HIVと悪性リンパ腫:HIVがあると非ホジキンリンパ腫が約200倍多い。HIVと知らないまま「いきなりエイズ」として見つかることもある、今も命にかかわる合併症。胃や脳などリンパ節の外にできやすい。抗がん剤と抗HIV療法を一緒に
悪性リンパ腫は、HIVとかかわりの深いがんのひとつです。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2022年)によると、HIVのある人では、非ホジキンリンパ腫がHIVのない人の約200倍多いことが知られています。抗HIV療法で多くの日和見疾患の見通しはよくなりましたが、悪性リンパ腫は、HIVと診断されていない人の「いきなりエイズ」として、今も多く、命にかかわる合併症です。胃などの消化管、骨髄、脳など、リンパ節の外にできやすいのが特徴です。治療は、抗がん剤と抗HIV療法を一緒に行います。

プレ男リンパ腫の検査をしたら、HIVも見つかった人がいるって聞いたんだ。リンパ腫とHIVって関係あるの?

メル美HIVだと、がんにもなりやすいのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVと悪性リンパ腫の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「悪性リンパ腫」(2022年9月29日更新)をもとにまとめました。
HIVがあると、リンパ腫が多い
ACCの手引きによると、
- HIVのある人では、非ホジキンリンパ腫が、HIVのない人の約200倍多いことが知られています。抗HIV療法が広まる前には、HIV感染者の約8%に起こったという報告もありました
- 抗HIV療法が広まり、多くの日和見疾患の見通しはよくなりましたが、悪性リンパ腫は、HIVと診断されていない人の「いきなりエイズ」として、今も多く、命にかかわるエイズ関連の合併症のひとつです
- 起こるしくみには多くのことが関係していて、そのひとつとしてEBウイルスの感染があげられています
厚生労働省エイズ動向委員会の「2025年エイズ発生動向」の分析でも、エイズを発症した人の指標疾患のひとつとして非ホジキンリンパ腫が集計されています。HIVを知らないままエイズを発症して見つかることについては、エイズを発症してからHIVがわかるときを見てください。

悪性リンパ腫は、HIVと知らないまま「いきなりエイズ」として見つかることが今もあります。HIVは、検査で早く見つけて治療を始めれば、エイズの発症を防ぐことができます。不安なことがあったら、検査を受けてください。
リンパ節の外にできやすい
ACCの手引きによると、
- 組織の型は、ほとんどがB細胞のリンパ腫で、びまん性大細胞型がもっとも多いとされています
- エイズ関連の悪性リンパ腫は、リンパ節の外(節外)にできることが多いのが大切な特徴です。とくに、胃などの消化管、骨髄、脳などの中枢神経に多くみられます。ACCの経験では、中枢神経への広がりが全体の約30%にみられました
検査
ACCの手引きによると、
- 診断は、組織をとって調べる検査(生検)で確定します
- 病気の広がりを調べるため、血液検査、骨髄の検査、髄液の検査、全身のCT、PETなどを行います。リンパ節の外の病変を調べるため、胃カメラなどの内視鏡や頭のMRIも必要です
- 抗がん剤の治療の前には、腎臓・肝臓・心臓・肺の働きや、ほかの日和見疾患、とくにB型肝炎の有無を調べることが大切です(HIVとB型肝炎)
治療
ACCの手引きによると、
- エイズ関連リンパ腫の決まった標準治療はまだ確立されていませんが、基本的にはHIVのない人の治療をもとに、抗がん剤の組み合わせを選びます
- 抗HIV療法は、多くの研究で見通しをよくすることが証明されており、抗がん剤と積極的に一緒に行うべきとされています。抗がん剤と同じ時期に抗HIV療法を行うことで、日和見疾患が起こる頻度も下げられると報告されています
- 抗がん剤とHIVの薬の飲み合わせに注意して、HIVの薬を選びます
- 見通しをもっとも悪くするのは、CD4数が低いことです。抗がん剤で骨髄の働きが下がり、CD4数が50以下になったときは、日和見疾患の予防もふくめて、慎重に経過をみる必要があります
まとめ
- HIVがあると、非ホジキンリンパ腫が約200倍多い
- 悪性リンパ腫は、HIVを知らないまま「いきなりエイズ」として見つかることが今もある
- 胃などの消化管、骨髄、脳など、リンパ節の外にできやすい
- 治療は、抗がん剤と抗HIV療法を一緒に
- HIVは、早く見つけて治療を始めることで、エイズの発症を防げる
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:悪性リンパ腫(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no34.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 厚生労働省エイズ動向委員会. 令和7(2025)年エイズ発生動向 ―分析結果―(PDF). https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/data/2025/nenpo/bunseki.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
