HIVと目の病気:免疫が下がる(CD4が200未満)と、サイトメガロウイルス網膜炎などが起こりやすい。治療しないと失明することも。この時期は眼科の検査が必要。梅毒による目の炎症もHIVと重なることが多い
HIVで免疫が下がると、目にも病気が起こることがあります。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2022年)によると、多くの目の病気はCD4陽性リンパ球数が200未満で起こるため、この時期には眼科の検査が必要とされています。代表的なのはサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎で、治療しないで放っておくと網膜がこわれ、網膜剥離などで失明することがあります。もっとも多いのはHIV網膜症です。梅毒による目の炎症(ぶどう膜炎)も、HIVと重なって起こることが多いとされています。

プレ男HIVと診断された知り合いが、「眼科にも行ってください」って言われたんだって。HIVと目って関係あるの?

メル美免疫が下がると、目にもいろいろな病気が起こるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVと目の病気の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「HIV感染症に合併する眼病変」(2022年9月29日更新)をもとにまとめました。
免疫が下がると、目の検査が必要
ACCの手引きによると、
- HIVに合併する目の病気の多くは、CD4陽性リンパ球数が200未満で起こります。そのため、この時期には眼科の検査(スクリーニング)が必要とされています
- もっとも多いのは、網膜の細い血管の障害による白いしみ(白斑)を中心としたHIV網膜症です
- 代表的な病気は、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎です
CD4数とHIVの経過については、HIVを見てください。
サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎
ACCの手引きによると、
- 網膜がこわれていく網膜炎で、免疫が下がっていることが必須の条件です
- 網膜の端のほうにできるもの、網膜の中心(後極部)の血管にそってできるものなど、いくつかの型があります。中心の近くにできると、黄斑のむくみや視神経への広がりで、急に視力が下がることがあります
- 治療しないで放っておくと、免疫が回復しないかぎり網膜がこわれ、視神経への広がりや網膜剥離で失明します
- 治療は、抗ウイルス薬による治療と、抗HIV療法で免疫を回復させることが大切です。網膜の端の小さな病変なら、抗HIV療法だけでよくなることもあります

サイトメガロウイルス網膜炎は、放っておくと失明することがある病気です。HIVで免疫が下がっているときは、目の症状がなくても眼科の検査を受けてください。見え方の変化を感じたら、すぐに伝えましょう。
治療を始めたあとの「免疫回復ぶどう膜炎」
ACCの手引きによると、
- 抗HIV療法でCD4数が上がると、すでにおさまっていたCMV網膜炎の目に、新たに炎症(硝子体のにごりなど)が出ることがあります。これを免疫回復ぶどう膜炎といいます
- 治療を始めたあとも、眼科での経過観察が大切です
梅毒と目
ACCの手引きによると、
- 梅毒はHIVと重複感染が多く、さまざまな形をとるため、ぶどう膜炎があるときは梅毒の検査も必要です
- 見通しは比較的よいものの、診断が遅れると視力に影響するため、早期の診断がのぞまれます
- 目の梅毒の多くは神経梅毒を合併しているため、米国CDCのガイドラインでは神経梅毒に準じた治療がすすめられています
くわしくは、梅毒が目・耳・神経に及ぶとを見てください。
ほかにも
ACCの手引きによると、
- 抗HIV療法のあと、一時的なアレルギー性結膜炎が起こることがあります。ほとんどは目薬でよくなりますが、まれに重い副作用のこともあります
- 一部のHIVの薬の副作用で血糖や脂質が上がると、糖尿病網膜症の悪化や網膜の血管のつまりに注意が必要です
サイトメガロウイルスが目以外(食道・腸・脳)におこす病気については、HIVとサイトメガロウイルス(目以外)にまとめています。
まとめ
- HIVの目の病気の多くは、CD4が200未満で起こる。この時期は眼科の検査を
- サイトメガロウイルス網膜炎は、治療しないと失明することがある
- 治療は、抗ウイルス薬と抗HIV療法による免疫の回復
- 治療を始めたあとの免疫回復ぶどう膜炎にも注意
- 梅毒による目の炎症もHIVと重なることが多い。早期の診断を
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:HIV感染症に合併する眼病変(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part3/sec08.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
