
プレ男『蒲団』って、ふとんの話?国語の教科書で名前だけ見たことある。

メル美中年の作家が、若い弟子に恋をしてしまう話なんだって。作者が自分の気持ちを正直に書いたことで有名なの。
今回は、田山花袋の小説『蒲団(ふとん)』です。青空文庫の原文(底本:『蒲団・重右衛門の最後』)で読みました。作者については、国立国会図書館「近代日本人の肖像」の解説で確認しました。
プロフィール
| 作品 | 『蒲団(ふとん)』 |
| 作者 | 田山花袋(たやま・かたい、1872〜1930年。群馬県出身の小説家) |
| 発表 | 明治40年(1907年)、雑誌「新小説」9月号 |
| 評価 | 国立国会図書館の解説では、「私小説の出発点とされる」作品。花袋はこれで自然主義運動の先頭に立った |
| 主な人物 | 竹中時雄(作家、36歳、妻と3人の子ども)、横山芳子(備中新見町出身の女学生)、田中秀夫(同志社の学生、21歳) |

作者の田山花袋。出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」(https://www.ndl.go.jp/portrait/ )
あらすじ1:ファンレターから始まった
- 時雄は、毎日、地理の本をつくる仕事に通う、30代なかばの作家です。新婚のよろこびはとうにさめ、仕事にも生活にも、さびしさを感じていました
- そんなころ、神戸の女学院の生徒で、時雄の作品を崇拝する横山芳子から、手紙がとどきます。「どうか将来見捨てずに弟子にしてくれ」
- 芳子は父親に連れられて時雄をたずね、弟子として文学を学ぶことになります。はじめは時雄の妻の姉の家にあずけられました
- 二人の関係は、「どうしても尋常ではなかった」。けれども、時雄には妻と子があり、世間があり、師弟の関係があったので、はげしい恋に落ちることはありませんでした
あらすじ2:恋人の登場と、かくした嫉妬
- ところが、芳子には恋人ができます。「芳子の恋人は同志社の学生、神戸教会の秀才、田中秀夫、年二十一。」
- 芳子は、上京のとちゅうで恋人と京都の嵯峨に遊んでいました。芳子は「神聖なる恋愛」で、決して罪をおかしてはいないと、師の前でちかいます
- 時雄は、胸に大きな犠牲を感じながらも、二人の「神聖なる恋」のために力をつくす「温情なる保護者」の役を引きうけます
- でも心の中では、芳子が学校の帰りに恋人のところへ寄っているのではと思うと、「胸は疑惑と嫉妬とに燃えた」のでした
- 「監督せんければならん、保護せんけりゃならん。」——時雄は、師としての「監督者の責任」を口にしながら、自分の嫉妬をごまかしていきます。芳子を自分の家に連れてきて、それまで物置にしていた二階を芳子の住まいにしました

プレ男応援するふりをして、心の中では嫉妬してたんだ…。人間くさいなあ。
あらすじ3:父への手紙と、芳子の告白
- 田中が学業をすてて東京に出てきたことで、時雄はついに、備中の芳子の父に手紙を書きます。「是非々々御出京下され度」——「この一通が運命の手だ」と時雄は思いました
- そのあいだに、芳子から一通の手紙がわたされます。「先生、私は堕落女学生です。私は先生の御厚意を利用して、先生を欺きました。」。二人の恋は、芳子が言っていたような「神聖」なだけのものではなかったのです
- 父親が上京し、話しあいのすえ、芳子は父に連れられて郷里へ帰ることになりました。新橋の駅で、汽車は動き出します
結末:残された蒲団
- 時雄の家には、ふたたび、さびしい、あれはてた生活がもどってきました。5日目に、芳子から礼儀正しい候文の手紙がとどきます
- 時雄は、芳子が使っていた二階の部屋に上がります。そこには、送るばかりにしばった荷物と、芳子がいつも使っていた蒲団と夜着が重ねてありました
- 時雄は、その蒲団をしき、夜着をかけ、冷たい天鵞絨(びろうど)のえりに顔をうずめて泣いたのです。うす暗い部屋の外では、風がふきあれていました

メル美かっこいい先生でいようとして、本当の気持ちを言えなかった人の、正直すぎる話なんだね。

国立国会図書館の解説によると、田山花袋の『蒲団』(1907年)は私小説の出発点とされ、花袋はこの作品で自然主義運動の先頭に立ちました。
まとめ
- 『蒲団(ふとん)』は、田山花袋が1907年に発表した小説。私小説の出発点とされる
- 妻子のある36歳の作家・竹中時雄が、弟子の女学生・横山芳子に恋をする
- 芳子の恋人・田中秀夫の登場で、時雄は「温情なる保護者」を名のりながら嫉妬に苦しむ
- 時雄の手紙で父が上京し、芳子は郷里へ帰る
- 最後に時雄は、芳子の残した蒲団と夜着に顔をうずめて泣く
- 明治の恋と別れの物語は森鷗外『雁(がん)』、徳冨蘆花『不如帰(ほととぎす)』もどうぞ
参考文献
- 田山花袋. 蒲団(底本:『蒲団・重右衛門の最後』). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000214/card1669.html (閲覧日:2026年10月7日)
- 国立国会図書館. 近代日本人の肖像「田山花袋」. https://www.ndl.go.jp/portrait/datas/6059/ (閲覧日:2026年10月7日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。