A型肝炎ってどんな病気?性行為でうつるA型肝炎のうつり方・症状・予防
A型肝炎は、食べ物だけでなく性行為でもうつる肝炎です。2018年には男性どうしの性的接触による大きな流行もありました。うつり方、症状と経過、検査、治療、ワクチンによる予防までまとめました。

メル美A型肝炎って、性行為でもうつるの?
こんにちは、Dr. Taro です。 「A型肝炎は、生の貝などを食べてかかる病気」——そう思っている人も多いと思います。でも実は、A型肝炎は性行為でもうつる、性感染症のひとつでもあります。今回は、性感染症としてのA型肝炎についてお話しします。
A型肝炎ってどんな病気?
A型肝炎は、A型肝炎ウイルスによる肝臓の感染症です。
- ウイルスは便の中に出てきて、それが口に入ることでうつります(糞口感染)
- ウイルスに汚染された水や食べ物(生の貝など)のほか、性行為でもうつります
- 多くは2〜3か月で自然に治り、B型肝炎やC型肝炎と違って慢性化しません
- 一度かかると、一生、免疫がつきます
性行為でもうつる
肛門を舐める、指を入れるなど、肛門に触れるような性行為で、便に含まれるウイルスが口に入ることがあります。
2018年の男性どうしの流行
2018年、日本でA型肝炎の報告が 926例(暫定値)と、例年(年に100〜300例ほど)より大きく増えました。
- このうち、男性どうしの性的接触による感染とされた例が396例(43%)で、食べ物などによる感染を上回りました
- 患者の 9割が男性でした
- この流行のウイルスは、2015年以降に台湾やヨーロッパで流行を起こしたものと同じ型でした
海外でも、2020年以降、男性どうしの間でのA型肝炎の流行が報告されています。
また、日本では 60歳未満のほぼ全員(99%)が、A型肝炎の免疫を持っていないと推定されています。一度流行が起きると、広がりやすい状況です。
症状と経過
- うつってから症状が出るまでは、2〜6週間です
- 発熱、だるさ、食欲がない、吐き気、頭痛、腹痛などに続いて、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、濃い色の尿などが出ます
- 大人の約90%は症状が出ます。一方、5歳以下の子どもの約90%は、症状が出ません
- 年齢が上がるほど、重症になりやすいとされています
- 多くは2〜3か月で自然に治ります(亡くなる割合は0.5%未満)が、まれに劇症化することがあります
症状が出る前から、うつす
A型肝炎ウイルスは、症状が出る約2週間前から、症状が出たあと数か月まで、長く便の中に出てきます。そのため、症状が出る前から、ほかの人にうつす可能性があります。
A型肝炎は、症状が出る前からうつります。黄疸や濃い色の尿に気づいたら、早めに受診してくださいね。
検査は?
A型肝炎の検査は、血液検査で抗体を調べます。目的によって、調べる抗体が違います。
- いま、A型肝炎にかかっているか(急性期の診断):IgM型の抗体(HA-IgM抗体) を調べます。この抗体は、発症から約1か月後にいちばん高くなり、3〜6か月後には陰性になります
- ワクチンが必要か(すでに免疫があるか):IgG型の抗体(HA-IgG抗体) を調べます。陽性なら、過去にかかったか、ワクチンで免疫がついていると考えられます
肛門に触れる性行為をしたというだけで、症状がないのに検査をすることはありません。発熱や黄疸など、A型肝炎を疑う症状があるときに検査します。 A型肝炎と診断されると、医師は保健所に届け出ることになっています(4類感染症)。
治療は?
A型肝炎ウイルスに効く薬はなく、症状に合わせた治療が中心です。症状が強い急性期には、入院して安静にし、血液検査で重症化していないかを確認します。
A型肝炎と診断された場合は、入院や専門的な治療ができるほかの医療機関に紹介することになります。
予防するには
- A型肝炎ワクチン:A型肝炎は、ワクチンで予防できます。くわしくは A型肝炎ワクチンのページをご覧ください
- 感染したかもしれないとき:ウイルスに触れてから 14日以内なら、ワクチンを接種することができます。米国CDCも、2週間以内の接種で発症を防げる可能性があるとしています
- 手洗い:トイレのあとや、性行為のあとはしっかり手を洗いましょう
- コンドームは、肛門を舐める行為などによる感染は防げません
パートナーにも
A型肝炎は、症状が出る前からうつるため、気づかないうちにパートナーにうつしていることがあります。A型肝炎と分かったら、パートナーにも伝えて、受診やワクチンを考えてもらいましょう。
まとめ
- A型肝炎は、便に含まれるウイルスが口に入ってうつる。肛門に触れるような性行為でもうつる
- 2018年には、男性どうしの性的接触による大きな流行があった
- 大人は約9割に症状が出る。多くは2〜3か月で自然に治り、慢性化しないが、まれに劇症化
- 症状が出る前からうつす
- ワクチンで予防できる。感染したかもしれないときも、14日以内ならワクチンを接種できる
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構. A型肝炎(2025年6月26日更新). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/hepatitis-a/index.html (閲覧日:2026年9月25日)
- 国立健康危機管理研究機構. A型肝炎(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/viral-hepatitis-a/detail/index.html (閲覧日:2026年9月25日)※ページに「更新作業中」との注記あり
- 国立感染症研究所. IASR 40(9), 2019【特集】A型肝炎 2015年〜2019年3月現在. https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/hepatitis-a-m/hepatitis-a-iasrtpc/9107-475t.html (閲覧日:2026年9月25日)
- 国立健康危機管理研究機構. 世界における男性間性交渉者(MSM)間でのA型肝炎のアウトブレイク. IASR 2026;47(3). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/pathogens/vol47/553/553r04.html (閲覧日:2026年9月25日)
- Centers for Disease Control and Prevention. Clinical Overview of Hepatitis A. https://www.cdc.gov/hepatitis-a/hcp/clinical-overview/index.html (閲覧日:2026年9月25日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
