HIV-2ってなに?:おもに西アフリカで流行するもう一つのHIV。日本で報告がわかっているのは14例。HIV-1の薬の一部が効かず、ふつうのウイルス量の検査では測れない
HIV-2について、国立感染症研究所の「病原微生物検出情報(IASR)」2023年10月号の「本邦で診断されたHIV-2感染症報告例のまとめとHIV-1/HIV-2抗体確認検査」をもとにまとめました。HIV-2はおもに西アフリカで流行していて、世界で100〜200万人が感染していると考えられています(HIV-1は約3,900万人)。HIV-1より症状のない期間が長く、ウイルス量が低い特徴があります。一部の抗HIV薬(非核酸系逆転写酵素阻害薬)が効かず、日本でふつうに行われているHIV-1のウイルス量の検査では測れません。日本では、学会や論文で報告された12例と2022年の2例をあわせて14例がまとめられています。いまのスクリーニング検査は、すべてHIV-1とHIV-2の両方を見つけられます。

プレ男検査の結果に「HIV-1/2」って書いてあったんだけど、HIV-2ってなに?

メル美HIVにも種類があるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIV-2の話です。国立感染症研究所の「病原微生物検出情報(IASR)」2023年10月号の「本邦で診断されたHIV-2感染症報告例のまとめとHIV-1/HIV-2抗体確認検査」をもとにまとめました。
HIV-1とHIV-2
IASRによると、
- 世界の多くのHIVはHIV-1で、推定約3,900万人が感染しています
- HIV-2は、おもに西アフリカで流行していて、正確なデータはないものの、世界で100〜200万人が感染していると考えられています。西アフリカのほか、アフリカのほかの地域、ヨーロッパ、南北アメリカ、インドなどでも報告があります
HIV-2の特徴
- HIV-1とくらべて、症状のない期間(無症候期)が長く、血液中のウイルス量が低いという特徴があります
- 治療では、HIV-1とちがって、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)という種類の薬が効きません。治療を始める時期や薬の選び方、治療後の経過のみかたについての知見も十分ではなく、HIV-1とは一部ちがう考え方が必要です
- 日本では、HIV-2のウイルス量を測る検査薬は承認されておらず、ふつうに行われているHIV-1のウイルス量の検査では、HIV-2は測れません。一部の研究機関などで検査が行われています

いま承認されているHIVのスクリーニング検査は、すべてHIV-1とHIV-2の両方を見つけられます。
日本では14例がまとめられている
- 日本の届出では、HIV-1とHIV-2を区別して報告するしくみがないため、HIV-2の数はわかりません
- IASRでは、学会や論文で報告された12例と、2022年に行政の検査で陽性とわかった2例の、あわせて14例がまとめられています。年代や国籍、性別などはさまざまで、1970年代に西アフリカで感染したと推定される例もありました(報告されていない例はふくまれていません)
検査では
- いま承認されているHIVのスクリーニング検査は、すべてHIV-1とHIV-2の両方を見つけられます
- 確認検査は、以前の方法から、HIV-1とHIV-2の抗体を一度に調べて見分けられる方法に変わり、確認検査をするすべての例でHIV-2も調べられるようになりました
- ただ、HIV-2の人の血液はHIV-1の判定にも反応しやすく、目で見て判定すると約40%でHIV-2と見分けられないことがあるため、専用の読み取り装置を使うことがすすめられています
- 研究者は、海外との行き来がふえたため、都市部だけでなく地方でも、すべてのHIV検査の施設でHIV-2の診断に対応できるよう体制を整えておくことが大切だとしています

プレ男保健所などのスクリーニング検査で、HIV-2も見つけられるんだね。
HIVそのものはHIVってどんな病気?、検査のしくみはHIV検査のしくみと、検査薬の「品切れ」の影響、陽性と言われたときはHIV検査で「陽性」「要確認」と言われたらを見てください。
まとめ
- HIV-2はおもに西アフリカで流行する、もう一つのHIV。世界で100〜200万人
- HIV-1より無症候期が長く、ウイルス量が低い。一部の薬(NNRTI)が効かない
- ふつうのHIV-1のウイルス量の検査では測れない
- 日本でまとめられているのは14例。スクリーニング検査はHIV-1とHIV-2の両方に対応
参考文献
- 草川茂, 菊地正, 松岡佐織. 本邦で診断されたHIV-2感染症報告例のまとめとHIV-1/HIV-2抗体確認検査(IASR Vol.44 p157-158: 2023年10月号). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/pathogens/vol44/524/524r03.html (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
