世界のHIVは「ぶり返し」の危機(UNAIDS、2026年7月):2025年に新たな感染が増えたのは3つの地域と21か国。国際的な資金は18%減り、予防やコンドームの支援が大きく削られている
国連合同エイズ計画(UNAIDS)が2026年7月27日、第26回国際エイズ会議にあわせて発表した特別報告のニュースリリースをもとにまとめました。2025年に新たにHIVに感染した人は120万人、エイズに関連する病気で亡くなった人は57万人で、30年以上で最も少ない水準ですが、3つの地域と21か国では新たな感染が増えました。HIVとともに生きる4,100万人のうち約900万人は治療を受けていません。国際的なHIVの資金は2024年の88億ドルから2025年は73億ドルへ18%減り、コンドームの資金が90%以上削られた国もあります。このままでは2030年までに300万人以上が新たに感染するおそれがあるとしています。

プレ男HIVは世界ではへってきているって聞いたけど、今はどうなの?

メル美また増えるかもしれないって話もあるみたい。
こんにちは、Dr. Taro です。 今回は、世界のHIVの今の話です。国連合同エイズ計画(UNAIDS)が2026年7月27日、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた第26回国際エイズ会議にあわせて発表した特別報告のニュースリリース「Global HIV response falters as reemergence looms」をもとにまとめました。
2025年の世界のHIV
UNAIDSによると、
- 2025年に新たにHIVに感染した人は120万人、エイズに関連する病気で亡くなった人は57万人でした
- 新たな感染と死亡は、30年以上で最も少ない水準です
- ただし、3つの地域と21か国では、新たな感染が増えました
- HIVとともに生きる4,100万人のうち、約900万人は治療を受けていません。HIVとともに生きる子どものほぼ半数は、抗HIV治療を受けられていません
- 一方で、7か国では2010年から新たな感染を約80%へらし、11か国は「95-95-95」(HIVとともに生きる人の95%が自分の感染を知り、その95%が治療を受け、その95%でウイルスがおさえられている)の目標を達成しました
このままでは、2030年までに300万人以上が新たに感染するおそれがあるとしています。
ファクトシートでみる2025年の数字
UNAIDSのファクトシート(172か国の2025年のデータ)では、
- HIVとともに生きる人のうち、自分の感染を知っている人は88%で、知らない人は約500万人でした
- 治療を受けている人は78%で、15歳以上の女性は84%、男性は74%、0〜14歳の子どもは55%でした
- HIVのある妊婦の87%が、赤ちゃんへの感染を防ぐ薬を受けていました
- 新しい感染は、ピークの1994年から65%へり、2010年からは42%へりました。エイズに関連する死亡は、ピークの2004年から73%へりました
- すべての大人(15〜49歳)とくらべて、新しく感染するリスクは、男性どうしで性行為をする人で18倍、セックスワーカーで17倍、注射で薬物を使う人で34倍と高く、その背景には、社会からの排除や差別、国によっては犯罪とされることがあるとしています
なぜ「ぶり返し」の危機なのか
UNAIDSによると、
- 国際的なHIVの資金は、2024年の88億ドルから2025年は73億ドルへ、18%減り、この20年近くで最も少なくなりました
- サハラ以南のアフリカでは、HIV予防の資金の80%を国際的な援助にたよっていました
- コンドームの資金が90%以上削られた国もあります
- 47か国の2026年の調査では、地域の団体が行うサービスが大きく減り、男性と性行為をする男性へのサービスは85%、セックスワーカーへのサービスは82%減っていました

2025年の世界の新たなHIV感染は120万人で、30年以上で最も少ない水準です。それでも、3つの地域と21か国では増えていて、国際的な資金の減少で予防が削られています。
新しい予防の道具
UNAIDSによると、
- 月1回や半年に1回の注射など、ワクチンに近いほど感染を防ぐ予防薬が少しずつ使われはじめ、月1回の飲み薬も最終段階の試験に入っています
- ただし、必要な人に届くかどうか、価格が課題です。半年に1回の注射の予防薬(レナカパビル)は、まだ数千人にしか届いていないとしています
注射の予防薬については年2回の注射でHIVを予防する「レナカパビル」を見てください。
人権と差別
UNAIDSは、HIVとともに生きる人や感染のリスクが高い人を罰する法律があると、逮捕や暴力、差別をおそれてHIVのサービスから遠ざかってしまうとしています。2026年6月には、149か国が、2030年までの新しい目標(4,000万人が治療を受ける、2,000万人が抗HIV薬による予防を使えるなど)をふくむHIV/エイズの政治宣言を採択しました。

プレ男薬があっても、届かなければ意味がないんだね。自分の検査や予防のことも、あらためて考えたいな。
世界のHIVの数字は数字で見る世界のHIV(2025年、WHO)、日本のHIVは数字で見る日本のHIV(2025年)を見てください。
まとめ
- 2025年の新たなHIV感染は120万人、死亡は57万人。30年以上で最少の水準
- それでも、3つの地域と21か国で新たな感染が増えた
- 約900万人が治療を受けていない
- 国際的な資金は18%減。予防やコンドームの支援が削られ、ぶり返しの危機
- このままでは2030年までに300万人以上が新たに感染するおそれ
参考文献
- UNAIDS. Global HIV response falters as reemergence looms (Press release, 27 July 2026). https://www.unaids.org/en/resources/presscentre/pressreleaseandstatementarchive/2026/july/20260727_PR_UNAIDS_special_report_AIDS2026 (閲覧日:2026年10月12日)
- UNAIDS. Global HIV & AIDS statistics — Fact sheet(2025年のデータ). https://www.unaids.org/en/resources/fact-sheet (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
