
メル美遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)ってわかったら、赤ちゃんはあきらめなきゃいけないのかな。

プレ男妊娠や出産に影響があるのか、知りたいよね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)と妊娠の話です。日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)の患者・市民向けガイドブック「遺伝性乳がん卵巣がんを知ろう!」(2022年版)のQ25をもとにまとめました。HBOCそのものについては遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)を見てください。
妊娠できる可能性は、大きく減らない
ガイドブックによると、
- BRCA1/2の変化が見つかった女性と、見つからない女性で、その後の出産の回数に差はないと報告されていて、妊娠できる可能性が大きく減ることはありません
- ただし、妊娠できる年齢のうちに乳がん・卵巣がんになるリスクがあるため、早めの妊娠を計画したほうがよいと考えられます
リスク低減手術と、出産の時期
ガイドブックによると、
- HBOCでは、がんになる前に卵管・卵巣や乳房をとる手術(リスク低減手術)で、がんのリスクを減らせます。ただし、卵管・卵巣をとると自然妊娠ができなくなり、乳房をとると授乳ができなくなります
- 年齢が上がるほど妊娠はむずかしくなるため、なるべく早く、遅くとも35〜40歳くらいまでに出産を終え、そのあとにリスク低減手術を行うことが望ましいとされています
- 将来の妊娠を望む人は、BRCA1/2の変化で卵巣の中の卵子の数(卵巣予備能)が減る可能性も指摘されているため、卵巣の働きを前もって検査しておくことも検討してよいとしています

HBOCとわかっても、妊娠できる可能性が大きく減ることはないと報告されています。ただ、リスク低減手術のことも考えて、早めに妊娠の計画を立てることが望ましいとされています。
不妊治療は?
ガイドブックによると、
- 不妊治療の排卵誘発剤などで、がんのリスクが上がることが心配されますが、BRCA1/2の変化がある人で、不妊治療の経験があると乳がん・卵巣がんが増えるというはっきりした報告はなく、がんのリスクを理由に不妊治療をひかえる必要はないと考えられています
- HBOCと診断されていることは、不妊治療の医療機関にも伝えて、治療方針を相談しましょう、としています
- がんになっていない人が、受精卵や卵子を保存しておくことも技術的には可能ですが、将来の妊娠が100%保証されるわけではなく、未発症の人には、とくに卵子の保存を積極的にすすめるものではないとしています(保険や助成金の制度もありません)
乳がんの治療のあとに妊娠したいとき
ガイドブックによると、
- 乳がんの抗がん剤で早く閉経してしまうリスクは30〜70%あり、ホルモン療法を使う5〜10年は妊娠できません
- 将来の妊娠の可能性を残すため、治療の前に受精卵や卵子を凍結保存する妊孕性温存療法の選択肢があり、自治体の治療費の助成の対象になっています
- 乳がんの治療のあとに妊娠した場合は、早産や低出生体重のリスクがやや高いと報告されていて、慎重に経過をみます。治療していない側の乳房からの授乳はできるとされています

プレ男HBOCとわかっても、あきらめなくていいんだね。早めに計画して、主治医や遺伝カウンセリングで相談するのが大事なんだ。
がん治療の前の妊孕性温存はがん治療の前に知っておきたい「妊孕性温存」、男性とHBOCは男性と遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)を見てください。
まとめ
- HBOCでも妊娠できる可能性は大きく減らない
- リスク低減手術を考え、早めの妊娠計画を(遅くとも35〜40歳くらいまでに出産を終えるのが望ましい)
- 不妊治療でがんのリスクがはっきり上がる報告はない。HBOCであることは不妊治療の医療機関に伝える
- 乳がんの治療前には妊孕性温存療法の選択肢も
参考文献
- 日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構. 遺伝性乳がん卵巣がんを知ろう!みんなのためのガイドブック 2022年版 Q25 HBOCと診断された場合、妊娠はできるのでしょうか?妊娠中や出産への影響が心配です。 https://johboc.jp/guidebook_g2022/q25/ (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。