HIVと細菌の肺炎:HIVがあると肺炎球菌の肺炎が10倍以上、血液に菌が入る重い形は100倍とされる。CD4数にかかわらず起こる。肺炎球菌ワクチンで肺炎のリスクを下げられる
HIVのある人は、細菌による肺炎にかかりやすいことが知られています。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2022年)によると、とくに肺炎球菌による肺炎のリスクが高く、HIVのない人の10倍以上、菌が血液に入る菌血症は100倍とされ、重くなりやすいとされています。CD4数にかかわらず起こり、症状は熱、せき、たんなど、HIVのない人と同じことが多いです。結核などが重なっていることもあるので注意が必要です。肺炎球菌ワクチンで、肺炎のリスクが下がることが確かめられています。

プレ男HIVで治療中の知り合いが、主治医から「肺炎球菌のワクチンを受けておきましょう」って言われたんだって。HIVだと肺炎になりやすいの?

メル美肺炎球菌のワクチンって、お年寄りが受けるものだと思ってた。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVと細菌による肺炎の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「細菌性肺炎」(2022年9月29日更新)をもとにまとめました。
HIVがあると細菌の肺炎にかかりやすい
ACCの手引きによると、
- HIVでは、おもに細胞性免疫が下がるため、細菌の肺炎はあまり注目されませんが、実際にはHIVのある人は細菌性肺炎になる頻度が高いとされています
- 原因の菌は、肺炎球菌やインフルエンザ菌が多く、HIVのない人と変わりません
- とくに肺炎球菌による肺炎のリスクが高く、HIVのない人の10倍以上、菌が血液の中に入る菌血症は100倍とされ、重くなりやすいとされています

HIVのある人は、肺炎球菌の肺炎にかかりやすく、重くなりやすいことがわかっています。ワクチンで予防できるので、主治医と相談しましょう。熱やせきが続くときは、早めに受診してください。
症状
ACCの手引きによると、
- 細菌性肺炎は、CD4数にかかわらず起こります
- 症状は、熱、せき、たんなど、HIVのない人と同じことが多いとされています
- ただ、レントゲンでニューモシスチス肺炎とよく似た形になることもあり、いくつかの病気が重なっていることもまれではないため注意が必要です。とくに結核が重なっていないかを、いつも考えるとされています(HIVと結核)
CD4数ごとに起こりやすい病気については、HIVの「CD4数」でわかることを見てください。
治療と予防
ACCの手引きによると、
- 治療は、ふつうの細菌性肺炎の治療に準じます
- 肺炎球菌ワクチンの接種で、肺炎になるリスクが下がることが確かめられています。その効果は、CD4数が100未満のときに接種した場合にもみられたとされています
(更新)ACCの参考図表「HIV感染者のワクチン接種」(2024年2月22日更新)では、肺炎球菌ワクチンはCD4数が50より多い人に接種がすすめられ、結合型ワクチン(PCV13)のあと8週以上あけて多糖体ワクチン(PPSV23)を接種するとされています。CD4数が200より多くなってからPPSV23を接種すべきとする意見もあるとしています。日本での費用の扱いは、引き続き確認していません。くわしくはHIVがある人のワクチンを見てください。
まとめ
- HIVのある人は、細菌の肺炎にかかりやすい
- とくに肺炎球菌の肺炎は10倍以上、菌血症は100倍とされ、重くなりやすい
- CD4数にかかわらず起こる。症状は熱・せき・たんなど
- 結核などが重なっていることもある
- 肺炎球菌ワクチンで、肺炎のリスクを下げられる
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:細菌性肺炎(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no23.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き 参考図表:HIV感染者のワクチン接種(Last updated: 2024-02-22). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part1/3-02.html (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
