【2026年9月の速報】エムポックスは前年の約32倍、A型肝炎は約3倍。梅毒は前年より少ないけれど、まだ年8,000件ペース。国の速報データで確認
国立健康危機管理研究機構の速報データ(2026年第37週まで)によると、1月〜9月中旬の全国の報告数は、エムポックスが128件(前年同じ時期は4件)、A型肝炎が285件(同96件)と大きく増えています。梅毒は8,158件で前年同じ時期の9,871件より少ないものの、依然として多い状態です。HIV感染症・エイズは659件。性感染症の今の状況と、できることをまとめました。

プレ男梅毒が増えてるってニュース、最近はあんまり聞かなくなった気がする。もう落ち着いたのかな?

メル美ほかの性感染症はどうなんだろう。今年の数字を見てみよう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、2026年の性感染症の「いま」を、国の速報データで確認します。国立健康危機管理研究機構が毎週公開している「感染症発生動向調査(IDWR)速報データ」の、2026年第37週(9月7日〜13日)までの累積報告数を、前の年の同じ時期とくらべました。
| 病気 | 2025年(第37週まで) | 2026年(第37週まで) | うち東京都(2026年) |
|---|---|---|---|
| 梅毒 | 9,871 | 8,158 | 1,948 |
| HIV感染症・エイズ | 600 | 659 | 195 |
| A型肝炎 | 96 | 285 | 130 |
| エムポックス | 4 | 128 | 110 |
| アメーバ赤痢 | 326 | 357 | 67 |
- 速報値なので、あとから数字が変わることがあります
- ここでの数字は「報告された数」です。検査を受けていない人は数に入りません
エムポックス:前の年の約32倍
- 2026年は第37週までに128件(2025年の同じ時期は4件)。そのうち110件が東京都です
- 東京都感染症情報センターによると、都内の報告は2023年168件、2024年14件、2025年17件で、2026年は3月末の段階で31件。2026年4月には、都内でクレードIbという型の患者も確認されています
- 国内・都内で最も多い感染経路は、接触感染(性的接触を含む)とされています
- 発熱や頭痛、リンパ節のはれのあとに、水ぶくれのような発疹が出ます。陰部や口の中にできることもあります(エムポックス)

メル美去年はほとんどなかったのに、今年は東京で100件以上も…。
「クレードIb」ってなに?
- エムポックスのウイルスには、大きくクレードIとクレードIIの2つの系統があり、さらにIa・Ib、IIa・IIbに分かれます
- 2022〜2023年に欧米を中心に世界で流行し、東京でも2023年に168件の報告があったのは、比較的症状の軽いクレードIIbでした
- クレードIbは、2023年以降にコンゴ民主共和国で増えた新しい株で、大部分は性的接触で広がったと推定されています。周辺の国でも急増したため、WHOは2024年8月に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました(2025年9月に解除)
- クレードIbの流行では、女性や子どもの感染者も報告されています
- 以前はクレードIのほうが亡くなる人の割合が高いと報告されていましたが、東京都感染症情報センターは、今はどのクレードでも過去の報告より低く、適切な治療でさらに下がると報告されている、としています
東京では、夏からクレードIbが中心に
- 東京都の週報(第1〜37週)を集計すると、都内のエムポックスは106件で、そのうち46件がクレードIbでした(組換え体をふくむ可能性あり)
- クレードIbは第17週(4月下旬)に初めて報告され、7月下旬(第30週)以降は、報告の大半がクレードIbになっています
A型肝炎:前の年の約3倍
- 2026年は第37週までに285件(2025年の同じ時期は96件)。そのうち130件が東京都です
- A型肝炎は、汚染された食べもの・水のほか、性行為(とくにお尻を使う行為)でもうつります。世界では、男性どうしの性行為を通じた流行も報告されています
- ワクチンで予防できる病気です(A型肝炎、A型肝炎ワクチン)
なぜ増えた?東京の報告から
国や都から「増えた理由」のまとまった発表は、まだ見つけられていません。そこで、東京都感染症情報センターの週報(2026年第1〜37週)に書かれた患者さんの情報を集計しました。
- 都内のA型肝炎は128件。7月下旬(第30週)以降は、週に10件前後の報告が続きました
- 推定感染地は国内が91件で、海外旅行で持ち帰った例よりも、国内での感染が中心でした
- 推定感染経路は、性的接触が54件(そのうち同性間が47件)、食べもの・水など(経口感染)が40件、性的接触か経口感染か不明なものが13件、不明が20件でした
- ワクチンを受けていた人は、ほとんどいませんでした(「接種なし」か「不明」が大半)
国立健康危機管理研究機構は、抗体を持つ人が少ない日本では、2018年のように、ウイルスが感染しやすい集団に入りこむと流行が起きやすいと注意をうながしています。今回の東京の数字では、国内での性的接触、とくに男性どうしの性行為が、わかっている感染経路のなかでいちばん多くなっています。ワクチンで予防できる病気なので、心当たりのある人は医療機関で相談を
梅毒:前の年より少ないけれど…
- 2026年は第37週までに8,158件で、2025年の同じ時期(9,871件)より約17%少なくなっています
- とはいえ、梅毒は2022年以降、毎年1万人を超える報告が続いてきました。まだ多い状態です(梅毒)
- 梅毒は症状が消えても治っていないことがあります。検査でしかわからない病気です

