
プレ男歴史の教科書の「ワカタケル大王」って、埼玉で見つかった剣に書いてあったんだよね?

メル美そう。しかも、ほり出してから10年たって、さびの下から金の文字が見つかったんだって。
今回は、埼玉県・稲荷山古墳から出土した国宝「金錯銘鉄剣」(きんさくめいてっけん)です。所蔵・展示している埼玉県立さきたま史跡の博物館の解説ページと教材「鉄剣銘文穴埋めチャレンジ」、文化庁の文化遺産オンライン、埼玉県教育委員会の報告書『稲荷山古墳』(1985年)で確かめました。
プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 金錯銘鉄剣(「金錯」は金の象嵌のこと) |
| 長さ | 全長73.5cm |
| 文字 | 剣身の表に57文字、裏に58文字、あわせて115文字。金象嵌 |
| 出土 | 埼玉県行田市、埼玉古墳群の稲荷山古墳。後円部の頂上の埋葬施設の一つ「礫槨(れきかく)」から |
| 国宝 | 1981年に重要文化財、1983年に国宝(ほかの副葬品とともに「武蔵埼玉稲荷山古墳出土品」として) |
| 持ち主 | 国(文化庁) |
| 展示 | 埼玉県立さきたま史跡の博物館の国宝展示室 |
- 博物館によると、文字数は、古墳時代の銘文のある刀剣の中で圧倒的に多く、115文字すべてが読めるのも特長です
10年後の大発見(博物館と報告書より)
- 稲荷山古墳は、埼玉古墳群でもっとも古く、もっとも北にある前方後円墳で、全長は120m。周りには二重の長方形の堀がめぐります
- 1968年(昭和43年)の発掘で、後円部から2つの埋葬施設が見つかりました。そのうち、ほぼ完全な形で残っていた礫槨から、鏡、馬具、武具、勾玉などの装身具とともに、この鉄剣が出てきました
- 発掘から10年後の1978年(昭和53年)、出土品の保存処理をしている最中に、鉄剣の表と裏から金の文字が見つかりました
- 博物館は、これを日本古代史を考えるうえで「100年に一度とも言われる」たいへん重要な発見だったと紹介しています

プレ男10年も、すごい文字が書いてあることに、だれも気づいてなかったんだ!
何が書いてある?(博物館の教材より)
博物館の教材は、銘文の内容を、こんなふうにやさしく言いかえています。
辛亥の年の7月に記します。わたくしヲワケの臣(ヲワケコ)の先祖は代々、護衛隊のリーダーを務めてきました。わたくしはワカタケル大王に仕え、天下を治めるのを助けました。そこで、このすばらしい剣に、これまでの功績を刻んで記念とします。
銘文の中の大切なことばは、次のとおりです(読み方・意味は博物館の教材より)。
| ことば | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 辛亥 | しんがい | 銘文が記された年。古墳時代にはまだ年号がなく、十干と十二支を組み合わせて年を表した。もっとも有力な説では西暦471年 |
| 乎獲居臣 | をわけこ/をわけのしん | 鉄剣を作らせた人の名前。「ヲワケの臣」「ヲワケコ」などと読む説がある |
| 杖刀人 | じょうとうじん | 身分の高い人の護衛をする役職と考えられている。「杖刀人首」は「護衛隊の隊長」 |
| 獲加多支鹵大王 | わかたけ(き)る(ろ)だいおう | 『古事記』や『日本書紀』に記された雄略天皇のことだと考えられている |
| 左治天下 | てんか(を)さじ | 天下(世の中)を治めるのを助ける |
- 埼玉県によると、「ヲワケ」と、古墳にほうむられた人物との関係には諸説ありますが、埼玉古墳群の成り立ちに深くかかわっていたことはまちがいない、とされています

