HIVの治療に「注射」という選択肢:カボテグラビルとリルピビリンの注射を1か月か2か月ごとに。毎日の飲み薬から切り替えられるのは、ウイルスがしっかりおさえられているなど条件を満たす人
HIVの治療は毎日の飲み薬が基本ですが、ウイルスが長くおさえられている人では、カボテグラビルとリルピビリンの注射(持効性注射剤)に切り替える選択肢があります。研究班の「抗HIV治療ガイドライン」(2026年3月)によると、1か月ごと・2か月ごとのどちらも、飲み薬とくらべて効果が劣らないことが試験で示されていて、日本の8施設の研究でも、切り替えた136人の95%超が14か月の時点までウイルスをおさえていました。一方で、切り替えには、6か月以上ウイルスがおさえられている、2つの薬への耐性がない、B型肝炎がない、決まった日に通院できるなどの条件があり、通院の予定を守れないと薬剤耐性のおそれがあります。

プレ男HIVの治療って、毎日薬を飲み続けるんだよね?

メル美注射で治療する方法もあるって聞いたよ。だれでも選べるのかな。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVの治療の注射(持効性注射剤)の話です。研究班の「抗HIV治療ガイドライン」(2026年3月)の「ウイルス学的抑制が長期に安定して得られている患者での薬剤変更」の項をもとにまとめました。HIVの治療の始め方はHIVの治療はいつ始める?を見てください。
ウイルスがおさえられている人の「薬の切り替え」
ガイドラインによると、
- 日本で抗HIV治療を受けている人の90%以上は、ウイルスがおさえられています
- 長く治療を続けるために、ウイルスをおさえるだけでなく、副作用を軽くすることや飲みやすさなど、生活の質にも気を配ります
- 薬の切り替えの原則は、将来の治療の選択肢をせばめずに、ウイルスをおさえたまま、生活の質を上げることです。切り替えの利益が不利益を上回るときに、すすめられます
- 切り替えの理由には、飲む回数や錠剤の数をへらす、食事の条件をなくす、副作用をさける、飲み合わせの問題をさけることなどがあります
注射の治療:1か月か2か月ごと
ガイドラインによると、
- カボテグラビルとリルピビリンの注射は、飲み薬からの切り替えの選択肢の1つで、1か月ごと・2か月ごとのどちらも、飲み薬とくらべて効果が劣らないことが試験で示され、承認されました
- 日本の8施設の研究では、注射に切り替えた136人のうち、95%超が14か月の時点までウイルスをおさえていて、治療の失敗はみられませんでした
- 注射への切り替えの理由には、便利さや飲み忘れがない安心感に加え、毎日薬を飲むことにともなう偏見(スティグマ)やプライバシー、飲みこむのがむずかしいことなどもあげられています。試験でも実際の診療でも、患者さんの満足度は高いと報告されています

HIVの治療には、1か月か2か月ごとの注射という選択肢があります。ただし、ウイルスがおさえられていることや、決まった日に通院できることなど、条件を満たす人が対象です。
切り替えられる人の条件
ガイドラインによると、注射への切り替えを考えるのは、
- これまでに治療がうまくいかなかったことがない
- 切り替え前6か月以上ウイルスがおさえられている
- カボテグラビルとリルピビリンへの耐性がない
- 決まった日に通院できる
- B型肝炎がない(活動性のB型肝炎がない)
- 妊娠していない・妊娠の予定がない
- 飲み合わせに問題のあるほかの薬を使っていない
などの条件を満たす人です。
注意したいこと
ガイドラインによると、
- 試験では、通院の予定を守っていても、少数で治療がうまくいかず薬剤耐性が出ました
- リルピビリンへの耐性に関わる変異、ウイルスの一部の型(サブタイプA6)、BMI 30以上のうち2つ以上あると、うまくいかないリスクが高くなりました
- 決まった通院の予定を守れない場合などは、続けるのが適切か考え直します。予定の日に注射できないと、薬剤耐性になるおそれがあります

プレ男毎日飲まなくていい代わりに、通院の予定をきちんと守ることが大事なんだね。
薬剤耐性についてはHIVの薬が効かなくなる「薬剤耐性」、B型肝炎があるときのことはHIVとB型肝炎を見てください。
まとめ
- ウイルスが長くおさえられている人は、薬の切り替えで生活の質を上げられることがある
- カボテグラビルとリルピビリンの注射を1か月か2か月ごとに。飲み薬と効果が劣らない
- 日本の研究でも、切り替えた人の95%超がウイルスをおさえていた
- 6か月以上ウイルスがおさえられている・耐性がない・B型肝炎がない・通院できるなどが条件
- 通院の予定を守れないと、薬剤耐性のおそれ
参考文献
- HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究班. 抗HIV治療ガイドライン(2026年3月) ウイルス学的抑制が長期に安定して得られている患者での薬剤変更(要約、対象患者の絞り込み、どの組み合わせに変更するのか). https://hiv-guidelines.jp/2026/part06-1.htm (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
