HIVと帯状疱疹:HIVがあると帯状疱疹になりやすく、抗HIV療法を受けていても一般の3倍以上。若いのに帯状疱疹になったら、HIV検査も考えて。おでこや鼻の帯状疱疹は目の合併症に注意。50歳以上はワクチンも
帯状疱疹は、HIVとかかわりの深い病気のひとつです。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2023年)によると、HIVのある人は、抗HIV療法ができる前はHIVのない人の15倍以上、抗HIV療法を受けていても一般の人の3倍以上、帯状疱疹になりやすいと報告されています。とくにCD4数が200未満でリスクが上がり、抗HIV療法を始めてから6か月は増えるという報告もあります。おでこや鼻の帯状疱疹では、急に失明するおそれのある目の合併症に注意が必要です。帯状疱疹は、HIV検査を考えるきっかけのひとつでもあります。

プレ男20代の友だちが帯状疱疹になったんだって。お医者さんに「HIVの検査も受けてみませんか」って言われたらしいんだけど、なんで?

メル美帯状疱疹って、お年寄りの病気だと思ってた。免疫と関係があるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVと帯状疱疹の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「帯状疱疹」(2023年12月4日更新)をもとにまとめました。帯状疱疹そのものと、性器ヘルペスとの見分け方については、おしりや陰部の片側に、痛い水ぶくれが帯のようにを見てください。
帯状疱疹とは
ACCの手引きによると、
- 水ぼうそう(水痘)と同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が原因です
- 水ぼうそうが治ったあとも、ウイルスは神経の根もとにひそんでいて、免疫が下がると再び活動して、その神経が通る皮膚に水ぶくれができます。これが帯状疱疹です
- 発疹が出る数日前から痛みが出て、その後、体の片側に、神経にそって赤み・ぶつぶつ・水ぶくれが帯のように出ます
HIVがあると、帯状疱疹になりやすい
ACCの手引きによると、
- HIVのある人では、抗HIV療法ができる前の報告で、帯状疱疹のリスクがHIVのない人の15倍以上、抗HIV療法を受けるようになってからも一般の人の3倍以上と報告されています
- 帯状疱疹はCD4数に関係なく起こることがありますが、とくにCD4数が200未満でリスクが上がります
- 抗HIV療法を始めてから6か月は、免疫が回復するときの反応(免疫再構築症候群)として、帯状疱疹が増えるという報告が複数あります
- HIVのある人の20〜30%が、1回以上帯状疱疹にかかったことがあるとされています
また、ACCの手引きの「HIV検査を考慮すべき状況」では、帯状疱疹は、治療を受けていないHIV感染者によくみられるもののひとつとして挙げられています(こんなときはHIV検査を)。

帯状疱疹は、HIVに気づくきっかけのひとつになることがあります。若い人で帯状疱疹になったときや、性感染症の心当たりがあるときは、HIV検査も考えてみてください。HIVは、早く見つけて治療すれば、エイズの発症を防げます。
目や神経の合併症に注意
ACCの手引きによると、
- おでこや鼻の上のほう(三叉神経の第1枝・第2枝の範囲)の帯状疱疹では、急に失明するおそれのある重い目の合併症(網膜が壊死する病気)が起こることがあります。このようなときは眼科を受診することがすすめられています
- まれに、髄膜炎、脊髄炎、脳炎を起こした報告もあります
- HIVのある人の10〜15%が、帯状疱疹の治療のあとに帯状疱疹後神経痛(痛みが長く残る)になるとされ、早めの治療と痛みのコントロールが大切です
治療
ACCの手引きによると、
- 発疹がかぎられた範囲なら、抗ウイルス薬の飲み薬を5〜7日間使うのが標準的な治療です
- 顔の神経や、広い範囲に広がっているとき、内臓にも及んでいそうなときなどは、点滴での治療がすすめられます
- 薬は腎臓から出ていくので、腎臓の働きによって量を調整します
体の片側にピリピリした痛みや水ぶくれが出たら、早めに受診しましょう。
ワクチン
ACCの手引きによると、
- 帯状疱疹の予防にはワクチンが役に立ちます。HIVのある人も、一般の人と同じく50歳以上での接種がすすめられています
- CD4数によって推奨は変わりませんが、専門家によっては、ウイルスがおさえられてから、CD4数が回復してからの接種がよいとする場合もあります
- 使われるのは、2回接種の不活化ワクチン(組換えワクチン)で、2回目は2か月後(6か月以内)とされています
日本の帯状疱疹ワクチンの定期接種については、帯状疱疹ワクチンを見てください。
まとめ
- HIVがあると、帯状疱疹になりやすい(抗HIV療法を受けていても一般の3倍以上)
- とくにCD4数が200未満、抗HIV療法を始めてから6か月は増えることも
- 帯状疱疹は、HIV検査を考えるきっかけのひとつ
- おでこや鼻の帯状疱疹は、目の合併症に注意して眼科へ
- 治療は早めに。50歳以上はワクチンも
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:帯状疱疹(Last updated: 2023-12-04). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no22.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:HIV検査を考慮すべき状況(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part1/3-01.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
