HIVの「CD4数」でわかること:免疫の強さの目安。500より多いときから帯状疱疹や口のカンジダが出はじめ、200未満でニューモシスチス肺炎、50未満でサイトメガロウイルス感染症など。数に合わせて予防や検査をする。治療はCD4数にかかわらず始める
HIVの検査や治療で出てくる「CD4数」。CD4陽性リンパ球は免疫の中心となる細胞で、HIVはこの細胞をこわしていきます。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2022年)の表によると、CD4数が200〜500では細菌性肺炎、肺結核、帯状疱疹、口のカンジダ、200未満ではニューモシスチス肺炎、100未満ではトキソプラズマ脳症や食道カンジダ症、50未満ではサイトメガロウイルス感染症などが起こりやすくなります。CD4数が200未満では、肺炎の予防薬や眼科の検査も行います。

プレ男HIVの記事を読んでると「CD4数が200未満」ってよく出てくるけど、CD4数ってなんなの?

メル美数字によって、気をつける病気が変わるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVの「CD4数」の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「CD4数と考えられる疾患」(2022年9月29日更新)などをもとにまとめました。HIVそのものについてはHIVを見てください。
CD4数とは
- CD4陽性リンパ球は、体を感染症などから守る免疫の中心となる白血球の一種です。HIVはこの細胞に感染して、こわしていきます
- 血液1マイクロリットル(1立方ミリメートル)あたりのCD4陽性リンパ球の数をCD4数といい、免疫の強さの目安になります。数が少ないほど、免疫が下がっていることを示します
(更新)研究班の「抗HIV治療ガイドライン」(2026年3月)によると、CD4数は、HIV感染症で障害を受けた免疫力を反映する重要な指標で、健康な人のCD4数は500〜1,000/μLです。HIVのある人で200/μL未満になると、日和見感染症のリスクが高まります。測るたびの変動が大きいとされています。また、治療でCD4数がもとにもどっても、数か月薬を休むと再び低くなるため、治療を続けることが欠かせないとしています。
CD4数ごとに起こりやすい病気
ACCの手引きの表(出典:Ann Intern Med 1995)によると、CD4数によって、次のような病気が起こりやすくなります。
| CD4数 | 感染症 | 感染症以外 |
|---|---|---|
| 500より多い | 腟カンジダ | 全身のリンパ節が腫れ続ける(持続性全身リンパ節腫脹) |
| 200〜500 | 細菌性肺炎、肺結核、帯状疱疹、口のカンジダ、カポジ肉腫、口の毛状白板症 | 子宮頸がん、悪性リンパ腫、血小板減少症、リンパ性間質性肺炎 |
| 200未満 | ニューモシスチス肺炎、播種性ヒストプラズマ症、播種性コクシジオイデス症、粟粒・肺外結核、進行性多巣性白質脳症 | 消耗症候群(やせ)、末梢神経障害、HIV脳症 |
| 100未満 | トキソプラズマ脳症、慢性のクリプトスポリジウム症、ミクロスポリジウム症、食道カンジダ症 | |
| 50未満 | サイトメガロウイルス感染症、播種性MAC症(非結核性抗酸菌症) | 中枢神経のリンパ腫 |

プレ男200未満になると、ニューモシスチス肺炎みたいな重い病気が出てくるんだね。でも、帯状疱疹や口のカンジダは、もっと前から出ることがあるんだ。
それぞれの病気については、次の記事も見てください。
- エイズを発症してからHIVがわかるとき(ニューモシスチス肺炎など)
- HIVと結核
- HIVと細菌の肺炎(肺炎球菌など)
- HIVと非結核性抗酸菌症(播種性MAC症など)
- HIVと帯状疱疹
- HIVと悪性リンパ腫、カポジ肉腫
- HIVと目の病気(サイトメガロウイルス網膜炎)
- HIVで血小板が減ることがある(血小板減少症)
- HIVと脳の病気(トキソプラズマ脳症、進行性多巣性白質脳症など)
CD4数に合わせて、予防や検査をする
ACCの手引きによると、
- CD4数が200未満で、ニューモシスチス肺炎を発症していない人には、予防薬を使います(一次予防)。抗HIV療法でCD4数が200以上の状態が3か月続いたら、予防をやめることができます
- HIVに合併する目の病気の多くはCD4数が200未満で起こるため、この時期には眼科の検査が必要です
- HIVと診断されたすべての人に、結核の感染を調べる血液検査がすすめられています

CD4数は、どんな病気に気をつければよいかを知るための大切な目安です。でも今は、CD4数がまだ高くても、すぐに抗HIV療法を始めることがすすめられています。
治療はCD4数にかかわらず始める
ACCの手引きによると、
- 以前は、CD4数が下がるのを待ってから治療を始めていましたが、今はCD4数にかかわらず、すべてのHIV感染者に治療を始めることがすすめられています(厚生労働省研究班の抗HIV治療ガイドライン、2022年3月)
- CD4数が200以上でも、治療していないと、心臓・血管の病気やがんなどが増えることがわかったためです
くわしくは、HIVの治療はいつ始める?を見てください。
CD4数がとても低いときに起こることがある感染症の一つは、HIVとノカルジア感染症にまとめています。免疫が下がっているときのはしかについては、HIVとはしか(麻しん)を見てください。CD4数によって飲みはじめる予防の薬については、HIVで「日和見感染症の予防薬」を飲むのはなぜ?にまとめています。
まとめ
- CD4数は、HIVがこわしていく免疫の細胞の数で、免疫の強さの目安
- 200〜500で帯状疱疹や口のカンジダ、200未満でニューモシスチス肺炎、50未満でサイトメガロウイルス感染症などが起こりやすい
- 200未満では、肺炎の予防薬や眼科の検査
- 治療は、CD4数にかかわらず始める
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:CD4数と考えられる疾患(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part1/2-02.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:ニューモシスチス肺炎(PCP)(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no27.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:HIV感染症に合併する眼病変(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part3/sec08.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:結核(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no25.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:抗HIV療法の開始時期と薬剤選択(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part3/sec01.html (閲覧日:2026年10月10日)
- HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究班. 抗HIV治療ガイドライン(2026年3月) HIV感染症の病状を把握するためのパラメーター. https://hiv-guidelines.jp/2026/part03-2.htm (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
