HIVで「日和見感染症の予防薬」を飲むのはなぜ?:CD4数が200未満になると、ニューモシスチス肺炎などを防ぐ薬を飲む。抗HIV療法でCD4数が回復して続けば、予防薬はやめられる。下がれば再開
HIVの治療で、抗HIV薬のほかに「予防の薬」を飲むことがあります。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引きの参考図表(2022年、米国のガイドラインをもとにした表)によると、CD4数が200未満(または口のカンジダ症があった)のときは、ニューモシスチス肺炎を防ぐ薬を飲みはじめます。抗HIV療法でCD4数が200より多い状態が3か月以上続けば、予防薬はやめることができ、CD4数がまた200未満になったら再開します。トキソプラズマ脳炎や結核などにも、条件に応じた予防があります。

プレ男HIVがわかった知り合いが、抗HIV薬のほかに「肺炎の予防の薬」も飲んでるんだって。肺炎になってないのに、どうしてだろう。

メル美ずっと飲み続けなきゃいけないのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVで「日和見感染症の予防薬」を飲む理由の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の参考図表「日和見感染の一次予防および二次予防」(2022年9月29日更新、米国のガイドライン2022年をもとにした表)をもとにまとめました。
日和見感染症と、2つの予防
HIVで免疫(CD4数)が下がると、ふだんは問題にならない病原体で起こる日和見感染症にかかりやすくなります(HIVの「CD4数」でわかること)。ACCの表では、
- 一次予防:まだかかっていない病気を、かかる前に防ぐ
- 二次予防(再発予防):一度かかった病気の治療が終わったあと、再発を防ぐ
の2つに分けて、始める・やめる・再開する目安を示しています。
ニューモシスチス肺炎の予防
ACCの表によると、
- CD4数が200未満、または口のカンジダ症があった場合に、予防の薬(第一選択はST合剤)を飲みはじめます
- 抗HIV療法でCD4数が200より多い状態が3か月以上続けば、予防をやめることができます(CD4数100〜200でもウイルスがおさえられた状態が3〜6か月続けば、やめることを考えます)
- CD4数がまた200未満になったら、再開します
ニューモシスチス肺炎については、エイズを発症してからHIVがわかるときも見てください。

予防の薬は、抗HIV療法でCD4数が回復して、その状態が続けばやめることができます。自己判断でやめずに、やめる時期は主治医と相談してください。
ほかの病気の予防
ACCの表によると、
- トキソプラズマ脳炎:トキソプラズマの抗体が陽性で、CD4数が100未満のときに予防します。CD4数200より多い状態が3か月以上続けばやめます
- 結核:潜在性結核の検査が陽性で、活動性の結核が否定され、治療を受けたことがない場合などに予防します(HIVと結核)
- 播種性MAC症:抗HIV療法を始めれば、一次予防は原則として不要です。抗HIV療法でウイルスがおさえられず、CD4数が50未満の場合にすすめられます(HIVと非結核性抗酸菌症)
- クリプトコッカス症、サイトメガロウイルス感染症:一次予防はなく、かかったあとの再発予防を行います

メル美抗HIV療法でCD4数が回復すれば、予防の薬はやめられるんだね。
ST合剤でアレルギーが出たときのことは、HIVの予防薬「ST合剤」でアレルギーが出たらにまとめています。
まとめ
- HIVで免疫が下がると、日和見感染症にかかりやすくなる
- CD4数200未満(または口のカンジダ症)で、ニューモシスチス肺炎の予防薬を始める
- 抗HIV療法でCD4数が200より多い状態が3か月以上続けばやめられる。下がれば再開
- トキソプラズマ脳炎、結核などにも、条件に応じた予防がある
- 予防薬をやめる時期は主治医と相談
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き 参考図表:日和見感染の一次予防および二次予防(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part1/2-04.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
