目次

メル美姉の子が公園でボール遊びをしていて、通りかかった人にぶつけちゃったんだって。子どもがけがをさせたら、だれが責任を負うの?

プレ男民法に決まりがあるみたい。最高裁の判決もあるから、原文を読んでみよう。
今回は、子どもの事故と親の責任です。民法の条文(e-Gov法令検索)と、最高裁判所の判決の原文(裁判所ウェブサイト)で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。
原則:人に損害を与えたら賠償する(709条)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- これが不法行為の基本のルールです(民法709条)
責任を判断できない子どもは、賠償責任を負わない(712条)
未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
- この「責任を弁識する能力」(責任能力)が何歳からあるかは、条文には書かれていません
かわりに、監督義務者が責任を負う(714条)
- 712条で子どもが責任を負わないときは、「その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」が、子どもが第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(714条1項)。親権者である親が、ふつうこれにあたります
- ただし、「監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない」(714条1項ただし書)
- 監督義務者に代わって監督する人も、同じ責任を負います(714条2項)

メル美親は「義務を怠らなかった」と言えれば責任を負わない。でも、それはどんなとき?
サッカーボールの事故(最高裁 平成27年4月9日)
判決の原文によると、事案は次のとおりです。
- 小学校が放課後に開放していた校庭で、11歳の子どもが、友人らとサッカーゴールに向けてフリーキックの練習をしていた
- 蹴ったボールが、門扉の上を越えて道路に転がり出て、バイクで通りかかった85歳の男性がよけようとして転倒し、骨折などのけがを負い、その後、入院中に誤嚥性肺炎で亡くなった
- 子どもには責任を弁識する能力がなかった。父母は、危険な行為に及ばないよう日ごろから通常のしつけをしてきた
高等裁判所は父母の責任を一部認めましたが、最高裁はこれを破棄し、父母は「民法714条1項の監督義務者としての義務を怠らなかった」としました。判決は、こう述べています。
親権者の直接的な監視下にない子の行動についての日頃の指導監督は、ある程度一般的なものとならざるを得ないから、通常は人身に危険が及ぶものとはみられない行為によってたまたま人身に損害を生じさせた場合は、当該行為について具体的に予見可能であるなど特別の事情が認められない限り、子に対する監督義務を尽くしていなかったとすべきではない。
- 判決は、ゴールに向けたフリーキックの練習は「校庭の日常的な使用方法として通常の行為」で、ボールが道路に出ることが「常態であったものとはみられない」ことなどをあげています
- 一方で、責任能力のない子の親権者には「人身に危険が及ばないよう注意して行動するよう日頃から指導監督する義務がある」とも述べています
責任能力がある子どもでも、親が責任を負うことがある(最高裁 昭和49年3月22日)
- 子どもに責任能力がある場合は、714条の監督義務者の責任は問題になりません。けれど、最高裁 昭和49年3月22日判決の裁判要旨は、次のとおりです
未成年者が責任能力を有する場合であつても、監督義務者の義務違反と当該未成年者の不法行為によつて生じた結果との間に相当因果関係を認めうるときは、監督義務者につき民法七〇九条に基づく不法行為が成立する。

プレ男子どもが小さくても大きくても、ふだんから「人に危険が及ばないように」と伝えておくことが大事なんだね。

最高裁は平成27年、通常は人身に危険が及ぶとはみられない行為でたまたま損害が生じた場合は、特別の事情がない限り、親が監督義務を尽くしていなかったとすべきではないとしました。
まとめ
- 責任を弁識する知能がない子どもは賠償責任を負わない(712条)。何歳からかは条文に書かれていない
- そのときは、監督義務者の親が賠償責任を負う。ただし義務を怠らなかったときなどは別(714条)
- 校庭のサッカーボールの事故では、日ごろ通常のしつけをしていた父母の責任を否定(最高裁 平成27年4月9日)
- 子どもに責任能力があっても、親の義務違反と結果に相当因果関係があれば、親に709条の責任(最高裁 昭和49年3月22日)
- 少年の事件の手続きは特定少年、ペットの事故はペットのかみつきの記事もどうぞ
参考文献
- 民法(明治29年法律第89号)第709条、第712条、第714条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第一小法廷 平成27年4月9日判決(平成24(受)1948、民集69巻3号455頁). 裁判所ウェブサイト 裁判例結果詳細. https://www.courts.go.jp/hanrei/85032/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第二小法廷 昭和49年3月22日判決(昭和47(オ)1067、民集28巻2号347頁). 裁判所ウェブサイト 裁判例結果詳細. https://www.courts.go.jp/hanrei/52072/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。