
プレ男夜勤明けで眠れないっていう同僚に、おれが病院でもらってる睡眠薬を2錠あげようかと思って。お金は取らないし、いいよね?

メル美睡眠薬って、たしか法律で特別に決められている薬もあるよね。タダでも問題になるのかな。
今回は、処方された睡眠薬を人にあげる・売ることと法律です。麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)、麻薬、麻薬原料植物、向精神薬、麻薬向精神薬原料等を指定する政令、医薬品医療機器等法の条文(e-Gov法令検索)で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談や医療の代わりにはなりません。眠れない状態が続くときは、薬を人から分けてもらうのではなく、本人が医療機関に相談してください。薬についての疑問は、処方した医師や薬剤師にたずねられます。
睡眠薬の多くは法律上の「向精神薬」
- 麻向法の「向精神薬」は、法律の別表と政令で指定されています
- 政令(4条)が向精神薬として挙げている物質には、たとえば次のものがあります(いずれも「その塩類」をふくむ)
- ゾルピデム
- トリアゾラム
- フルニトラゼパム
- エチゾラム
- ゾピクロン
許可のない人は「譲り渡し」ができない
- 麻向法50条の16第1項は、「向精神薬営業者(向精神薬使用業者を除く。)でなければ、向精神薬を譲り渡し、又は譲り渡す目的で所持してはならない」と定めています(病院等の開設者が施用のため交付する場合などの例外があります)
- 薬局などの向精神薬小売業者も、向精神薬処方箋を持っている人以外に譲り渡してはいけない(50条の16第4項)、処方箋により調剤された向精神薬以外を渡してはいけない(50条の17)とされています
| 行為 | 刑 | 条文 |
|---|---|---|
| 向精神薬をみだりに譲り渡した、または譲り渡す目的で所持した | 3年以下の拘禁刑 | 66条の4第1項 |
| 営利の目的で同じことをした | 5年以下の拘禁刑(情状により5年以下の拘禁刑と100万円以下の罰金を併科) | 66条の4第2項 |
| 未遂 | 罰する | 66条の4第3項 |

プレ男条文には「お金を取ったら」とは書いてなくて、「譲り渡し」なんだ。もうけ目的なら、さらに重くなる。
売れば医薬品医療機器等法にもふれうる
- 医薬品医療機器等法24条1項は、薬局開設者または医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、販売・授与の目的で貯蔵・陳列してはならないと定めています
- 違反は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方です(84条)
- 余った処方薬をフリマアプリで売ることについては、フリマで売ると違反になりうるものの記事で、自治体の注意喚起とあわせて紹介しています
人に飲ませる目的なら、もっと重い罪に
- 相手に知らせずに睡眠薬などを飲ませ、数時間の意識障害を起こさせた行為を傷害罪とした最高裁の決定があります。眠らせて財物を取れば昏酔強盗罪、性的な行為をすれば不同意性交等罪です。くわしくは飲み物に薬を混ぜる行為の記事で

メル美親切のつもりでも、自分の薬は自分だけのもの。同僚には「病院で相談してみて」と伝えるのがいいね。

ゾルピデムやエチゾラムなどは法律上の向精神薬です。許可のない人が向精神薬をみだりに譲り渡すと、無料でも3年以下の拘禁刑の対象になります。
まとめ
- 睡眠薬に使われるゾルピデム、トリアゾラム、フルニトラゼパム、エチゾラム、ゾピクロンなどは、政令で向精神薬に指定されている
- 向精神薬営業者でない人は、向精神薬を譲り渡せない(麻向法50条の16)。みだりに譲り渡せば3年以下の拘禁刑、営利目的なら5年以下(66条の4)
- 業として医薬品を販売・授与するには許可が必要(医薬品医療機器等法24条)
- 覚醒剤・大麻などの違法薬物は覚醒剤・MDMAの記事と大麻の記事で
参考文献
- 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第50条の16、第50条の17、第66条の4. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/328AC0000000014 (閲覧日:2026年10月22日)
- 麻薬、麻薬原料植物、向精神薬、麻薬向精神薬原料等を指定する政令(平成2年政令第238号)第4条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/402CO0000000238 (閲覧日:2026年10月22日)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第24条、第84条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145 (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。