
メル美知らないうちに離婚届を出されていた、っていう話を聞いたことがある。そんな離婚、本当に成立しちゃうの?

プレ男逆に、付き合っている相手に勝手に婚姻届を出されることもあるのかな。もしそうなったら、どうやって元に戻すんだろう。
今回は、勝手に出された婚姻届・離婚届は無効なのか、無効ならどう直すのかです。民法・家事事件手続法・人事訴訟法・戸籍法・刑法の条文(e-Gov法令検索)、最高裁判所の判例(裁判所ウェブサイトの判示事項・裁判要旨)、裁判所の手続案内「協議離婚無効確認調停」で確かめました。勝手に届出をされないための「不受理申出」は、勝手に婚姻届・離婚届を出されないためにで説明しています。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。自分のケースがどうなるかは、弁護士や法テラス(0570-078374)に相談してください。
婚姻が「無効」になるのは2つの場合だけ
民法742条:婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
- 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき
- 当事者が婚姻の届出をしないとき(ただし、届出が739条2項の方式を欠くだけのときは、婚姻の効力は妨げられない)
- 婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生じます(739条1項)。届出は、当事者双方と成年の証人2人以上が署名した書面などでします(739条2項)
- 協議離婚にも、この739条などが準用されます(764条)
「婚姻をする意思」とは:最高裁 昭和44年10月31日判決
最高裁判所第二小法廷 昭和44年10月31日判決(昭和42年(オ)第1108号、民集23巻10号1894頁)の裁判要旨は、次のとおりです。
- 民法742条1号の「当事者間に婚姻をする意思がないとき」とは、当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指す
- たとえ婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があったとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものにすぎないときは、婚姻は効力を生じない

プレ男2人で届を出していても、本当に夫婦になるつもりがなく、別の目的のためだけなら、無効になりうるんだ。
無断の婚姻届でも「追認」で有効に:最高裁 昭和47年7月25日判決
最高裁判所第三小法廷 昭和47年7月25日判決(昭和45年(オ)第238号、民集26巻6号1263頁)の裁判要旨は、次のとおりです。
- 事実上の夫婦の一方が、他方の意思に基づかないで婚姻届を作成・提出した場合でも、
- 当時2人に夫婦としての実質的生活関係が存在しており、かつ、のちに他方の配偶者が届出の事実を知ってこれを追認したときは、
- その婚姻は、追認によって届出の当初にさかのぼって有効となる
参照法条には、民法742条1号とあわせて、無権代理行為の追認についての民法116条があげられています。
協議離婚も、無断の届出は無効
裁判所の手続案内「協議離婚無効確認調停」は、次のように説明しています。
- 協議離婚が有効に成立するには、離婚届の時に夫婦双方に離婚する意思があることが必要
- たとえば、夫婦の一方が他方に無断で届け出た協議離婚は、他方が追認しない限り無効
- しかし、そのような場合でも、協議離婚が無効であることを主張して戸籍を訂正するためには、夫または妻を相手方として協議離婚無効確認の調停を申し立てる必要がある

メル美無効でも、戸籍には離婚と書かれたままなんだね。自分で手続をしないと、記載は消えないんだ。
戸籍を直すまでの流れ
| 段階 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1. 調停 | 家庭裁判所に、協議離婚無効確認(または婚姻無効確認)の調停を申し立てる。人事に関する訴えを起こそうとする人は、まず家事調停を申し立てる(調停前置) | 家事事件手続法257条、人事訴訟法2条1号 |
| 2. 合意に相当する審判 | 当事者間に、申立てのとおりの審判を受けることの合意が成立し、無効の原因について争わないとき、家庭裁判所が必要な事実を調査し、合意を正当と認めれば、合意に相当する審判をする | 家事事件手続法277条 |
| 3. 確定 | 異議の申立てがないときなどは、合意に相当する審判は確定判決と同一の効力を持つ | 家事事件手続法281条 |
| 4. 戸籍の訂正 | 確定判決によって戸籍を訂正すべきときは、訴えを起こした人は、確定の日から1か月以内に、判決の謄本を添えて戸籍の訂正を申請する | 戸籍法116条 |
- 合意ができない、相手方が争うなどで調停が成立しないときは、人事訴訟(婚姻の無効の訴え、協議上の離婚の無効の訴え)で争うことになります(人事訴訟法2条1号)
- 協議離婚無効確認調停の申立先は、相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所で、費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です(裁判所)
- 申し立てられるのは、協議離婚した夫または妻のほか、その夫婦の親族など、離婚の無効について直接確認の利益を持つ第三者です(裁判所)
- すでに一方が第三者と再婚しているときは、その夫または妻のほか第三者も相手方として、婚姻取消しの調停を申し立てることも必要です(裁判所)

無断で出された離婚届は、追認しない限り無効です。ただし戸籍を訂正するには、家庭裁判所に協議離婚無効確認の調停を申し立てる必要があります。
届を出した人は、刑事責任を問われることも
- 公務員にうその申立てをして、戸籍簿などの公正証書の原本に事実でない記載をさせると、公正証書原本不実記載等罪で、5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(刑法157条1項)
- 他人の署名や印章を使って届書を作れば、私文書偽造等の罪(159条)や、その行使の罪(161条)が問題になります
- うその届出と罰則のくわしいこと、既婚者がうそをついて結婚した場合の重婚罪は、勝手に婚姻届・離婚届を出されないためにや「独身」と言われて付き合った相手が既婚者だったで
相談先
- 調停の申立ては、相手方の住所地の家庭裁判所へ(手続の案内は裁判所のウェブサイト)
- 戸籍の訂正の申請は、市区町村の戸籍の窓口へ
- 弁護士の支援は、法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)へ
- これから勝手に出されるのが心配なら、本籍地の市区町村に不受理申出を(不受理申出の記事)
まとめ
- 婚姻が無効になるのは、婚姻をする意思がないときと届出をしないときだけ(民法742条)
- 「婚姻をする意思」は、社会観念上夫婦と認められる関係をつくる意思。ほかの目的のための形だけの届出は無効(最高裁 昭和44年10月31日)
- 無断の婚姻届でも、夫婦の実態があり、あとで追認すれば届出の時から有効(最高裁 昭和47年7月25日)
- 無断の協議離婚は、追認しない限り無効。ただし戸籍を直すには、調停→合意に相当する審判(または訴え)→1か月以内に戸籍訂正の申請
- うその届出は、公正証書原本不実記載等罪(5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)にもなりうる
参考文献
- 民法(明治29年法律第89号)第116条、第739条、第742条、第763条、第764条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第二小法廷 昭和44年10月31日判決(昭和42年(オ)第1108号 婚姻無効確認本訴並びに反訴請求). 民集23巻10号1894頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/51893/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第三小法廷 昭和47年7月25日判決(昭和45年(オ)第238号 婚姻無効確認請求). 民集26巻6号1263頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/51998/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 裁判所. 協議離婚無効確認調停. https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_14/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 家事事件手続法(平成23年法律第52号)第257条、第277条、第281条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000052 (閲覧日:2026年10月22日)
- 人事訴訟法(平成15年法律第109号)第2条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 (閲覧日:2026年10月22日)
- 戸籍法(昭和22年法律第224号)第116条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224 (閲覧日:2026年10月22日)
- 刑法(明治40年法律第45号)第157条、第159条、第161条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。