
メル美やっちゃった…。ネットでハンドクリームを1個買うつもりが、数量が「11」になったまま注文してた!

プレ男おれもこの前、「キャンセル」だと思って押したボタンが有料プランの申込みだった。こういう操作ミスって、取り消せるの?
今回は、ネットの申込みの操作ミスと電子消費者契約法です。電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律(電子消費者契約法)と民法の条文(e-Gov法令検索)、経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(令和7年2月)の原文で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。困ったら、下の「相談先」へ。
まず民法のルール(95条)
- 意思表示は、①意思表示に対応する意思を欠く錯誤などで、その錯誤が法律行為の目的と取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができます(民法95条1項)
- ただし、錯誤が表意者の重大な過失によるものだったときは、相手方が錯誤を知っていた(または重大な過失で知らなかった)場合などを除き、取り消すことができません(民法95条3項)
画面の数量を確かめずに送信したようなミスは「重大な過失」と言われるおそれがあります。そこで、ネットの申込みには特例があります。
電子消費者契約法の特例(3条)
- 対象は「電子消費者契約」:消費者と事業者の間で、パソコンやスマホの画面を介して結ぶ契約で、事業者が画面に表示する手続にしたがって消費者が送信して申し込む(または承諾する)もの(2条1項)
- 消費者の申込みが、民法95条1項1号の錯誤にもとづくもので、その錯誤が重要なものであり、かつ次のどちらかにあたるときは、民法95条3項は適用されません(3条本文)。つまり、重大な過失があっても取り消せます
- 送信したときに、申込みをする意思がなかったとき
- 送信したときに、ちがう内容の申込みをする意思があったとき

メル美「11個」は、「1個のつもり」だったから2のほうだね。
特例が使えない場合(3条ただし書)
- 事業者が、申込みのときに、画面を介して申込みの意思の有無について確認を求める措置を講じた場合
- 消費者から事業者に、その措置は必要ないという意思の表明があった場合
この場合は民法95条3項にもどり、消費者に重大な過失があれば、事業者は契約の有効を主張できます(準則)。
経済産業省の準則があげる例
操作ミスの例
- 購入するか検討するつもりで内容を入力して価格を表示させていたら、誤って送信ボタンを押した(申込む意思がない)
- キャンセルボタンと思って押したら、有料の契約の申込みボタンだった(申込む意思がない)
- 1個のつもりが11個と入力して申込みボタンを押した(ちがう内容)
「確認措置」と認められると思われる例
- あるボタンをクリックすると申込みになることを、消費者がはっきり確認できる画面(「商品Aの購入の申込みとなります。よろしいですか?」)
- 確定的な申込みとなる送信ボタンを押す前に、申込みの内容を表示し、訂正する機会を与える画面(最終確認画面)
「確認措置」と認められない可能性がある例
- 最終確認画面がなく、申込みの内容が、同じ画面上でも送信ボタンとまったく別の場所に表示されているとき
「意思の表明」について
- 準則は、消費者が自ら望んで確認措置は必要ないと積極的に選択する必要があり、その認定は慎重になされると考えられる、としています。事業者に同意を強制されたり、意図的に誘導されたりした場合は「意思の表明」にあたらないと思われる、としています

確認画面のないサイトでの操作ミスの申込みは、重大な過失があっても取り消せます(電子消費者契約法3条)。確認画面があるサイトでは、この特例は使えません。
取り消せる期間(民法126条)
- 取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないとき、または行為の時から20年を過ぎたときは、時効によって消滅します(民法126条)
関連するルール
- 定期購入のように、申込みの最終画面に必要な表示がなかった・うその表示でまちがえて申し込んだときの取消しは、特定商取引法のルールがあります。「初回500円」のはずが定期購入の記事で
- ネット通販にはクーリング・オフがないことはクーリング・オフ、うそや強引な勧誘での契約の取消しは消費者契約法の取消しの記事で
相談先
- 消費者ホットライン「188」(消費者庁):近くの市区町村や都道府県の消費生活センターなどの消費生活相談窓口を案内します。土日祝日も、市区町村・都道府県の窓口が開いていない場合は国民生活センターが補完し、原則毎日利用できます(施設点検日・年末年始を除く)
まとめ
- 民法では、重大な過失による錯誤は原則として取り消せない(95条3項)
- ネットの申込みの操作ミス(申込む意思がなかった/ちがう内容のつもりだった)は、確認画面などの確認措置がなければ、重大な過失があっても取り消せる(電子消費者契約法3条)
- 事業者が確認措置を講じた、または消費者が自ら「確認は不要」と表明したときは、特例は使えない
- 困ったら消費者ホットライン188へ
参考文献
- 電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律(平成13年法律第95号)第1条〜第3条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000095 (閲覧日:2026年10月22日)
- 民法(明治29年法律第89号)第95条、第126条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 (閲覧日:2026年10月22日)
- 経済産業省. 電子商取引及び情報財取引等に関する準則(令和7年2月)Ⅰ-1-2 消費者の操作ミスによる錯誤. https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/20250212003-11.pdf (閲覧日:2026年10月22日)
- 消費者庁. 消費者ホットライン. https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/ (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。