【テクノロジー解説】ものに「重さ」があるのはなぜ?宇宙をみたす見えない「ヒッグス場」。1964年の予言から48年、全長27kmの加速器LHCで2012年にヒッグス粒子を発見(2013年ノーベル物理学賞)
花も人も星も、ほんの数種類の部品(粒子)からできています。では、その粒子の「重さ(質量)」はどこから来るのでしょうか。2013年のノーベル物理学賞は、1964年にその答えとなる理論をそれぞれ別々に考えた、アングレール博士とヒッグス博士に贈られました。宇宙は、からっぽに見えても、見えない「ヒッグス場」でみたされていて、粒子はこの場とふれあうことで重さをもつ、という理論です。2012年7月4日、スイス・ジュネーブ近くの研究所CERNの、全長27kmの加速器LHCで、それぞれ約3,000人の2つの研究グループが、ヒッグス粒子を発見しました。

プレ男「ヒッグス粒子」ってニュースで聞いたことある。なんだっけ?

メル美ものに「重さ」があるしくみに関係する粒子なんだって。
こんにちは、Dr. Taro です。 「テクノロジー解説」、今回はヒッグス粒子です。2013年のノーベル物理学賞の発表と一般向け解説をもとにまとめました。
世界は少ない部品でできている
- 素粒子物理学の「標準模型」によると、花も人も星も惑星も、すべては、ほんの数種類の部品「物質の粒子」からできています
- 粒子どうしは、「力の粒子」が運ぶ力でつながり、すべてがうまく動いています
- この標準模型全体が、ある特別な粒子の存在にささえられています。それが「ヒッグス粒子」です
見えない「ヒッグス場」
- ヒッグス粒子は、宇宙全体をみたす見えない「場」から生まれます。宇宙がからっぽに見えるところにも、この場はあります
- 粒子は、この場とふれあうことで重さ(質量)をもつ、と考えられています
- もしこの場がなかったら、電子やクォークも、光の粒子(光子)のように重さがなく、光の速さで飛びまわって、原子や分子にとどまることができません。わたしたちも存在できなかったのです
- 1964年、フランソワ・アングレール博士(ベルギー、なくなった同僚のブラウト博士とともに)と、ピーター・ヒッグス博士(イギリス)は、それぞれ別々に、このしくみの理論を発表しました

プレ男からっぽの宇宙にも、見えない場がつまってるのか!
48年後の発見:巨大加速器LHC
- 2012年7月4日、スイス・ジュネーブ近くの素粒子物理学研究所CERNで、ヒッグス粒子が発見され、理論が確かめられました
- 使われたのは、LHC(大型ハドロン衝突型加速器)。おそらく人類がつくったもっとも大きく複雑な機械です
- 陽子を、光の速さの99.99999%まで加速して、正面からぶつけます
- 円形のトンネルは全長27km。観測装置は地下100mにあり、1秒に4,000万回の衝突を観測できます
- ATLASとCMSという、それぞれ約3,000人の科学者からなる2つの研究グループが、何十億回もの衝突の中から、ヒッグス粒子を見つけだしました
それでも、まだなぞは残る
- ヒッグス粒子の発見で、標準模型の最後のピースがそろいました。でも、標準模型は宇宙のなぞの最後の答えではありません
- 標準模型ではニュートリノの重さはほぼゼロとされていますが、最近の研究では重さがあることがわかっています
- 標準模型が説明するのは目に見える物質だけで、それは宇宙の物質全体の5分の1ほど。なぞの暗黒物質を見つけることも、CERNの研究の目的の1つです(2013年当時)

宇宙は見えない「ヒッグス場」でみたされていて、粒子はこの場とふれあうことで重さをもつと考えられています。1964年の予言から48年、2012年に巨大加速器LHCでヒッグス粒子が見つかりました。
素粒子と宇宙のつながり
- 南部・小林・益川の3博士:宇宙に「物質」が残ったのはなぜ?
- 重さがあるとわかった粒子:ニュートリノってなに?
- 天の川銀河の中心の重い天体:天の川銀河の中心には何がある?

プレ男ぼくの体重も、ヒッグス場のおかげ…ってこと?

メル美電子に重さがないと、原子もできないんだって。体があるのもヒッグス場のおかげだね。
クォークをつなぐゴムひものような力は、近づくほど弱く、はなれるほど強い「ゴムひも」のような力へ。
まとめ
- すべてのものは、数種類の物質の粒子からできている(標準模型)
- 宇宙は見えないヒッグス場でみたされ、粒子はふれあうことで重さをもつ
- 1964年、アングレール博士とヒッグス博士が、それぞれ理論を発表
- 2012年7月4日、CERNの全長27kmの加速器LHCでヒッグス粒子を発見
- それでもニュートリノの重さや暗黒物質など、なぞは残る(2013年ノーベル物理学賞)
参考文献
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Press release: The Nobel Prize in Physics 2013. NobelPrize.org. https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2013/press-release/ (閲覧日:2026年10月10日)
- The Royal Swedish Academy of Sciences. Popular information: The Nobel Prize in Physics 2013 (PDF). https://www.nobelprize.org/uploads/2018/06/popular-physicsprize2013.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
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