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プレ男先輩が、入社の2か月前に「業績が悪いので内定を取り消します」ってメール1本で言われたんだって。ほかの会社はもう断っちゃってるのに…。

メル美内定って、もう契約なのかな。最高裁の判例があるみたい。
今回は、内定取消しと法律です。労働契約法の条文(e-Gov法令検索)と、厚生労働省「確かめよう労働条件」の裁判例のページとQ&Aの原文で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。内定の状態や取消しの理由は事案ごとにちがいます。困ったら、下の「相談先」へ。
内定は「労働契約」が成立していることが多い
- 厚生労働省は、採用内定に法的な定義はなく、態様もさまざまだが、一般的には「労働者と使用者との間で一定の始期及び採用内定通知書又は誓約書に記載されている採用内定取消事由が生じた場合は解約できるという解約権留保を付して労働契約を締結した状態」を指すことが多い、と説明しています
- 採用内定通知のほかに労働契約を結ぶための特段の意思表示が予定されていない場合には、内定で始期付解約権留保付労働契約が成立したと認められることが多い、としています
- そのため、内定取消しは解雇にあたり、労働契約法16条の解雇権の濫用についての規定が適用される、と説明しています
労働契約法16条:「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」
最高裁の判例:大日本印刷事件(昭和54年7月20日 第二小法廷判決)
厚生労働省の裁判例のページによると、事案と判示の骨子は次のとおりです。
- 事案:内定通知のあとは他社に応募しないでいたところ、入社2か月前に採用内定を取り消され、就職先が決まらないまま卒業した人が、取消しは解約権の濫用だとして、従業員としての地位の確認などを求めた
- 判断:最高裁は、解約権を留保した就労始期付の労働契約の成立を認め、取消しは解約権の濫用にあたるとした
- 判示の骨子:採用内定を取り消せるのは、「内定当時知ることができないか、知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認できるもの」に限られる

プレ男会社が自由に取り消せるわけじゃないんだね。
どんな理由なら取り消せる?(厚生労働省Q&A)
- 取消事由として考えられるものとして、厚生労働省は、①契約の前提となる条件や資格の要件を満たさないとき、②健康状態の悪化、③重要な経歴詐称、④重要な必要書類を提出しないこと、⑤その他の不適格事由、などを挙げています
- 経営状況の悪化による取消しは、基本的に整理解雇に準じ、整理解雇の4要素(①人員整理の必要性、②解雇回避の努力義務、③解雇対象者の選定の合理性、④手続の妥当性)をふまえて有効性が判断されることになる、としています
- 厚生労働省の裁判例のページは、経営悪化を理由に入社2週間前に辞退を勧告された事案で、取消しを無効とした東京地裁の判断(インフォミックス事件、平成9年10月31日)も紹介しています
「内々定」の取消しは?
- 厚生労働省は、内々定は多くの場合、労働契約を締結したとの認識には至っていないと考えられ、内々定の取消しは解雇ではないとも考えられる、としています
- ただし、拘束の度合いが強ければ「採用内定」と認められることもあり、労働契約が成立していなくても、使用者側が合理的な理由なく内々定を破棄すれば、期待権を侵害したとして損害賠償責任を負うことがある、と説明しています
- 裁判例のページでは、採用内定通知書の授与の日の直前に内々定を取り消された事案で、慰謝料を認めた福岡高裁の判断(コーセーアールイー事件、平成23年3月10日)が紹介されています
ハローワークの指導と企業名の公表
- 厚生労働省のQ&Aによると、新規学校卒業者の採用内定取消しはハローワークが一元的に把握して企業を指導し、一定の場合にはその内容を公表できることとされています
- 公表の対象となる例として、2年度以上連続して行われたもの、同一年度内に10名以上に行われたもの(対象者の安定した雇用を速やかに確保した場合などを除く)、事業活動の縮小を余儀なくされているとは明らかに認められないときに行われたもの、取消しの理由を十分に説明しなかったとき、就職先の確保に向けた支援をしなかったとき、が挙げられています

メル美取り消されたら、まず理由をはっきり聞いて、相談だね。

内定で労働契約が成立していれば、内定取消しは解雇にあたり、労働契約法16条の解雇権の濫用の規定が適用されます(厚生労働省)。
相談先
- 厚生労働省のQ&Aは、内定取消しの場合には解雇としての合理的な理由が必要なので、労働者としてはその理由を開示してもらう必要がある、としています
- 総合労働相談コーナー(厚生労働省):各都道府県労働局や労働基準監督署内などに設置。学生・就活生からの相談も受け、予約不要・無料です
- 新卒の内定取消しは、ハローワークが把握して企業を指導します(上の項目)
- 入社後の解雇は解雇の記事、自分から辞めるときは退職の記事で
まとめ
- 内定で始期付解約権留保付労働契約が成立していることが多く、内定取消しは解雇にあたる(労働契約法16条が適用。厚生労働省)
- 取り消せるのは、内定当時知ることができなかった事実を理由とし、客観的に合理的・社会通念上相当な場合に限る(最高裁 昭和54年7月20日 大日本印刷事件)
- 経営悪化による取消しは整理解雇の4要素をふまえて判断
- 内々定の取消しでも、期待権の侵害として損害賠償が認められることがある
- 新卒の内定取消しはハローワークが把握・指導し、一定の場合は公表
参考文献
- 労働契約法(平成19年法律第128号)第16条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128 (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. 確かめよう労働条件 裁判例 1-2 採用内定の取消(大日本印刷採用内定取消事件 S54.07.20最二小判、インフォミックス事件 H09.10.31東京地判、コーセーアールイー事件 H23.03.10福岡高判ほか). https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/saiyo/torikeshi.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. 確かめよう労働条件 Q&A 採用の内定・内々定について、取消や辞退する場合の注意点. https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/koyou/q4.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. 総合労働相談コーナーのご案内. https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。