
プレ男高校生のいとこが、17歳のときにネットで高い美容の契約をしちゃったんだって。いまは18歳。もう取り消せないのかな?

メル美大事なのは「契約したときに何歳だったか」だよ。民法の条文で見てみよう。
今回は、未成年者取消権です。民法の条文(e-Gov法令検索)、最高裁判所の判決の原文、法務省の「民法(成年年齢関係)改正 Q&A」で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。困ったときは、下の「相談先」へ。
成年は18歳。18歳未満の契約には親の同意がいる
- 民法4条:「年齢十八歳をもって、成年とする。」
- 民法5条1項:「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」親権を行う者(親権者)は、子の財産に関する法律行為について子を代表します(824条)
- そして5条2項:同意なしにした法律行為は「取り消すことができる」
- 法務省のQ&Aによると、2022年4月1日より前に18歳・19歳の人が親の同意なしに結んだ契約も、施行後も引き続き取り消すことができます
18歳からの契約については18歳で大人にの記事もどうぞ。
取り消せないもの
未成年でも、次のものは親の同意がいらない、または取り消せません。
| 場合 | 条文 |
|---|---|
| 単に権利を得、または義務を免れる行為(たとえば、ただでもらう) | 5条1項ただし書 |
| 親が目的を定めて処分を許した財産を、その目的の範囲で使う。目的を定めずに処分を許した財産(おこづかいなど)を使う | 5条3項 |
| 親から営業を許された未成年者の、その営業についての行為 | 6条 |
| 「大人だ」と信じさせるために詐術(さじゅつ)を用いた | 21条 |

プレ男おこづかいで買ったものは、あとから「未成年だから」と取り消せないんだ。
「20歳です」とうそをついたら?(21条と最高裁の判決)
- 民法21条:「制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。」未成年者は、この「制限行為能力者」にあたります
- では、どこからが「詐術」なのか。最高裁判所 昭和44年2月13日判決(当時の民法20条についての判断)は、次のように述べています
無能力者であることを黙秘することは、無能力者の他の言動などと相まつて、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときには、民法二〇条にいう「詐術」にあたるが、黙秘することのみでは右詐術にあたらない。
- つまり、未成年だと言わなかっただけでは詐術にあたらない。けれど、ほかの言動と合わさって相手に「大人だ」と信じこませれば詐術にあたりうる、ということです
- 判決は、詐術は「積極的術策を用いた場合にかぎるものではなく」、「ふつうに人を欺くに足りる言動を用いて相手方の誤信を誘起し、または誤信を強めた場合をも包含する」とも述べています

メル美年齢の欄にうその生年月日を入れて「大人です」と信じさせたら、取り消せなくなるかもしれないんだね。
取り消したら、どうなる?
- 民法121条:「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。」
- おたがいに、受け取ったものを返して元にもどすのが原則です(121条の2第1項)
- ただし、行為のときに未成年(制限行為能力者)だった人は、「その行為によって現に利益を受けている限度において」返せばよいとされています(121条の2第3項)
- 取り消せるのは、未成年者本人と、その法定代理人(親)などです(120条1項)
いつまで取り消せる?
- 民法126条:取消権は、「追認をすることができる時から五年間」使わないと時効で消えます。「行為の時から二十年」たったときも同じです
- 未成年者本人が追認できるのは、ふつうは成年になってから(124条)。親は、その前でも追認できます(124条2項)
- 注意したいのが「法定追認」(125条)。追認できるようになったあとで、異議をとどめずに代金の一部を払ったり、相手に履行を請求したりすると、追認したものとみなされ、取り消せなくなります

プレ男18歳になってから、取り消すつもりなのに分割の支払いを続けると、追認したことになるかもしれないのか。早めに相談だね。

民法21条では、「大人だ」と信じさせるために詐術を用いたときは取り消せません。最高裁は、未成年であることを黙っていただけでは詐術にあたらないとしています。
相談先
- 消費者ホットライン 188(消費者庁):地方公共団体の消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してくれます
- 法的なことは、弁護士や法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)へ
- 18歳以上の契約でも、うそやしつこい勧誘によるものは取り消せることがあります。消費者契約法の取消し、クーリング・オフもどうぞ
まとめ
- 成年は18歳(4条)。18歳未満が親の同意なしにした契約は取り消せる(5条)
- おこづかいの範囲や、ただでもらうことは別(5条1項ただし書・3項)。営業を許された場合も別(6条)
- 「大人だ」と信じさせる詐術を用いたら取り消せない(21条)。黙っていただけなら詐術ではない(最高裁 昭和44年2月13日)
- 取り消すと初めから無効。返すのは現に利益を受けている限度(121条、121条の2第3項)
- 取消権は、追認できる時から5年・行為の時から20年で消える(126条)。支払いを続けると法定追認に注意(125条)
参考文献
- 民法(明治29年法律第89号)第4条〜第6条、第21条、第120条〜第122条、第121条の2、第124条〜第126条、第824条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第一小法廷 昭和44年2月13日判決(昭和42(オ)607、民集23巻2号291頁). 裁判所ウェブサイト 裁判例結果詳細. https://www.courts.go.jp/hanrei/55084/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 民法(成年年齢関係)改正 Q&A. https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00238.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 消費者庁. 消費者ホットライン. https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/ (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。