メル美「うちの一族は代々すごいんです」って、1500年以上前の人が剣に刻んだ自己紹介みたいだね。
なぜそんなに大事なの?
- 文化庁の解説(文化遺産オンライン)は、115字の銘文を、5世紀の日本の社会が大きく変わっていく時期の、きわめて数少ない同時代の史料で、「現存最古の日本の文章といえる」と評価しています
- その内容は、古代の氏族のあり方を伝え、『古事記』『日本書紀』が伝える古代国家の歴史を、いっそう明らかにするものだとしています
- 博物館も、「ワカタケル大王」の名前と「辛亥の年」の記載から、この時代に大王の勢力が非常に広い範囲におよんでいたことが明らかになった、と説明しています
見に行くなら(2026年10月22日に確認した博物館の公式サイトより)
- 埼玉県立さきたま史跡の博物館(埼玉県行田市埼玉4834)の国宝展示室で、いっしょに国宝になった勾玉や鏡などとともに展示されています(時期によって展示資料はかわります)
- 開館は9時〜16時30分(7月1日〜8月31日は17時まで)、入館は閉館の30分前まで。休館日は毎週月曜日と年末年始(12月29日〜1月3日)、ほかに臨時休館もあります
- 博物館のサイトでは、鉄剣の3次元モデルを見ることができます。埼玉古墳群は、2020年3月に、埼玉県で初めての特別史跡に指定されました

さきたま史跡の博物館によると、金錯銘鉄剣の115文字は、発掘から10年後の1978年に、保存処理の作業中に見つかりました。
まとめ
- 埼玉・稲荷山古墳の礫槨から出土した、全長73.5cmの鉄剣
- 表57文字・裏58文字、115文字の金象嵌の銘文。すべて読める
- 1968年に発掘、1978年の保存処理中に文字を発見
- 「辛亥の年」(有力な説で471年)、「ワカタケル大王」、「ヲワケ」の一族が代々護衛の長をつとめたこと
- 文化庁は「現存最古の日本の文章といえる」と評価。1983年に国宝
- 古代の外交のしるしは金印、文字が刻まれた古代の刀は七支刀もどうぞ
参考文献
- 埼玉県立さきたま史跡の博物館. 金錯銘鉄剣. https://sakitama-muse.spec.ed.jp/%E9%87%91%E9%8C%AF%E9%8A%98%E9%89%84%E5%89%A3 (閲覧日:2026年10月22日)
- 埼玉県立さきたま史跡の博物館. 鉄剣銘文穴埋めチャレンジ(ワークシート・こたえ). https://sakitama-muse.spec.ed.jp/anaume_challenge (閲覧日:2026年10月22日)
- 埼玉県立さきたま史跡の博物館. 稲荷山古墳. https://sakitama-muse.spec.ed.jp/%E5%9F%BC%E7%8E%89%E5%8F%A4%E5%A2%B3%E7%BE%A4%E7%B4%B9%E4%BB%8B/%E7%A8%B2%E8%8D%B7%E5%B1%B1%E5%8F%A4%E5%A2%B3 (閲覧日:2026年10月22日)
- 埼玉県立さきたま史跡の博物館. 国宝展示室. https://sakitama-muse.spec.ed.jp/exhibition/kokuhou (閲覧日:2026年10月22日)
- 埼玉県立さきたま史跡の博物館. 埼玉古墳群紹介. https://sakitama-muse.spec.ed.jp/%E5%9F%BC%E7%8E%89%E5%8F%A4%E5%A2%B3%E7%BE%A4%E7%B4%B9%E4%BB%8B (閲覧日:2026年10月22日)
- 文化庁. 文化遺産オンライン「武蔵埼玉稲荷山古墳出土品」. https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/159795 (閲覧日:2026年10月22日)
- 埼玉県. 令和8年度企画展「ヲワケの生きた時代―5世紀の北武蔵―」. https://www.pref.saitama.lg.jp/g2210/library-info/20261003.html (閲覧日:2026年10月22日)
- 埼玉県教育委員会. 史跡埼玉古墳群保存修理事業報告書『稲荷山古墳』(1985年). 全国文化財総覧. https://sitereports.nabunken.go.jp/130922 (閲覧日:2026年10月22日)
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。 気になる症状や不安がある場合は、医療機関にご相談ください。