プレイヤーの法律THE RULEBOOK

RULE 02.18Love & Breakups

夫婦同姓は憲法違反?最高裁大法廷は2015年(判決)と2021年(決定)の2度「合憲」。ただし「選択的夫婦別氏制に合理性がないと断ずるものではない」「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄」とした。違憲とした裁判官は15人中5人、4人。判決文の原文で読む

2026年10月22日 時点

民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定めています。最高裁大法廷は平成27年12月16日判決で、この規定は憲法13条・14条1項・24条に違反しないと判断しました。どちらの氏にするかは夫婦の協議に委ねられ、形式的な男女の不平等はない、氏には家族の呼称としての意義がある、通称使用で不利益は一定程度緩和されうる、などが理由です。一方で、選択的夫婦別氏制に合理性がないと断ずるものではなく、制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄だとしました。令和3年6月23日決定も判断を維持しました。違憲とする意見・反対意見は、15人中2015年は5人、2021年は4人。判決・決定の原文と法務省の説明で確かめました。

目次
  1. いまのルール:結婚するときは、どちらか一方の氏に
  2. 2015年:平成27年12月16日 大法廷判決
  3. 2021年:令和3年6月23日 大法廷決定
  4. 国の検討の状況(法務省の説明)
  5. 相談先
  6. まとめ

メル美夫婦別姓の話、ニュースでよく見るよね。最高裁は「合憲」って言ったって聞いたけど、どういう理由なんだろう。

プレ男「合憲」なら、別姓の制度はダメってこと?そこがよくわからないんだよね。

今回は、夫婦同氏(夫婦同姓)をめぐる最高裁大法廷の判断です。最高裁判所大法廷 平成27年12月16日判決と令和3年6月23日決定の原文(裁判所ウェブサイト)、民法・戸籍法の条文(e-Gov法令検索)、法務省「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」で確かめました。夫の氏を選ぶ夫婦の割合や旧姓の併記は、結婚したら名字はどうする?にまとめています。

この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。また、制度に賛成・反対をすすめるものではありません。

いまのルール:結婚するときは、どちらか一方の氏に

2015年:平成27年12月16日 大法廷判決

どんな裁判?

最高裁の判断(多数意見)

憲法 判断と理由(判決文から)
13条(個人の尊重) 問題になっているのは、婚姻という身分関係の変動を自らの意思で選択することに伴って氏を改める場面で、意思に関わりなく氏の変更を強制されるものではない。「氏の変更を強制されない自由」は憲法上の権利として保障される人格権の一内容とはいえない。ただし、婚姻前の氏で築いた信用・評価・名誉感情などを維持する利益は、制度を考えるときに考慮すべき人格的利益である
14条1項(法の下の平等) 750条は、どちらの氏にするかを夫婦となろうとする者の協議に委ねており、文言上、性別による差別的取扱いを定めていない。夫の氏を選ぶ夫婦が圧倒的多数でも、それが規定の在り方自体から生じた結果とはいえない
24条(個人の尊厳と両性の本質的平等) 氏には家族の呼称としての意義があり、呼称を一つに定めることには合理性がある。嫡出子であることを示すために子が両親双方と同氏である仕組みにも一定の意義がある。氏を改める人(多くは女性)が不利益を受けることはあるが、婚姻前の氏の通称使用が広まることで一定程度は緩和されうる。直ちに合理性を欠く制度とは認められない

「別姓の制度に合理性がない」とは言っていない

判決は、上告理由が選択的夫婦別氏制を採る余地を指摘していることについて、次のように述べています。

プレ男「いまのルールは憲法違反じゃない」と「別姓の制度はダメ」は、別の話なんだ。

15人中5人は「24条に違反する」

裁判官 立場
岡部喜代子(櫻井龍子・鬼丸かおるが同調) 意見:750条は憲法24条に違反する。ただし、国家賠償法上違法とまではいえないので、結論(上告棄却)には賛成
木内道祥 意見:夫婦同氏制は24条に違反すると解される。結論には賛成
山浦善樹 反対意見:24条に違反し、立法不作為も国家賠償法上違法。原判決を破棄して差し戻すべき

2021年:令和3年6月23日 大法廷決定

どんな事件?

最高裁の判断

15人中4人は「24条に違反する」

裁判官 立場
宮崎裕子・宇賀克也 反対意見:24条に違反する。原決定を破棄し、婚姻届の受理を命じるべき
草野耕一 反対意見:24条に違反する。原決定を破棄し、婚姻届の受理を命じるべき
三浦守 意見:夫婦別氏の選択肢を設けていないことは24条に違反する。ただし、法の定めがないまま夫婦が称する氏を書いていない婚姻届を受理することはできないとして、結論には賛成

最高裁は2度、夫婦同氏は憲法に違反しないと判断しました。同時に、選択的夫婦別氏制に合理性がないと断ずるものではなく、制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべき事柄だとしています。

国の検討の状況(法務省の説明)

メル美裁判所は「憲法違反かどうか」を判断して、「どんな制度がいいか」は国会で決めること、という整理なんだね。いまは結婚するとき、2人で話し合ってどちらかの氏を選ぶしかないんだ。

相談先

まとめ


参考文献

  1. 最高裁判所大法廷 平成27年12月16日判決(平成26年(オ)第1023号 損害賠償請求事件). 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/85546/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
  2. 最高裁判所大法廷 令和3年6月23日決定(令和2年(ク)第102号 市町村長処分不服申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件). 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/90412/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
  3. 民法(明治29年法律第89号)第750条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
  4. 戸籍法(昭和22年法律第224号)第74条、第122条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224 (閲覧日:2026年10月22日)
  5. 法務省. 選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について. https://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html (閲覧日:2026年10月22日)
  6. 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。