エイズを発症してからHIVがわかるとき:日本でいちばん多いエイズ指標疾患は「ニューモシスチス肺炎」。動くと息が苦しい、からぜき、熱が数週間かけて進み、数か月で10kgほどやせることも。そうなる前に検査を
日本では、新しくHIVが見つかった人の約3割が、エイズを発症してから見つかっています(2025年)。厚生労働省エイズ動向委員会の分析結果によると、エイズを発症した人でいちばん多い病気(エイズ指標疾患)はニューモシスチス肺炎で、次にカンジダ症、サイトメガロウイルス感染症などが続きます。エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引きによると、ニューモシスチス肺炎は、動いたときの息苦しさ、からぜき、熱が数週間かけて進み、発症前の数か月で10kgほどやせることもあります。

メル美「いきなりエイズ」って言葉を聞いたの。HIVだと気づかないまま、エイズを発症して見つかることがあるって……。

プレ男エイズを発症すると、どんな病気になるんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、エイズを発症してからHIVがわかるときの話です。厚生労働省エイズ動向委員会の「令和7(2025)年エイズ発生動向 分析結果」と、国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き「ニューモシスチス肺炎(PCP)」(2022年9月更新)をもとにまとめました。
約3割が、エイズを発症してから見つかる
分析結果によると、
- 2025年に新しく報告された890件のうち29.9%は、エイズを発症してからHIVに感染していたとわかりました(数字で見る日本のHIV(2025年))
- エイズを発症した人のエイズ指標疾患でいちばん多いのはニューモシスチス肺炎です。日本国籍の人では、次にカンジダ症、サイトメガロウイルス感染症、HIV消耗性症候群が多くなっています。そのほか、カポジ肉腫なども指標疾患です(カポジ肉腫)

エイズを発症してから見つかると、それより前に見つけて治療を始めた場合より、治療が大変になります。症状がないうちに検査を受けることが、命を守ることにつながります。
ニューモシスチス肺炎とは
ACCの手引きによると、
- ニューモシスチス・イロベチイというカビ(真菌)の仲間による肺炎です
- 予防法と、効果のある抗HIV療法ができたことで、HIVに関連するニューモシスチス肺炎は大きく減りましたが、いまもHIVの人でいちばん多いエイズ指標疾患で、2020年時点でエイズを発症した人の約半数がニューモシスチス肺炎でした
症状:ゆっくり進む息苦しさ
ACCの手引きによると、
- 典型的な3つの症状は、動いたときの息苦しさ、たんの出ないせき(からぜき)、熱です(すべてそろうとは限りません)
- 息苦しさは数週間かけてゆっくり進むため、体の酸素が少ないわりに、本人の自覚が少ないことが多いとされています。少し歩くと、血液の酸素の値が下がることがよくあります
- 発症する前の数か月で10kgほど体重がへり、多くの人がやせています
- 口の中のカンジダ(白いこけのようなもの)を一緒に起こしていることも多いとされています

プレ男数か月で10kgもやせて、息が苦しくなるまで気づかないことがあるんだ……。
こんなときは、HIV検査を
- 原因のわからない体重の減少、長引くせきや息苦しさ、口の中の白いこけ(カンジダ)、帯状疱疹をくり返すなどは、HIVによる免疫の低下のサインのことがあります(こんなときはHIV検査を)
- 心当たりがあれば、症状が出る前に検査を受けましょう。多くの保健所で無料・匿名の検査が受けられます(東京で、匿名・無料でHIVと梅毒の検査)
(更新)ACCの手引きの「HIV検査を考慮すべき状況」(2022年9月29日更新)で確認しました。結核、非結核性抗酸菌感染症、口腔・食道カンジダ症、ニューモシスチス肺炎、カポジ肉腫、悪性リンパ腫などの発症が、HIVの診断のきっかけになることが多く、帯状疱疹、くり返すヘルペス、治りにくい皮膚の真菌症や湿疹なども、治療を受けていないHIV感染者によくみられるとされています。ただし、「体重減少」「長引くせき」という症状そのものを検査の目安として挙げた記述はありませんでした
免疫が下がったときに起こる目の病気(サイトメガロウイルス網膜炎など)は、HIVと目の病気にまとめています。
治療
- ACCの手引きによると、ニューモシスチス肺炎は治療薬で治療します。HIVと診断されたら、抗HIV療法も始めて、免疫の回復をめざします
- HIVは、治療を続ければ、エイズの発症を防ぎ、ふつうに暮らせる病気になっています(HIV、HIVの医療費と支援制度)
HIVのある人がかかりやすい結核については、HIVと結核にまとめています。
23のエイズ指標疾患の一覧は、「エイズ発症」とは?23のエイズ指標疾患にまとめています。
まとめ
- 2025年、新しくHIVが見つかった人の約3割がエイズを発症してから見つかった
- 日本でいちばん多いエイズ指標疾患はニューモシスチス肺炎。次にカンジダ症、サイトメガロウイルス感染症など
- ニューモシスチス肺炎は、動くと息苦しい、からぜき、熱が数週間かけて進み、大きくやせることも
- 症状が出る前に、検査を
参考文献
- 厚生労働省エイズ動向委員会. 令和7(2025)年エイズ発生動向 ―分析結果―(PDF). https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/data/2025/nenpo/bunseki.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:ニューモシスチス肺炎(PCP)(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no27.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:HIV検査を考慮すべき状況(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part1/3-01.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
