アメーバ赤痢:性的な接触でうつることも。イチゴゼリーのような粘血便、くり返す下痢。痔や潰瘍性大腸炎とまちがわれることも
アメーバ赤痢は、赤痢アメーバという原虫による感染症です。汚染された飲食物のほか、性的な接触のときの糞口感染でもうつります。日本では2019〜2024年に3,483例が届け出られ、男性が86〜92%、感染経路がわかった中では性的接触が22〜28%でした。粘血便・下痢・しぶり腹が数週ごとに良くなったり悪くなったりし、痔や潰瘍性大腸炎とまちがわれることも。症状、検査、予防をまとめました。

プレ男ここ1か月くらい、下痢に血と粘液がまじるんだ。痔かなと思ってたけど、良くなったり悪くなったりで…。

メル美血が続くなら、ちゃんと調べたほうがいいよ。性感染症でうつる腸の病気もあるって聞いたことがある。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、アメーバ赤痢の話です。国立健康危機管理研究機構(JIHS)の情報をもとにまとめました。「赤痢」という名前ですが、細菌性赤痢とは別の病気で、性的な接触でうつることもあります。
どんな病気?
- 赤痢アメーバという原虫(とても小さな生き物)による感染症です
- 主な感染経路は、赤痢アメーバのシスト(殻をかぶった形)に汚染された飲食物と、感染した人からの糞口感染。性的な接触のときの糞口感染も報告されています
- 感染症法の5類感染症(全数把握)で、診断した医師は7日以内に届け出ます
- ワクチンはありません
日本での届け出
国立感染症研究所(当時)がまとめた、2019年〜2024年(第46週まで)の届け出によると、
-
合計3,483例。年間の報告数は減少傾向で、2023年・2024年は400例台
-
診断時の年齢の中央値は約55歳。男性が86〜92%
-
感染経路は、不明が53〜61%、性的接触のみが22〜28%、経口(飲食物)のみが13〜19%
-
国内感染が64〜68%。東京・神奈川・大阪・愛知など大都市からの報告が多い
-
なお、報告数が減った理由ははっきりせず、慎重に解釈する必要があるとされています

メル美感染経路がわかっている中では、性的接触が多いんだね。
症状
- 潜伏期間は通常2〜3週間ですが、数か月〜数年におよぶこともあります
- 粘血便(血と粘液のまじった便)、下痢、しぶり腹(便意があるのに少ししか出ない)、排便のときの下腹部の痛み
- 熱が出ることは少なく、症状は数週間ごとに良くなったり悪くなったりして、慢性に続くことが多いとされます。ふつうに生活できてしまうため、見過ごされやすい病気です
- 症状のない保菌者も多く、長いあいだシストを出し続けることがあります
肝臓に膿がたまることも
- 大腸炎の約5%で腸の外に病気ができ、その多くが肝膿瘍(肝臓に膿がたまる)です
- 熱、右上腹部の痛みなどが出ます。はじめはかぜやインフルエンザとまちがわれることも多く、腸の症状がないことも半分ほどあります
まちがわれやすい
- 血便で受診しても、痔や大腸の腫瘍を心配され、中には潰瘍性大腸炎とまちがわれて長く治療を受けていた例もあります
- アメーバ赤痢はステロイドで悪化するため、潰瘍性大腸炎として治療されていると、腸に穴があくなどして急に悪くなることがあります
- 「性的な接触の心当たりがある」「海外旅行のあと」などは、恥ずかしがらずに医師に伝えてください
検査と治療
- 便(粘血)や大腸の粘膜から原虫を見つける、抗原や血液の抗体を調べる、などで診断します。内視鏡の所見も手がかりになります
- 治療は抗原虫薬です。第一選択はメトロニダゾールとされています
- ほかの性感染症(梅毒、HIV、B型肝炎、性器ヘルペスなど)を合併していることが少なくないとされるので、あわせて検査を受けましょう(梅毒、HIV)
予防
- 手洗いが大切です。流行地域では、生水や生の食品を避けます
- 性的な接触では、口と肛門がふれる行為(肛門をなめるなど)で糞口感染が起こりえます。コンドームやデンタルダムなどで直接ふれない工夫を
- A型肝炎も同じ糞口感染でうつるので、ワクチンも検討を(A型肝炎)

プレ男痔だと思いこまずに、心当たりも正直に伝えて、ちゃんと検査を受けよう。

血や粘液のまじった下痢が、良くなったり悪くなったりしながら続くときは、アメーバ赤痢のこともあります。性的な接触の心当たりも含めて、医師に伝えてください。
同じように肛門と口がふれる性行為でうつる原虫の病気に、ジアルジア症があります。
まとめ
- アメーバ赤痢は赤痢アメーバ(原虫)の感染症。飲食物と性的な接触のときの糞口感染でうつる
- 日本の届け出は2023・2024年で年400例台。男性が約9割、わかった経路では性的接触が多い
- 粘血便・下痢・しぶり腹が良くなったり悪くなったり。熱は少ない
- 痔や潰瘍性大腸炎とまちがわれることも。ステロイドで悪化
- ほかの性感染症もあわせて検査を
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. アメーバ赤痢(2025年10月23日更新). https://id-info.jihs.go.jp/diseases/a/amoeba/index.html (閲覧日:2026年9月29日)
- 国立感染症研究所 実地疫学研究センターほか. 感染症法に基づくアメーバ赤痢の届出状況、2019年第1週〜2024年第46週(2024年11月17日時点報告分まで). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/article/entamoeba/010/index.html (閲覧日:2026年9月29日)
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. アメーバ赤痢(詳細版)(IDWR 2002年第30号掲載). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/amebiasis/detail/index.html (閲覧日:2026年9月29日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。