梅毒が目・耳・神経に及ぶとき:見えにくい、耳鳴り、めまい、聞こえにくい——梅毒は感染の早い時期でも目や耳をおかし、失明や難聴が残ることがある。心あたりがあれば梅毒の検査を
梅毒というと陰部のしこりや発疹を思い浮かべますが、米国CDCによると、梅毒の菌は脳や脊髄(神経梅毒)、目(眼梅毒)、耳(耳梅毒)にも感染することがあり、それは梅毒のどの時期にも、感染の早い時期にも起こります。眼梅毒は失明、耳梅毒は難聴が残ることがあります。目のかすみや充血、耳鳴り、めまい、急な聞こえにくさがあって梅毒の心あたりがあるときは、検査と早い治療が大切です。

プレ男最近、片方の目がかすんで見えにくいんだ。眼科に行ったら「梅毒の検査もしましょう」って言われて…。目と梅毒って関係あるの?

メル美梅毒って、陰部だけの病気じゃないんだね。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、梅毒が目・耳・神経に及ぶときの話です。日本では梅毒が大きく増えています(梅毒)。陰部の症状がなくても、目や耳の症状から梅毒が見つかることがあります。失明や難聴が残ることもあるので、知っておいてください。
梅毒は、目・耳・神経にも感染する
米国CDCの性感染症治療ガイドライン(2021年)によると、
- 梅毒の菌は、脳や脊髄(中枢神経)に感染することがあり、これを神経梅毒といいます。梅毒のどの時期にも起こります
- 目(眼梅毒)や耳(耳梅毒)の感染も、どの時期にも起こりますが、感染の早い時期に見つかることが多いとされています。神経梅毒をともなうことも、ともなわないこともあります
国立健康危機管理研究機構も、神経梅毒・眼梅毒・耳梅毒はどの病期でも起こりうるとしています。
目の症状(眼梅毒)
- CDCによると、眼梅毒は、目の中の炎症(ぶどう膜炎)として現れることが多く、結膜炎、角膜の炎症、視神経の障害、網膜の血管の炎症など、目のさまざまな部分に起こります
- 永久に視力を失うことがあります
- 目のかすみ、見えにくさ、充血、まぶしさ、目の痛みなどがあれば、眼科を受診してください

プレ男目が見えなくなることもあるなんて…。早く検査してよかった。
耳の症状(耳梅毒)
CDCによると、耳梅毒では、
- 耳鳴り、めまい、聞こえにくさ(感音難聴)が出ます
- 難聴は片方または両方で、急に起こり、急に進むことがあります
- 永久に聞こえにくさが残ることがあります
神経の症状(神経梅毒)
CDCによると、
- 感染から数か月〜数年以内に、脳神経の障害、髄膜炎、脳卒中、急な意識や精神の状態の変化などが起こることがあります
- 10年〜30年以上たってから、歩くのが不自由になる、認知機能が落ちるなどの晩期の神経梅毒が起こることもあります(いまはまれ)

梅毒は、感染の早い時期でも目や耳をおかし、失明や難聴が残ることがあります。目や耳の症状と梅毒の心あたりがあれば、早めに検査と治療を。
検査と治療
- 梅毒の血液検査に加えて、目なら眼科の詳しい検査、神経の症状があれば髄液(背骨の中の液)の検査などを行います(梅毒の血液検査の見方)
- CDCは、眼梅毒が疑われるときはすぐに眼科と連携し、耳梅毒は耳鼻咽喉科と連携して治療するとしています
- CDCのガイドラインでは、神経梅毒・眼梅毒・耳梅毒は、ふつうの早期梅毒より強い治療(点滴のペニシリンを10〜14日など)で治療します。眼梅毒は、髄液の検査が正常でも、神経梅毒と同じように治療するとしています
- CDCは、神経梅毒・眼梅毒・耳梅毒と診断された人は、HIVの検査も受けるべきだとしています(ほかの性感染症があるとHIVにうつりやすい)
梅毒の心あたりがあるとき
- 梅毒は、しこりや発疹が自然に消えても、治っていません。目や耳の症状が、最初に気づくサインのこともあります
- 目や耳の症状で受診したときに、梅毒の心あたりがあれば、医師に伝えてください。言いにくくても、診断と治療に欠かせない情報です
- パートナーにも検査と治療が必要です(パートナーにどう伝える?)
まとめ
- 梅毒は、神経(神経梅毒)、目(眼梅毒)、耳(耳梅毒)にも感染する。どの時期にも起こり、目と耳は早い時期に多い
- 眼梅毒は失明、耳梅毒は難聴が残ることがある。耳では耳鳴り・めまい・急な聞こえにくさ
- 治療は、ふつうの梅毒より強い治療。HIVの検査も
- 目や耳の症状と梅毒の心あたりがあれば、医師に伝えて検査を
参考文献
- Workowski KA, et al. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021: Syphilis(Neurosyphilis, Ocular Syphilis, and Otosyphilis). MMWR Recomm Rep. 2021;70(4):1-187. https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/rr/rr7004a1.htm (閲覧日:2026年10月5日)
- 国立健康危機管理研究機構. 梅毒とは. https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/syphilis/detail/index.html (閲覧日:2026年10月5日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
