性教育Sex Education

Pregnancy

がん治療の前に知っておきたい「妊孕性温存」

抗がん剤や放射線で妊娠する力が下がることがある。治療の前に卵子・受精卵・卵巣組織・精子を凍結する方法があり、43歳未満は国と都道府県の助成も。ただしいちばん大切なのはがんの治療

2026年10月10日

がんなどの治療で、将来妊娠する力(妊孕性)が失われることがあります。厚生労働省研究班のヘルスケアラボと日本がん・生殖医療学会によると、治療の前に卵子・受精卵(胚)・卵巣組織・精子を凍結して保存する「妊孕性温存」という方法があります。ただし、いちばん優先されるのはがんの治療です。厚生労働省の事業では、凍結保存時に43歳未満の人を対象に、都道府県が費用の一部を助成しています(上限は胚凍結35万円、卵子凍結20万円、卵巣組織凍結40万円、精子凍結2万5千円など。2026年4月7日改正の実施要綱)。

目次
  1. 妊孕性温存とは
  2. 女性の場合
  3. 男性の場合
  4. 国と都道府県の助成
  5. 相談するには
  6. まとめ

メル美同い年の友だちが、がんの治療を始めることになったの。「将来子どもを産めなくなるかも」って不安がってて……。

プレ男男の人でも、治療で精子がつくれなくなることがあるのかな。

こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、がんなどの治療の前に知っておきたい「妊孕性(にんようせい)温存」の話です。厚生労働省研究班の「ヘルスケアラボ」、一般社団法人日本がん・生殖医療学会の一般向けページ、厚生労働省の「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」の実施要綱をもとにまとめました。

妊孕性温存とは

ヘルスケアラボによると、

いちばん大切なのは、がんの治療です。そのうえで、将来子どもを望むかもしれないなら、治療を始める前に、主治医に妊孕性温存のことを聞いてみてください。

女性の場合

ヘルスケアラボによると、妊孕性温存は大きく2つに分かれます。

具体的には、

卵子・胚の凍結では、体外受精と同じように排卵誘発剤で卵巣を刺激して採卵します。卵巣組織の凍結では、腹腔鏡の手術で卵巣の組織をとります。凍結したものは、将来使うときまで液体窒素の中で保管します。

男性の場合

日本がん・生殖医療学会の一般向けページ(横浜市立大学附属市民総合医療センター 湯村寧先生)によると、

プレ男男性も、治療の前に精子を凍結しておく方法があるんだね。知らなかった。

国と都道府県の助成

厚生労働省の「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業実施要綱」(2026年4月7日一部改正)によると、

治療 1回あたりの助成の上限
胚(受精卵)の凍結 35万円
未受精卵子の凍結 20万円
卵巣組織の凍結(再移植を含む) 40万円
精子の凍結 2万5千円
精巣内精子採取による精子の凍結 35万円

くわしい手続きは、住んでいる都道府県の窓口や、治療を受ける病院に確認しましょう。

相談するには

まとめ


参考文献

  1. 厚生労働省研究班 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ. 妊孕性温存(監修:日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 平池修先生、最終更新日:2026年10月9日). https://w-health.jp/fetation/fertility_preservation/ (閲覧日:2026年10月10日)
  2. 一般社団法人日本がん・生殖医療学会. 一般の皆様へ:男性の方へ(横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター泌尿器科 湯村寧). https://www.j-sfp.org/fertility/male/ (閲覧日:2026年10月10日)
  3. 厚生労働省. 小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_byoin_00010.html (閲覧日:2026年10月10日)
  4. 厚生労働省. 小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業実施要綱(令和8年4月7日一部改正、PDF). https://www.mhlw.go.jp/content/001710465.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
  5. 東京都. 東京都がんポータルサイト「組織等の凍結更新」に係る費用の申請(東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業、2025年10月27日更新). https://www.gan-portal.metro.tokyo.lg.jp/support/seishoku/2.html (閲覧日:2026年10月10日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。