HIVと中枢神経系原発悪性リンパ腫:脳や目にだけできるリンパ腫。免疫がとても下がった人(CD4数50未満)に多く、ほぼ全例にEBウイルスが関係。かつては平均生存3か月だったが、今は抗HIV療法と治療の進歩で5.7年に
中枢神経系原発悪性リンパ腫は、脳や目にだけできる悪性リンパ腫です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の手引き(2022年)によると、HIVのある人では、免疫が下がってEBウイルスが活発になることが発症に関係していると考えられ、ほぼ全例でEBウイルスが関わっています。典型的にはCD4数が50未満の、免疫がとても下がった人に多くみられます。抗HIV療法が広まって、発症は減る傾向にあると報告されています。抗HIV療法が確立する前は平均生存期間が3か月でしたが、今は5.7年と治療成績が上がっています。

プレ男HIVで、脳にリンパ腫ができることがあるって聞いたんだけど……。

メル美脳の病気って、トキソプラズマ脳症とはどうちがうんだろう。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、HIVと中枢神経系原発悪性リンパ腫の話です。国立健康危機管理研究機構エイズ治療・研究開発センター(ACC)の「抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き」の「中枢神経系原発悪性リンパ腫」(2022年9月29日更新)をもとにまとめました。
どんな病気?
ACCの手引きによると、
- 脳(中枢神経)や目にだけできる悪性リンパ腫で、進んでも、ふつうは脳の外には広がりません
- 免疫が下がって、体の中にひそんでいるEBウイルスが活発になることが発症に関係すると考えられ、ほぼ全例でEBウイルスが関わっています
- 発症のときのCD4数は、典型的には50未満と、免疫がとても下がった人に多くみられます(500以上で診断された報告もあります)(HIVの「CD4数」でわかること)
- 抗HIV療法が広まって、発症は減る傾向にあると報告されています
体のほかの場所にできるリンパ腫についてはHIVと悪性リンパ腫を見てください。
トキソプラズマ脳症との見分け
ACCの手引きによると、
- CTやMRIでの見え方がトキソプラズマ脳症と似ていて、画像だけで見分けるのはむずかしいとされています(HIVと脳の病気)
- 一般に、トキソプラズマ脳症は小さな病変でも意識が悪くなりやすいのに対し、このリンパ腫はある程度進むまで意識が保たれる傾向があり、診断のときには大きな病変になっていることが多いとされています
- まずトキソプラズマ脳症の治療を1〜3週間行い、効かなければこのリンパ腫の可能性が高いとして、脳の組織をとる検査(脳生検)で確定することが考えられます

このリンパ腫は、免疫がとても下がった人に多く、抗HIV療法が広まって発症は減る傾向にあるとされています。
治療と見通し
ACCの手引きによると、
- 抗HIV療法が確立する前は、平均生存期間が3か月ととても見通しの悪い病気でしたが、今は5.7年と治療成績が上がっています
- 今の標準的な治療は、抗HIV療法と抗がん剤の組み合わせで、免疫の回復が治療成績にかかわるため、診断後早めに抗HIV療法を始めることが望ましいとされています
- かつて使われていた脳全体への放射線治療は、見通しの改善がみられず、元に戻らない認知の障害を起こすことがあるため、すすめられなくなっています

プレ男抗HIV療法で免疫を回復させることが、治療の大事な柱なんだね。
まとめ
- 脳や目にだけできる悪性リンパ腫。ほぼ全例にEBウイルスが関係
- CD4数50未満の、免疫がとても下がった人に多い
- 画像はトキソプラズマ脳症と似ている。確定には脳生検
- 平均生存期間は3か月から5.7年に改善
- 治療は抗HIV療法と抗がん剤。早めの抗HIV療法が大切
参考文献
- 国立健康危機管理研究機構 エイズ治療・研究開発センター(ACC). 抗HIV治療ガイドライン・治療の手引き:中枢神経系原発悪性リンパ腫(Last updated: 2022-09-29). https://www.acc.jihs.go.jp/medics/treatment/handbook/part2/no35.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
