エムポックスってどんな病気?性的な接触でもうつる発疹の病気。症状・うつり方・予防
エムポックスは、エムポックスウイルスによる感染症です。日本では2022年7月に初めて報告されました。皮膚の病変や体液との接触、飛沫でうつり、性的接触による感染も報告されています。発熱やリンパ節のはれのあと、顔から全身に発疹が広がるのが特徴です。国立健康危機管理研究機構の情報をもとにまとめました。

プレ男エムポックスって、ニュースで聞いたけど、性病なの?

メル美性的な接触でもうつることがあるんだって。どんな症状なんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、エムポックス(以前の名前はサル痘)です。国立健康危機管理研究機構(JIHS)の情報をもとにまとめました。
どんな病気?
- エムポックスウイルスによる感染症です
- 1970年に、アフリカのザイール(いまのコンゴ民主共和国)で初めて報告されました
- 日本では2022年7月に、欧州でエムポックスと診断された人と接触した帰国男性が、初めての患者として報告されました
2026年は東京で増加。「クレードIb」とは
- ウイルスには、大きくクレードIとクレードIIの系統があり、さらにIa・Ib、IIa・IIbに分かれます。2022〜2023年に世界で流行したのは、比較的症状の軽いクレードIIbでした
- クレードIbは、2023年以降にコンゴ民主共和国で増えた新しい株で、大部分は性的接触で広がったと推定されています。WHOは2024年8月に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました(2025年9月に解除)
- 都内では2026年4月にクレードIbの患者が確認され、東京都の週報を集計すると、2026年7月下旬以降は報告の大半がクレードIbです。くわしくは2026年の速報をどうぞ
どうやってうつるの?
- 人から人へは、皮膚の病変や体液に触れることによる接触感染と、飛沫感染が主です
- 性的接触や、家庭内での接触による感染、リネン類(シーツなど)を介した医療従事者への感染も報告されています

プレ男皮膚どうしが触れたり、シーツを共有したりしてもうつるのか。
症状
- 潜伏期間は5〜21日(ふつうは6〜13日)
- 発熱、頭痛、リンパ節のはれ、筋肉痛で始まります
- 1〜5日後に、顔から発疹が出て、体や手足に広がります
- 発疹は、水ぶくれ → うみをもつ → かさぶたと変わり、2〜4週間で治ります
- 性器や肛門のまわり、口の中など、粘膜に病変が出ることもあります
2022年以降の流行では、症状の出方がちがうことも
2022年以降に世界で広がった流行では、主に男性どうしの性的接触でうつり、これまでとちがう症状の出方が報告されています。
- 発疹が、性器や肛門のまわり、口のまわりに集中しやすい
- 発疹が発熱などより先に出る、性器や肛門のまわりだけに出る、発疹のほかに症状がない、といった人もいる
- 発疹がなく、直腸炎による肛門の痛みや、のどの痛みだけの人も報告されている
- 痛みが強いことがあり、のどや肛門・直腸の痛みは、入院の主な理由のひとつになっています
見分けがつきにくいことも
性器や肛門のまわりのただれや発疹は、梅毒や性器ヘルペスなどでもおこります。自分で判断せず、医療機関で相談しましょう(陰部潰瘍)。
予防
- 発疹のある人との皮膚の接触、寝具やタオルの共有を避ける
- 痘そう(天然痘)ワクチンが、エムポックスの予防にも有効とされています
ワクチンは、一般の医療機関では受けにくい
- 日本では、痘そうワクチン(LC16ワクチン)が、2022年8月にエムポックスの予防にも承認されました
- ただし、厚生労働省は「国内でエムポックスの予防を目的とした接種は一般的には行われていない」としていて、接種は主に臨床研究の中で行われています
- 患者と接触した人(性的パートナー、同居人など):国立国際医療センターなどの臨床研究で、接触から14日以内に接種を受けられることがあります。保健所の調査で接触者とわかった人などが対象です
- 感染のリスクが高い人への事前の接種:WHOは、MSM(男性と性的接触をする男性)や複数の性的パートナーがいる人などへの事前の接種を推奨していますが、日本での事前接種の臨床研究は2024年12月で終了しています
- そのため、ふつうのクリニックで相談しても、ワクチンを受けられないことが多いのが現状です。心配な接触があったときは、まず保健所に相談しましょう
まとめ
- エムポックスはエムポックスウイルスの感染症。日本では2022年7月に初めて報告
- 皮膚の病変や体液との接触、飛沫でうつる。性的接触でも
- 潜伏期間5〜21日。発熱・リンパ節のはれのあと、発疹が顔から全身へ
- 梅毒やヘルペスと見分けにくい。気になる発疹は受診を
- ワクチンは主に臨床研究で接種。心配な接触があったら、まず保健所に相談
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター 国際感染症センター. エムポックス 診療の手引き 第4.0版(2026年3月). https://dcc-irs.jihs.go.jp/topics/mpox/ (閲覧日:2026年9月27日)
- 厚生労働省. エムポックスに関するQ&A. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/monkeypox_qa.html (閲覧日:2026年9月27日)
- 国立健康危機管理研究機構. エムポックス(感染症情報提供サイト). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/mpox/index.html (閲覧日:2026年9月27日)
- 東京都感染症情報センター. エムポックス(旧名称:サル痘)(2026年8月25日更新). https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/mpox/ (閲覧日:2026年9月30日)
- 東京都感染症情報センター. 東京都感染症週報 2026年第1〜37週. https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/assets/weekly/2026/37.pdf (閲覧日:2026年9月30日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
