HIVと多中心性キャッスルマン病(MCD):カポジ肉腫と同じHHV-8が関係する病気。原因のわからない熱が出ては自然におさまるをくり返し、ある時急に悪化して数日で命にかかわることも。熱がおさまっても、くり返すときは主治医に伝えて
多中心性キャッスルマン病(MCD)は、カポジ肉腫と同じヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)が関係する、HIVのある人に起こることがある病気です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2022年)によると、比較的まれですが、はじめは熱が出ては自然におさまることをくり返すため見のがされやすく、何度目かの再燃で急に悪化すると、わずか数日で多くの臓器の働きが悪くなり、亡くなることもある病気です。原因のわからない熱が自然におさまっても、くり返すときはこの病気の可能性を考えることが、早期診断のかぎとされています。

プレ男HIVの治療中の知り合いが、熱が出てはいつのまにか下がる、をくり返してるんだって。かぜかなって言ってたけど……。

メル美自然に下がるなら大丈夫、とは限らないのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVと多中心性キャッスルマン病(MCD)の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「HIV関連キャッスルマン病(MCD)、KICS」(2022年9月29日更新)をもとにまとめました。
どんな病気?
ACCの手引きによると、
- HIVのある人にみられるヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)に関係する病気では、カポジ肉腫がもっとも多いですが、比較的まれでも、診断が遅れると命にかかわる重要な病気として、多中心性キャッスルマン病(MCD)があります(カポジ肉腫)
- 腫れたリンパ節の中でHHV-8に感染した細胞がふえ、炎症をおこす物質(サイトカイン)が大量につくられることが、病気の本質と考えられています
- HHV-8は、カポジ肉腫やMCD、悪性リンパ腫とも関係しているため、それらが重なったり、経過の中で起きたりするリスクが高いとされています(HIVと悪性リンパ腫)
熱が出ては、自然におさまる
ACCの手引きによると、
- MCDは、はじめは自然によくなったり、また悪くなったり(再燃)をくり返すため、この病気を積極的に疑わないと、はじめのうちは見のがされてしまうリスクがあります
- これをくり返し、何度目かの再燃で急に悪化すると、わずか数日で多くの臓器の働きが悪くなり、亡くなることもあります。多くのHIV関連の病気がゆっくり進むのに対し、とても急に進む数少ない病気です
- そのため、原因のわからない熱では、自然におさまった場合でもこの病気の可能性を考えておくことが、早期診断と見通しをよくするかぎとされています

HIVのある人で、原因のわからない熱が出ては自然におさまることをくり返すときは、「治ったから大丈夫」と思わずに、主治医に伝えてください。
診断
ACCの手引きによると、
- 悪くなっている時期には、血小板が減る、CRP(炎症の値)がとても高くなる、貧血などがみられ、落ちついている時期にはこれらがよくなります
- 確定には、リンパ節をとって、HHV-8に感染した細胞を調べます
治療とKICS
ACCの手引きによると、
- 標準的な治療はまだ確立していませんが、治療の知見が積み重なってきています。抗HIV療法で悪くなる可能性を示す報告が多いため、MCDの治療を先に行い、落ちついてから抗HIV療法を始めるほうが望ましいとされています
- リンパ節の病変がないのに、MCDとほぼ同じ症状と経過をたどるKICS(カポジ肉腫関連炎症性サイトカイン症候群)という病気もあり、同じように急に進んで命にかかわることがあるとされています
まとめ
- MCDは、HHV-8が関係する、HIVのある人に起こることがある病気
- 熱が出ては自然におさまるをくり返すため、見のがされやすい
- 急に悪化すると数日で命にかかわることがある
- 原因のわからない熱をくり返すときは、おさまっても主治医に伝える
- 似た病気にKICSもある
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:HIV関連キャッスルマン病(MCD)、KICS(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no37.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
