
メル美友だちが、バーで知り合った人にすすめられた1杯のあと、急に記憶がなくなったんだって。お酒には強いはずなのに。財布のお金も減っていたみたい。

プレ男もし飲み物に何か入れられていたら、ふつうの泥棒とはちがう罪になるのかな。
今回は、飲み物に薬を混ぜる行為と刑法です。刑法の条文(e-Gov法令検索)と、最高裁判所の決定(裁判所ウェブサイトの原文)で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。被害にあった、あったかもしれないときは、ためらわずに 110番、性犯罪の被害は警察の相談電話 #8103(ハートさん)へ。
眠らせて取れば「強盗」と同じ:昏酔強盗罪
| 罪 | 条文の内容 | 刑 |
|---|---|---|
| 昏酔強盗罪(239条) | 「人を昏酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる」 | 強盗と同じ5年以上の有期拘禁刑(236条) |
| 強盗致傷(240条) | 強盗が人を負傷させたとき | 無期または6年以上の拘禁刑 |
| 強盗致死(240条) | 強盗が人を死亡させたとき | 死刑または無期拘禁刑 |
| 未遂(243条) | 239条・240条の罪の未遂も罰する | — |
- 窃盗罪(235条)は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です。相手を昏酔させて盗めば、条文上、強盗として扱われます

プレ男暴力をふるっていなくても、眠らせて取ったら強盗と同じなんだ。罰金もない。
眠らせること自体が「傷害」:最高裁 平成24年1月30日決定
- 最高裁判所 第三小法廷 平成24年1月30日 決定(刑集66巻1号36頁)は、「睡眠薬等を摂取させて数時間にわたり意識障害及び筋弛緩作用を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた行為につき傷害罪の成立が認められた事例」です
- 決定の要旨は、病院で勤務中または研究中であった人に睡眠薬などを摂取させたことで、約6時間または約2時間にわたり、意識障害と筋弛緩作用をともなう急性薬物中毒の症状を生じさせた行為は、傷害罪を構成するとしています
- 傷害罪(204条)は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です
眠らせて性的な行為をすれば、不同意性交等罪
- 刑法176条1項は、同意しない意思を形成・表明・全うすることを困難にする原因として、「アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること」(3号)、「睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること」(4号)などを挙げています
- これらにより同意しない意思を表明しにくい状態にさせ、またはその状態に乗じてわいせつな行為をすれば不同意わいせつ罪(176条、6月以上10年以下の拘禁刑)、性交等をすれば不同意性交等罪(177条、5年以上の有期拘禁刑)です。婚姻関係の有無にかかわりません
- くわしくは不同意性交等罪の記事と不同意わいせつ罪の記事で

メル美「お酒に弱かっただけ」と自分を責めなくていいんだね。おかしいと思ったら、早めに相談する。
被害にあったかもしれないときの相談先
| 相談先 | 連絡先 |
|---|---|
| 緊急のとき・事件の被害 | 110番 |
| 性犯罪被害の相談(警察) | #8103(ハートさん、全国共通) |
| 急ぎではない警察への相談 | #9110 |
- 性暴力の被害の相談は、不同意性交等罪の記事の相談先も見てください

人を昏酔させて財物を盗み取れば、強盗として扱われます。睡眠薬などで数時間の意識障害を起こさせた行為は傷害罪にあたる、と最高裁は判断しています。
まとめ
- 人を昏酔させて財物を盗み取れば昏酔強盗罪。強盗として5年以上の有期拘禁刑(刑法239条・236条)。けがをさせれば強盗致傷(240条)
- 睡眠薬などで数時間の意識障害を生じさせた行為は傷害罪(最高裁 平成24年1月30日決定)
- アルコールや薬物で同意しない意思を表明しにくくして性交等をすれば不同意性交等罪(177条)
- 処方された睡眠薬を人にあげることの法律は睡眠薬の譲渡の記事で
参考文献
- 刑法(明治40年法律第45号)第176条、第177条、第204条、第235条、第236条、第239条、第240条、第243条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月22日)
- 最高裁判所第三小法廷 平成24年1月30日 決定(刑集66巻1号36頁). 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/81956/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁. 性犯罪被害相談電話全国共通番号「#8103」. https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁. 令和2年版 警察白書 第2章第3節 第3項 相談業務の充実強化(警察相談専用電話「#9110」). https://www.npa.go.jp/hakusyo/r02/honbun/html/w2233000.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。