目次

プレ男バイトに行く途中、駅の階段で転んで足をひねっちゃった。店長は「仕事中じゃないから労災じゃない」って言うんだけど…。

メル美通勤中のけがにも労災保険の「通勤災害」があるんだって。寄り道したときはどうなるのかも見てみよう。
今回は、通勤災害です。労働者災害補償保険法(労災保険法)と同法施行規則の条文(e-Gov法令検索)、厚生労働省「確かめよう労働条件」のQ&A、東京労働局・大阪労働局の「通勤災害について」の原文で確かめました。
この記事は一般的な解説で、法律相談の代わりにはなりません。通勤災害にあたるかどうかは、労働基準監督署が個別に判断します。
アルバイトも対象(厚生労働省)
- 厚生労働省は、労災保険は、正社員、アルバイト、パートタイマーなど名称や働き方にかかわらず適用されます、給付内容もアルバイト・パートタイマーは正社員と同じ、と説明しています
- アルバイト先の会社へ出勤する途中、最寄り駅の階段で転倒して骨折した事例について、労災給付の対象になるものと考えられるとしています
- 労災保険の対象となる場合は健康保険は使えないので、受診のときに出勤途中のけがであることをはっきり申し出ること、会社から協力が得られない場合は労働基準監督署に相談すること、としています
- 会社が労災保険への加入手続きを怠っている場合でも、被災した労働者への保険給付は行われる、としています
「通勤」の定義(労災保険法7条2項)
労働者が、就業に関し、次の移動を、合理的な経路及び方法により行うこと(業務の性質を有するものを除く)。
- 住居と就業の場所との間の往復
- 就業の場所から他の就業の場所への移動(副業・兼業など)
- 単身赴任先の住居と帰省先の住居との間の移動など(厚生労働省令で定める要件にあたるもの)
東京労働局の説明のポイント:
- 就業に関し:その日に就業することになっていた、または現実に就業していたことが必要。遅刻やラッシュを避けるための早出など、ある程度の時間の前後は認められる
- 合理的な経路:通常利用する経路が複数あれば、どれも合理的。当日の交通事情による迂回なども含む。合理的な理由なく著しく遠回りする経路は合理的な経路とはならない
- 合理的な方法:鉄道・バスなどの公共交通機関、自動車・自転車を本来の用法で使うこと、徒歩など。ふだん使っているかどうかにかかわらず合理的な方法
- 業務の性質を有するもの:会社が用意した専用の交通機関での出退勤や、休日の緊急呼び出しでの出動などは、通勤災害ではなく業務災害

メル美いつもとちがう電車で行った日も、合理的な経路なら通勤なんだね。
寄り道したら?(7条3項)
- 移動の経路を逸脱し、または移動を中断した場合は、その間とその後の移動は通勤になりません(7条3項本文)
- 逸脱は、通勤と関係ない目的で合理的な経路をそれること、中断は、経路の上で通勤と関係ない行為をすること(東京労働局)
- 大阪労働局は、具体的には通勤の途中で映画館に入る場合、バーで飲酒する場合などがこれにあたる、としています

プレ男帰りに飲みに寄ったら、そのあとの帰り道は通勤じゃなくなるんだ…。
例外1:ささいな行為(労働局の説明)
- 通勤の途中で、経路の近くの公衆便所を使用する場合や、経路上の店でタバコやジュースを購入する場合などのささいな行為は、逸脱・中断にはなりません(東京労働局・大阪労働局)
例外2:日常生活上必要な行為(7条3項ただし書・施行規則8条)
次の行為を、やむを得ない事由により最小限度で行う場合は、逸脱・中断の間を除き、合理的な経路にもどったあとは再び通勤になります。
- 日用品の購入その他これに準ずる行為
- 職業訓練、学校教育法1条の学校での教育など、職業能力の開発向上に役立つ教育訓練を受ける行為
- 選挙権の行使その他これに準ずる行為
- 病院または診療所での診察・治療その他これに準ずる行為
- 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、配偶者の父母の介護(継続的または反復して行われるもの)

通勤の途中に病院で診察を受けるなど、日常生活上必要な行為を最小限度で行った場合は、元の経路にもどったあとは再び通勤となります(労災保険法7条3項ただし書)。
給付と相談先
- 通勤災害で休んだときの休業給付の計算は、労災保険の休業補償の記事で
- 労災の請求で会社の協力が得られないときは、労働基準監督署へ(厚生労働省)
まとめ
- 通勤災害は、住居と職場の往復などを合理的な経路及び方法で移動しているときのけがなど(労災保険法7条)
- アルバイト・パートも同じように対象。労災の対象なら健康保険は使えない(厚生労働省)
- 経路をそれる・移動を中断すると、その後は原則として通勤にならない(映画館、バーでの飲酒など)
- トイレやジュースの購入などささいな行為は中断にあたらない。日用品の購入・受診・選挙など日常生活上必要な最小限の寄り道は、元の経路にもどれば通勤(施行規則8条)
- 東京で自転車通勤するときの保険の義務は東京都の自転車保険の義務の記事で
参考文献
- 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第7条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000050 (閲覧日:2026年10月22日)
- 労働者災害補償保険法施行規則(昭和30年労働省令第22号)第6条〜第8条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/330M50002000022 (閲覧日:2026年10月22日)
- 厚生労働省. 確かめよう労働条件 Q&A「アルバイト先に向かう途中の転倒。労災は適用されますか?」. https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/sonota/q10.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 東京労働局. 通勤災害について. https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/tuukin.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 大阪労働局. 通勤災害について. https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/hourei_seido/tsaigai.html (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。