こんなときはHIV検査を:ほかの性感染症にかかった、かぜのような症状が長引く、帯状疱疹やヘルペスをくり返す、妊娠した——。感染のはじめは40〜90%にかぜやインフルエンザのような症状が出るが、見逃されやすい。早く見つけて早く治療することが命を守る
HIVは、早く見つけて早く治療を始めれば、エイズの発症を防ぎ、パートナーへの感染も防げます。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の治療の手引きは、性感染症にかかったことがある、急性HIV感染症が疑われる症状がある、帯状疱疹やヘルペスをくり返す、妊娠中、HIVに感染している人と性的接触があったなどのときにHIV検査をすすめています。感染のはじめには40〜90%の人に発熱・のどの痛み・リンパ節の腫れ・発疹などが出ますが、数週間で自然によくなるため見逃されやすい病気です。

プレ男HIVの検査って、どんなときに受けたらいいんだろう。症状がないと、なかなか受けようと思わなくて。

メル美かぜみたいな症状のこともあるって聞いたけど、どう見分けるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIV検査を受けたほうがよいときの話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「HIV検査を考慮すべき状況」と「急性HIV感染症」(2022年9月29日更新)をもとにまとめました。HIVそのものについては、HIVの記事を見てください。
早く見つけることが、命を守る
ACCの手引きによると、
- HIV感染症を早く診断して、早く治療を始めることで、エイズの発症を防ぎ、感染した人の見通しがよくなります
- 治療によって、性行為による他の人への感染も防げます
- 日本では、保健所の無料・匿名の検査が広く使われています(東京で、匿名・無料でHIVと梅毒の検査)。ACCは、早く見つけて早く治療することが命に直接かかわるとして、ふつうの医療機関でも安心して検査を受けられるようにする必要があるとしています

HIVは、早く見つけて治療を始めれば、エイズの発症を防ぎ、ふつうに暮らせる病気になりました。「もしかして」と思ったら、先のばしにせず検査を。
HIV検査がすすめられる主な場面
ACCの手引きでは、代表的な例として次のような場面が挙げられています。
1. 性感染症にかかった・かかったことがある
- 性感染症にかかったことがある人には、HIV検査がすすめられます
- HIVと一緒に見つかることが多い性感染症として、梅毒、尿道炎(淋菌・クラミジア)、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、A型・B型・C型肝炎、赤痢アメーバ症などがあります。細菌性赤痢やジアルジア症などの腸の感染症、肛門のまわりのうみ(肛門周囲膿瘍)もよくみられます(ほかの性感染症があると、HIVにうつりやすい、アメーバ赤痢)
- 2012年の厚生労働省の通知で、性感染症にかかったことがある、または疑われる場合で、HIV感染症を疑うときにも、HIVの検査が保険でできることが明記されました
2. 免疫が弱っているサインがある
- 帯状疱疹、くり返すヘルペス、治りにくい皮膚の水虫など(真菌症)、治りにくい湿疹なども、治療を受けていないHIV感染者によくみられます(性器ヘルペス?それとも帯状疱疹?)
- 結核、口やのどのカンジダ症、ニューモシスチス肺炎、カポジ肉腫などがきっかけでHIVが見つかることも多いとされています(カポジ肉腫)
3. 急性HIV感染症が疑われる症状がある
- 原因のわからない発熱やリンパ節の腫れ、伝染性単核球症のような症状などがあるときは、積極的にHIV感染を疑うとされています(くわしくは下で)
4. 妊娠している
- 母子感染を防ぐため、すべての妊婦にHIV検査がすすめられています(HIVと妊娠)
5. 感染が多いグループ
- 日本のHIV感染症は、男性と性的接触のある男性(MSM)を中心に広がっていて、対策がとくに必要なグループ(キーポピュレーション)とされています。世界的には、性産業で働く人、薬物を使ったことのある人なども挙げられています
6. HIVが多い国の出身・滞在
- HIVの有病率が高い国や地域の出身の人、滞在した人で、コンドームなしの性行為など、感染のリスクがあった場合
7. HIVに感染している人と性的接触があった
- 相手がまだ治療を受けておらず、血液中のウイルスが十分におさえられていない場合は、感染するリスクがあります。感染の機会からまもないときは、PEP(曝露後予防)の対象になることもあるので、すぐに相談しましょう
8. 医療従事者の針刺し事故など
感染のはじめ:急性HIV感染症
ACCの手引きによると、
- HIVに初めて感染した人の40〜90%に、発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れ、発疹など、「伝染性単核球症のような」または「インフルエンザのような」症状が出ると考えられています
- 多くははっきりしない症状で、数週間で自然によくなるため、診断されずに見逃されやすいとされています
- ただ、症状が数週間と比較的長く続くこと、口の中のただれ(痛みのある潰瘍)や白い苔、発疹、ほかの性感染症を一緒にもっていることなどは、急性HIV感染症を考える手がかりになります
- 発疹は、典型的には5〜10mmくらいの、境目のはっきりした丸い赤い斑点とされていますが、水ぶくれやうみのような発疹の報告もあり、典型的でない例も多いとされています
- まれに、髄膜炎や顔面神経まひを起こすこともあります

メル美40〜90%に症状が出るのに、かぜと区別がつきにくいんだ……。心当たりがあるときは、症状が治っても検査を受けたほうがいいんだね。
感染してすぐは、検査で陰性になることがある
ACCの手引きによると、
- 感染してすぐ(超急性期)は、抗原と抗体を調べる検査(第4世代)や即日検査(イムノクロマト法)でも、ウインドウ期のために陰性と出ることがあります
- 急性感染を疑う場合は、1〜2週間あけてもう一度検査するか、HIV-RNA検査(PCR法)で調べる必要があります。急性HIV感染症の診断のためのHIV-RNA検査は保険がききません(2022年9月現在)
心当たりのある日から間もないときは、検査を受けるタイミングと再検査について、検査を受ける場所で相談しましょう(HIV検査で「陽性」「要確認」と言われたら)。
厚生労働省の「HIV検査・相談マップ」によると、抗体検査は心当たりから1か月以上、遺伝子の検査(NAT)は2〜3週間以上たっていれば、感染している場合は陽性になる可能性が高く、陰性でも3か月以降の再検査がすすめられています(性感染症、うつってから症状が出るまで)。
日本で見つかったときの免疫の状態や、保健所などの検査件数の推移は、数字で見る日本のHIV(2025年)にまとめています。
感染してすぐの時期の症状については、HIVに感染してすぐの時期(急性HIV感染症)を見てください。
まとめ
- HIVは早く見つけて早く治療すれば、エイズの発症と他の人への感染を防げる
- 性感染症にかかった、帯状疱疹やヘルペスをくり返す、妊娠した、HIVに感染している人と接触があったときなどは、HIV検査を
- 感染のはじめは40〜90%にかぜ・インフルエンザのような症状。でも数週間で治るので見逃されやすい
- 感染してすぐは陰性に出ることがある。1〜2週間あけて再検査を
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:HIV検査を考慮すべき状況(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part1/3-01.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:急性HIV感染症(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no19.html (閲覧日:2026年10月10日)
- 厚生労働省. HIV検査・相談マップ「HIV検査まめ知識」. https://www.mhlw.go.jp/hivkensa/knowledge/mame (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