プレ男減ってるといっても、1日に30件くらいの報告があるペースなんだね。
HIV:前の年と同じくらいか、やや多い
- 2026年は第37週までに659件(2025年の同じ時期は600件)
- HIVは、早く見つけて治療を続ければ、エイズの発症を防ぎ、パートナーにうつさない状態を保てます。検査を受けることが、いちばんの第一歩です(HIV、東京都の無料HIV検査)
数字から考えたい、できること
- 検査を受ける:症状がなくても、新しいパートナーができたときや不安な行為のあとは検査を(検査の受け方、症状が出るまでの日数)
- コンドームを正しく使う:ただし、エムポックスのように皮ふの接触でうつるものは、コンドームだけでは防ぎきれません(コンドーム)
- ワクチンで防げるものは防ぐ:A型肝炎・B型肝炎・HPVなど
- 発疹・水ぶくれ・ただれがあるときは、性的な接触をひかえて受診を

2026年は、エムポックスが前の年の約32倍、A型肝炎が約3倍に増えています。梅毒も少し減ったとはいえ、まだ多い状態です。症状がなくても、気になることがあれば検査を受けましょう。

メル美ニュースにならなくても、数字はちゃんと動いてるんだね。2人で検査に行っておこうか。
年齢や男女別の数字(2024年の年報)は、数字で見る日本の性感染症(2024年)の記事にまとめています。
まとめ
- 2026年1月〜9月中旬(第37週まで)の全国の報告数(速報値)
- エムポックス 128件(前年同時期の約32倍、うち東京110件)
- A型肝炎 285件(前年同時期の約3倍)
- 梅毒 8,158件(前年同時期より約17%少ないが、まだ多い)
- HIV感染症・エイズ 659件
- 検査・コンドーム・ワクチンで、自分とパートナーを守ろう
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構. IDWR速報データ 2026年第37週(全数報告 報告数・累積報告数、疾病・都道府県別、2026年9月16日作成). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/provisional/2026/37/index.html (閲覧日:2026年9月29日)
- 国立健康危機管理研究機構. IDWR速報データ 2025年第37週(全数報告 報告数・累積報告数、疾病・都道府県別、2025年9月17日作成). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/provisional/2025/37/index.html (閲覧日:2026年9月29日)
- 東京都感染症情報センター. エムポックス(旧名称:サル痘)(2026年8月25日更新). https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/mpox/ (閲覧日:2026年9月30日)
- 国立健康危機管理研究機構. 世界における男性間性交渉者(MSM)間でのA型肝炎のアウトブレイク. IASR 2026;47(3). https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/pathogens/vol47/553/553r04.html (閲覧日:2026年9月29日)
- 東京都感染症情報センター. 東京都感染症週報 2026年第1〜37週(全数把握疾患の報告). https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/assets/weekly/2026/37.pdf (閲覧日:2026年9月30日)
- 国立健康危機管理研究機構. 2019〜2025年までの国内のA型肝炎の発生動向と分子疫学調査. IASR 2026;47:45-47. https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/pathogens/vol47/553/553r03.html (閲覧日:2026年9月30日)
- World Health Organization. Mpox(ファクトシート). https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/mpox (閲覧日:2026年9月30日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。