
メル美猫が恩返しをする怪談があるんだって。猫好きにはたまらないお話かも。

プレ男「義猫」って、義理がたい猫ってことかな?
今回は、田中貢太郎の怪談「義猫の塚」(ぎびょうのつか)です。青空文庫の本文(底本:春陽文庫『怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集』、底本の親本:改造社『新怪談集 物語篇』1938年)で読みました。本文中の「」の言葉は、青空文庫の本文からの引用です。
嵐の海の子猫
- 遠州の御前崎に、西林院という寺がありました。住職は、とても慈悲深い人でした
- ある風波のはげしい日、難船でもないかと外に出てみると、すぐ眼の下の怒濤のなかで、船の破片らしい一枚の板に、一匹の子猫がしがみついていました
- 住職は山をかけおりて漁師の家へ行き、「可哀そうだから、たすけてやってくれ」とたのみますが、波がはげしく、だれも舟を出そうとしません
- すると住職は「それでは舟をかしてくれ」と、自分で舟を出そうとしました。その真剣な姿に動かされて、漁師たちはとうとう舟を出し、猫を救いました
- 猫は西林院で飼われるようになり、住職の言うことをよく聞きわけるので、住職もとてもかわいがりました

プレ男嵐の海に自分で舟を出そうとするなんて、和尚さん、すごい!
縁側の話し声
- それから10年。春の日、寺男が縁側でうたた寝をしていると、小さな「みゃあみゃあ」というような、変な話し声が聞こえてきました
- 「いい陽気じゃないか、一つ伊勢詣にでも往こうじゃないか」
- 「往きたいには往きたいが、近いうちに、うちの和尚さんの身に、変ったことがありそうだから」
- 「そうかね、おまえさんは、和尚さんに助けられた恩義があるからね」
- 寺男がはっと目をあけると、縁側には、寺の飼い猫と、近くの寺の猫がいるだけでした
天井裏の物音
- その夜、天井裏で、けんかでもするような大きな物音がします。住職と寺男は行燈であちこちを見まわりましたが、あやしいことはありませんでした
- 朝、住職が本堂へ行くと、天井裏から生々しい血がしたたっていました。檀家の若い者にきてもらって天井裏にあがると——
- そこには、寺の飼い猫と近くの寺の猫が、血に染まって死んでいました。そのそばには、三尺近い大鼠が死んでいたのです
旅の僧
- そのとき、住職の頭をかすめたものがありました。数日前から、どこからともなく来て寺に滞在していた、ひとりの旅僧のことです
- 念のために旅僧の部屋へ行くと、敷きっぱなしの寝床があるだけで、旅僧のすがたはありませんでした。住職は、心のなかでうなずきました
- 物語は、こう結ばれます。いま西林院にある「義猫の塚」は、その飼い猫と、近くの寺の猫を、あわせて葬ったものだった

メル美伊勢参りをことわって、和尚さんを守ったんだね。近くの寺の猫まで、いっしょに戦ってくれたなんて…。

田中貢太郎の「義猫の塚」で、嵐の海から助けられた猫は、10年後、「和尚さんに助けられた恩義がある」と、近くの寺の猫とともに天井裏の大鼠と戦い、命を落としました。
まとめ
- 「義猫の塚」は田中貢太郎の怪談
- 遠州・御前崎の西林院の住職が、嵐の海から子猫を救う。「それでは舟をかしてくれ」
- 10年後、縁側の猫の会話。「近いうちに、うちの和尚さんの身に、変ったことがありそうだから」
- 天井裏で、二匹の猫と三尺近い大鼠が死んでいた。姿を消した旅僧
- 二匹を葬ったのが「義猫の塚」
- 田中貢太郎の岩魚の怪、死人の手、動物の情をえがいた小泉八雲のおしどりもどうぞ
参考文献
- 田中貢太郎. 義猫の塚(底本:『怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集』春陽文庫). 青空文庫. https://www.aozora.gr.jp/cards/000154/card42272.html (閲覧日:2026年10月12日)
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