
メル美性被害にあった人が「警察に行っても、裁判で相手の前で話さなきゃいけないなら無理」って言ってた。名前や住所を知られるのもこわいって。

プレ男被害を受けた側が、さらにつらい思いをするのはおかしいよね。守るしくみはないのかな。
今回は、性犯罪の被害者を刑事手続の中で守るしくみです。刑事訴訟法の条文(e-Gov法令検索)と、法務省のパンフレット「犯罪被害者の方々へ」のウェブ版(2026年10月22日閲覧)で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。どの措置がとられるかは、裁判所などが事件ごとに判断します。不安なことは、担当の検察官や検察庁の被害者支援員に相談できます。
法廷で証言するときの3つの配慮
法務省の案内によると、性犯罪の被害を受けて証言することが不安な人のために、裁判所の判断で、次の3つの措置をとることができ、併用されることもあります。
| 措置 | 条文 | どんなもの(法務省の説明) |
|---|---|---|
| 証人への付添い | 刑事訴訟法157条の4 | 証言している間、家族や心理カウンセラーなどが、証人のそばに付き添う |
| 証人の遮へい | 157条の5 | 証人と、被告人や傍聴人との間についたてなどを置き、視線を気にしないで証言できるようにする |
| ビデオリンク方式 | 157条の6 | 証人は別室にいて、法廷と別室をテレビカメラでつなぎ、モニターを通じて尋問する |
- 被告人から証人が見えないようにする措置は、弁護人が出頭している場合に限りとることができます(157条の5第1項ただし書)
- ビデオリンク方式は、不同意わいせつ・不同意性交等(刑法176条・177条)などの罪の被害者を証人として尋問する場合に、裁判所が相当と認めるときに使えます(157条の6第1項1号)
- 付き添う人は、尋問や証言を妨げたり、証言の内容に不当な影響を与えたりする言動をしてはなりません(157条の4第2項)

プレ男別室から話せたり、ついたてで見えないようにできたりするんだ。知らなかった。
録音・録画した聴取を、証拠にできる(2023年の改正)
- 法務省の案内によると、警察や検察庁で作成した供述調書は、被告人の同意がなければ、通常は証拠にできないため、被害者が裁判で証言しなければならないことがあります
- 被害者などの負担を減らすため、令和5年(2023年)の刑事訴訟法の改正で、一定の条件のもとで実施して得られた被害者の供述などの録音・録画の記録媒体は、被告人の同意がなくても裁判の証拠にできるようになりました(321条の3)
- 条件の一つは、供述した人の年齢や心身の状態などに応じて、不安や緊張を和らげる措置と、誘導をできる限り避ける措置などが特にとられた状況での聴取であることです(321条の3第1項2号)
- ただし、裁判所はその記録媒体を調べたあと、訴訟関係人に、供述した人を証人として尋問する機会を与えなければなりません(321条の3第1項後段)
名前や住所を、加害者に知らせないしくみ
法務省の案内によると、性犯罪などの一定の事件では、捜査から判決後に至るまで、被害者の氏名や住所などの個人を特定させる情報(個人特定事項)を、被疑者・被告人などに秘匿して保護する制度があります。
| 段階 | しくみ | 条文 |
|---|---|---|
| 逮捕 | 被害者の個人特定事項の記載がない逮捕状の抄本などを被疑者に示す | 201条の2 |
| 起訴 | 被害者の個人特定事項の記載がない起訴状の抄本などを被告人に送達する | 271条の2 |
| 公開の法廷 | 被害者の氏名や住所などを公開の法廷で明らかにしない決定(被害者等の申出があり、相当と認めるとき) | 290条の2 |
- 法廷で秘匿が決まると、あらかじめ「Aさん」などの呼び方を決め、法廷ではその呼び方でやりとりします(法務省Q&A)
- 弁護人に対しても、一定の場合には個人特定事項を知らせないことができます(法務省Q&A)
- 公開の法廷で明らかにしない旨の申出は、あらかじめ検察官にします(290条の2第2項)

メル美名前を「Aさん」と呼ぶしくみがあるんだね。こわいことは、担当の検察官に相談すればいいんだ。
裁判に参加する、弁護士の支援を受ける
- 被害者参加制度:不同意性交等・不同意わいせつなどの事件の被害者は、裁判所の許可を受けて刑事裁判に参加し、公判期日に出席したり、一定の範囲で被告人に質問したりできます。参加の申出は、あらかじめ担当の検察官にします(法務省の案内)
- 犯罪被害者等支援弁護士制度:精神的・身体的被害や経済的困窮で、刑事手続への関与や被害回復のための法的対応ができない犯罪被害者等に、原則として法テラスが費用を負担して、早い段階から弁護士が継続的に援助する制度です。対象には不同意性交等・不同意わいせつなどの性犯罪(未遂を含む)が含まれ、本人と配偶者の資力が300万円以下のときに利用できます(法務省の案内)
- 被害届と告訴のちがいは、「被害届」と「告訴」はどうちがう?で

性犯罪などの裁判では、付添い、遮へい、ビデオリンクといった措置で、証言する人の負担を軽くすることができます。被害者の氏名などを公開の法廷で明らかにしない決定もできます。
相談先
- 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター #8891
- 警察の性犯罪被害相談電話 #8103(ハートさん)
- 刑事手続の不安は、担当の検察官や、検察庁の被害者ホットライン・被害者支援員へ(法務省の案内)
- 弁護士の支援は、法テラス(サポートダイヤル 0570-078374)へ
- 被害直後にできることは、性暴力の被害にあったらで
まとめ
- 証言のときは、付添い(157条の4)・遮へい(157条の5)・ビデオリンク(157条の6)。併用もできる
- 2023年の改正で、条件を満たした録音・録画の聴取を、被告人の同意がなくても証拠にできる(321条の3)
- 被害者の氏名・住所は、逮捕状・起訴状でも加害者に知らせない方法があり(201条の2・271条の2)、公開の法廷でも明らかにしない決定ができる(290条の2)
- 被害者参加制度や、法テラスが費用を負担する犯罪被害者等支援弁護士制度もある
- 相談は #8891・#8103、手続は担当の検察官へ
参考文献
- 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第157条の4、第157条の5、第157条の6、第201条の2、第271条の2、第290条の2、第321条の3. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 犯罪被害者の方々へ 5.公判段階での被害者支援. https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-4.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 犯罪被害者の方々へ 3.犯罪被害者等に関する情報の保護. https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11-11.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 犯罪被害者の方々へ(はじめに・目次). https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji11.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 法務省. 犯罪被害者等支援弁護士制度. https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji07_00049.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 内閣府男女共同参画局. 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター. https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 警察庁. 性犯罪被害相談電話全国共通番号「#8103」. https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. その他の相談先(法テラス・サポートダイヤル). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sonota.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。