プレイヤーの法律THE RULEBOOK

RULE 01.09Consent

不同意わいせつ罪(刑法176条)を条文で読む同意しない意思を示せない状態にさせたり、その状態に乗じたりして「わいせつな行為」をすると6月以上10年以下の拘禁刑。罰金刑はない。夫婦でも成立。「わいせつ」かどうかは行為者の性的な意図ではなく、行為の性的な意味で判断(最高裁大法廷 平成29年)

2026年10月22日 時点

2023年7月13日、強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」(刑法176条)にまとめられました。暴行・脅迫、アルコールや薬物の影響、眠っている状態、フリーズ、立場を利用した圧力など8つの例をあげ、それらによって同意しない意思を形成・表明・全うすることが難しい状態でわいせつな行為をすると、婚姻関係の有無にかかわらず6月以上10年以下の拘禁刑です。罰金刑はありません。わいせつでないとだましたり、人違いをさせたりした場合や、16歳未満の相手への行為も同じです。ケガをさせれば無期または3年以上の拘禁刑、公訴時効は12年。最高裁大法廷は平成29年、行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではないと判例を変更しました。条文・法務省のQ&A・判決の原文で確かめました。

目次
  1. 2023年7月13日からの「不同意わいせつ罪」
  2. 条文:刑法176条
  3. 8つの行為・事由(176条1項各号)
  4. 「そんなつもりじゃなかった」は?(最高裁大法廷 平成29年)
  5. 痴漢は、条例違反?不同意わいせつ?
  6. 時効と、裁判での配慮
  7. 被害を受けたら
  8. まとめ

プレ男不同意性交等罪のことはこの前読んだけど、「不同意わいせつ罪」って、性交まではいかない行為のこと?

メル美「そんなつもりじゃなかった」って言えば許されるのかも気になる。条文を読んでみよう。

今回は、不同意わいせつ罪です。刑法・刑事訴訟法の条文(e-Gov法令検索)、法務省「性犯罪関係の法改正等 Q&A」、最高裁判所の判例(裁判所ウェブサイトの判決の原文)で確かめました。不同意性交等罪は不同意性交等罪とは?で説明しています。

この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。被害にあったときは、ひとりで抱えず、#8891(ワンストップ支援センター)や#8103(警察の性犯罪被害相談電話)に相談してください。

2023年7月13日からの「不同意わいせつ罪」

条文:刑法176条

項 どんなとき 刑
1項 8つの行為・事由などにより、同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態に乗じて、わいせつな行為をした 6月以上10年以下の拘禁刑(婚姻関係の有無にかかわらず)
2項 行為がわいせつなものではないと誤信させ、または人違いをさせて(またはその誤信・人違いに乗じて)わいせつな行為をした 1項と同じ
3項 16歳未満の者にわいせつな行為をした(相手が13歳以上16歳未満なら、行為者が5年以上前に生まれた場合) 1項と同じ

プレ男罰金ですむことはないんだ。思っていたよりずっと重い。

8つの行為・事由(176条1項各号)

法務省Q&Aの説明とあわせて整理します。いずれも程度は問いませんが、その結果、相手が「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」になっていることが必要です。

号 条文 法務省Q&Aの説明(要約)
1 暴行・脅迫を用いる、または受けた 暴行は身体に向けた不法な有形力の行使、脅迫は畏怖させる害悪の告知
2 心身の障害を生じさせる、またはある 身体・知的・発達・精神障害。一時的なものを含む
3 アルコール・薬物を摂取させる、またはその影響がある 飲酒や、薬物の投与・服用
4 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせる、またはある 眠っている、もうろうとしている
5 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがない 気づいてから行為までに、考える時間のゆとりがない
6 予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させる、またはしている いわゆるフリーズの状態
7 虐待に起因する心理的反応を生じさせる、またはある 抵抗しても無駄だと考える心理状態など
8 経済的・社会的関係上の地位にもとづく影響力による不利益を憂慮させる、またはしている 家庭・会社・学校などでの関係。自分や親族への不利益を不安に思う

「そんなつもりじゃなかった」は?(最高裁大法廷 平成29年)

最高裁判所大法廷 平成29年11月29日判決(平成28年(あ)第1731号)は、改正前の強制わいせつ罪(176条)についてですが、昭和45年の判例を変更して、次のように判断しました。

メル美「性的なつもりはなかった」と言っても、行為そのものの意味で判断されるんだね。どんな行為が当たるかは、事件ごとに判断されるみたい。

痴漢は、条例違反?不同意わいせつ?

時効と、裁判での配慮

不同意わいせつ罪は6月以上10年以下の拘禁刑で、罰金刑はありません。条文には「婚姻関係の有無にかかわらず」と書かれていて、夫婦の間でも成立します。

被害を受けたら

まとめ


参考文献

  1. 刑法(明治40年法律第45号)第176条、第180条、第181条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 (閲覧日:2026年10月22日)
  2. 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第250条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 (閲覧日:2026年10月22日)
  3. 法務省. 性犯罪関係の法改正等 Q&A(令和5年7月). https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00200.html (閲覧日:2026年10月22日)
  4. 最高裁判所大法廷 平成29年11月29日判決(平成28年(あ)第1731号). 刑集71巻9号467頁. 裁判所ウェブサイト. https://www.courts.go.jp/hanrei/87256/detail2/index.html (閲覧日:2026年10月22日)
  5. 内閣府男女共同参画局. 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター. https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html (閲覧日:2026年10月22日)
  6. 警察庁. 性犯罪被害相談電話全国共通番号「#8103」. https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html (閲覧日:2026年10月22日)

この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。