HIVとサイトメガロウイルス(目以外):免疫がとても下がる(CD4が50未満)と、ひそんでいたウイルスが再び活動。食道の潰瘍で飲みこむと強く痛む、腸炎で突然大量の下血、脳では認知の低下やしびれ。熱が出ないことが多く見のがされやすい
サイトメガロウイルス(CMV)は、多くの人がいつのまにか感染し、体の中にひそんでいるウイルスです。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2022年)によると、HIVで免疫がとても下がった状態(CD4数50未満)が続くと、ひそんでいたウイルスが再び活動して臓器に障害をおこします。もっとも多いのは網膜炎ですが、食道の潰瘍(飲みこむときの強い痛み)、腸炎(突然の大量の下血)、脳の病気(意識の変化、認知の低下、しびれ)もあります。熱が出ないことが多く、見のがされやすいとされています。

プレ男サイトメガロウイルスって、HIVで目の病気をおこすウイルスだよね。目以外にも病気をおこすの?

メル美妊娠中に気をつけるウイルスとしても聞いたことがあるよ。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVとサイトメガロウイルス(CMV)感染症(目以外)の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「サイトメガロウイルス感染症(CMV感染症、網膜炎を除く)」(2022年9月29日更新)をもとにまとめました。目の病気(網膜炎)についてはHIVと目の病気を見てください。
ひそんでいたウイルスが再び活動する
ACCの手引きによると、
- サイトメガロウイルスは、母子感染や性行為などを通じて感染し、症状が出ても出なくても、そのあと体の中にひそみ続けます
- HIVで免疫がとても下がった状態(CD4数50未満)が続くと、ひそんでいたウイルスが再び活動して、臓器に障害をおこします
- HIVのある人のCMV感染症では、熱が出ることはまれです。臓器の障害では網膜炎がもっとも多いですが、食道や腸、脳や神経にも起こります
妊娠中のサイトメガロウイルスについては、妊娠中に気をつけたい「サイトメガロウイルス」と「トキソプラズマ」を見てください。
食道と腸
ACCの手引きによると、
- 食道の潰瘍:飲みこむときの痛みや胸の痛みなど、カンジダの食道炎とくらべて激しい痛みをともなうことが多いとされています
- 腸炎:腹痛が中心のこともありますが、強いおなかの症状がないまま、突然の大量の下血でおこることもあります。免疫が下がったHIVの人では、大量の下血からショック状態になることも少なくありません
- 大量の下血では、アメーバ赤痢による腸炎との見分けがむずかしく、両方が重なっていることもあるため、両方の治療を同時に始めることも考えるとされています(アメーバ赤痢)

HIVで免疫が下がっているときの大量の下血は、命にかかわることがあります。すぐに救急を受診してください。飲みこむときの強い痛みも、早めに主治医に伝えましょう。
脳と神経
ACCの手引きによると、
- 頻度は高くありませんが、長いあいだCD4数が低い人などに起こることがあります
- 意識の変化や認知機能の低下で気づかれることが多く、しびれなどから疑われることもあります
- 熱が出ないことが多く、はじめは見のがされることがあります。適切に治療しても重い後遺症が残ることが多いため、早く疑って治療を始めることが大切とされています
脳のほかの病気については、HIVと脳の病気を見てください。
治療
ACCの手引きによると、
- 食道や腸の病気では、抗ウイルス薬で3〜6週間、または症状がなくなるまで治療します
- 網膜炎がなければ、すみやかに抗HIV療法を始めて免疫を回復させるべきとされています。目以外のCMV感染症では、抗HIV療法を始めたあとの問題になる免疫再構築症候群はまれとされています
- 脳の病気では、抗ウイルス薬だけでウイルスをおさえるのはむずかしいことが多く、抗HIV療法による免疫の回復が重要です
CD4数ごとの病気は、HIVの「CD4数」でわかることを見てください。
まとめ
- サイトメガロウイルスは、多くの人の体にひそんでいるウイルス
- HIVでCD4数が50未満の状態が続くと、再び活動して病気をおこす
- 食道:飲みこむときの強い痛み。腸:突然の大量の下血
- 脳:意識の変化、認知の低下、しびれ
- 熱が出ないことが多いので見のがされやすい。治療は抗ウイルス薬と抗HIV療法
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:サイトメガロウイルス感染症(CMV感染症、網膜炎を除く)(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no30.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
