士らに、2015年は「スーパーカミオカンデ」で、ニュートリノが姿を変えること(質量があること)を示した梶田隆章博士らに贈られました。素粒子物理の常識を変えた発見をやさしく解説します。

プレ男「カミオカンデ」って、名前がかっこいいよね。ニュートリノって、何を見つけたの?

メル美日本人が2回もノーベル賞をとった分野なんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回はニュートリノです。2002年と2015年のノーベル物理学賞の公式発表をもとにまとめました。
体をすりぬける「幽霊のような粒子」
ノーベル賞の発表によると、
- ニュートリノは、1930年にパウリ博士が予言し、存在が証明されるまで25年かかった素粒子です
- 太陽などの星の中で、水素がヘリウムに変わる核融合のときにできます。宇宙線と地球の大気の反応でもできます
- 光の粒(光子)の次に、宇宙でいちばん数が多い粒子です
- ほとんど何とも反応しないため、毎秒、何兆個ものニュートリノが私たちの体を通りぬけています。それでも、私たちはまったく気づきません
- だから、とらえるのがとても難しい粒子です

プレ男いまこの瞬間も、何兆個も体をすりぬけてるの!?
2002年:小柴昌俊博士と「カミオカンデ」
- 米国のデイヴィス博士は、鉱山の中に、600トンの液体を入れた巨大なタンクを置き、30年かけて太陽からのニュートリノを合計2,000個とらえ、太陽のエネルギーが核融合でつくられていることを示しました
- 東京大学の小柴昌俊博士らのグループは、別の巨大な検出器「カミオカンデ」で、デイヴィス博士の結果を確かめました
- さらに、1987年2月23日、遠くの超新星爆発から来たニュートリノをとらえました。検出器を通りぬけた1京個のうち、12個をとらえたのです
- 2人の研究は、ニュートリノ天文学という新しい研究分野を生みました(2002年ノーベル物理学賞)
2015年:梶田隆章博士と「ニュートリノ振動」
- 理論で計算したニュートリノの数にくらべ、地球ではかると、最大3分の2が足りないというなぞが、何十年も物理学者を悩ませていました
- 東京大学の梶田隆章博士は、2000年ごろ、大気でできたニュートリノが、日本の「スーパーカミオカンデ」に届くまでのあいだに、2つの種類(姿)のあいだで入れかわることを発表しました
- カナダのマクドナルド博士のグループは、太陽からのニュートリノが途中で消えたのではなく、ちがう種類になって届いていたことを示しました
- ニュートリノが姿を変えるには、質量が必要です。長いあいだ質量がないと考えられてきたニュートリノに、ごく小さくても質量があることがわかりました
- これは、20年以上どんな実験にもたえてきた素粒子物理の「標準模型」(ニュートリノの質量をゼロとしていた)が、宇宙の完全な理論ではないことをはっきり示す、歴史的な発見でした(2015年ノーベル物理学賞)

ニュートリノは、毎秒何兆個も体をすりぬけている、つかまえにくい素粒子です。日本の検出器カミオカンデ・スーパーカミオカンデで、小柴昌俊博士と梶田隆章博士がそれぞれ大発見をし、ノーベル物理学賞を受けました。
宇宙の歴史を読みとく手がかり
2015年の発表では、ニュートリノの性質をさぐる実験が世界中で続いていて、新しい発見が、宇宙の歴史、構造、そして未来についての理解を変えると期待されている、としています。
宇宙を見る「新しい窓」として、時空のゆれをとらえる重力波もあります。

プレ男1京個のうち12個!気の遠くなる話だけど、それで宇宙のことがわかるってロマンがある。

メル美日本の検出器から、2回もノーベル賞の発見が生まれたんだね。
日本の探査機が小惑星の砂を持ち帰った物語は、「はやぶさ2」ってなに?へ。
日本人3人が受賞した素粒子のノーベル賞は、宇宙に「物質」が残ったのはなぜ?へ。
まとめ
- ニュートリノは、ほとんど何とも反応しない素粒子。毎秒何兆個も体をすりぬけている
- 小柴昌俊博士らは「カミオカンデ」で、1987年2月23日、超新星爆発のニュートリノを12個とらえた(2002年ノーベル物理学賞)
- 梶田隆章博士らは「スーパーカミオカンデ」で、ニュートリノが姿を変える(振動する)ことを示した
- 姿を変えるのは質量があるから。素粒子物理の標準模型が完全ではないことを示した(2015年ノーベル物理学賞)
- 宇宙の歴史と未来を読みとく手がかりに
参考文献
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Physics 2002. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2002/press-release/ (閲覧日:2026年10月5日)
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Physics 2015. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2015/press-release/ (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。