電通グループの強みとは:日本の広告・マーケティングが調整後営業利益の半分超、米州・EMEA・APACの海外事業も。2025年12月期は海外事業ののれんなどの減損4,026億円で当期損失3,276億円、無配に
電通グループを、2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日、東証の適時開示)で分析しました。収益1兆4,352億円(+1.7%)、売上総利益1兆1,975億円(−0.3%、オーガニック成長率0.5%)、調整後営業利益1,725億円(−2.1%、オペレーティング・マージン14.4%)、営業損失2,892億円、親会社の所有者に帰属する当期損失3,276億円(減損損失4,026億円など)、親会社所有者帰属持分比率11.7%。セグメントの調整後営業利益は、日本1,211億円(+6.1%、インターネット広告・BX・DX、オーガニック成長率6.2%)、米州723億円(−3.8%)、EMEA338億円(−12.0%)、APAC27億円。配当は2025年12月期・2026年12月期とも0円。2026年12月期は調整後営業利益1,663億円・当期利益697億円の予想。リクルートホールディングスとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男電通って、大きな広告の会社だよね。赤字になったの?

メル美決算短信を見ると、本業の調整後営業利益は1,700億円以上あるけど、減損損失4,000億円超で大きな赤字になって、配当も0円なんだって
企業分析の連載、184社目は電通グループです。2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日)で確認しました。会社のサイトは今回の確認方法では読めなかったため、東京証券取引所の適時開示に載っている同じ決算短信を使っています。比較には、この連載のリクルートホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、電通グループ株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
インターネット広告をはじめとするマーケティング、ビジネス・トランスフォーメーション(BX)、デジタル・トランスフォーメーション(DX)などを、日本・米州・EMEA・APACで手がける会社
| 項目(IFRS・連結) | 2025年12月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 収益 | 1兆4,352億円 | +1.7% |
| 売上総利益 | 1兆1,975億円 | −0.3% |
| 調整後営業利益(会社の指標) | 1,725億円 | −2.1% |
| オペレーティング・マージン | 14.4% | 前期 14.8% |
| 営業損益 | −2,892億円 | 前期 −1,250億円 |
| 親会社の所有者に帰属する当期損益 | −3,276億円 | 前期 −1,922億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 11.7% | 前期 19.9% |
| 配当 | 0円 | 前期 139.5円 |
- 調整後営業利益は、営業利益から買収関連の損益や構造改革費用・減損などの一時的要因を除いた、会社の指標です。オペレーティング・マージンは、調整後営業利益を売上総利益で割った比率です
- 減損損失4,026億円などで、営業損失・当期損失になりました。配当は2025年12月期・2026年12月期とも0円です
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上総利益 | 調整後営業利益 |
|---|---|---|---|
| 日本 | インターネット広告などのマーケティング、BX、DXが成長(オーガニック成長率6.2%) | 4,956億円(+6.2%) | 1,211億円(+6.1%) |
| 米州 | 米国は厳しい状況、一部子会社の売却(オーガニック成長率−3.0%) | 3,157億円(−5.6%) | 723億円(−3.8%) |
| EMEA | 英国・ドイツ・イタリア・オランダは厳しい状況(同−1.8%) | 2,719億円(+1.0%) | 338億円(−12.0%) |
| APAC | オーストラリアは厳しく、インド・タイ・台湾は堅調(同−6.8%) | 1,073億円(−7.9%) | 27億円(+159.0%) |
- 4つのセグメントの調整後営業利益の合計2,300億円のうち、日本が約53%です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 日本の事業
- 日本は、インターネット広告などのマーケティング、BX、DXが伸び、オーガニック成長率6.2%、オペレーティング・マージン24.4%でした
② 調整後の利益は高水準
- 減損を除いた調整後営業利益は1,725億円、親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は935億円(+0.7%)でした
③ 営業キャッシュ・フロー
- 営業キャッシュ・フローは1,180億円の収入でした
4. 弱み・リスク
① 海外事業の減損と赤字
- 米州ののれん(2,997億円)とEMEAののれん(964億円)などで減損損失4,026億円を計上し、2期続けて当期損失でした
② 無配と財務
- 配当は0円になり、親会社所有者帰属持分比率は19.9%→11.7%に下がりました(→配当方針の読み方)
③ 海外の不振
- 米州・EMEA・APACのオーガニック成長率はいずれもマイナスで、米国は厳しい状況としています
5. ライバルとの比較
人材・広告などのサービスを世界で展開するリクルートホールディングスと並べます。決算期(リクルートは3月期)と事業の中身がかなり違うので、おおまかな比較です。どちらもIFRSです。
| 電通グループ(2025年12月期) | リクルートHD(2026年3月期) | |
|---|---|---|
| 収益(売上収益) | 1兆4,352億円(+1.7%) | 3兆6,973億円(+3.9%) |
| 営業損益 | −2,892億円 | 6,305億円(+28.5%) |
| 当期損益 | −3,276億円 | 4,969億円 |
| ROE | −61.1% | 31.0% |
- 電通グループは減損で大きな赤字、リクルートは高い利益とROEです(→リクルートホールディングスの強みとは)。ネット広告の会社はLINEヤフーの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
電通グループの決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2025年12月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| オーガニック成長率(セグメント別) | 全体0.5%、日本6.2% | 決算短信(経営成績) |
| 日本の調整後営業利益 | 1,211億円 | 決算短信(報告セグメントの業績) |
| 減損損失 | 4,026億円 | 決算短信(連結損益計算書関係) |
| 会社の業績予想 | 2026年12月期 収益1兆4,915億円、調整後営業利益1,663億円、営業利益1,526億円、当期利益697億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 0円、2026年12月期予想0円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男日本の事業は伸びているけど、海外の減損で大きな赤字なんだね。来年に黒字に戻るか、配当が再開されるかを見ておこう
まとめ
- 電通グループは、日本と海外の広告・マーケティングの会社
- 2025年12月期は調整後営業利益1,725億円(−2.1%)
- 減損損失4,026億円で当期損失3,276億円、配当は0円
- 調整後営業利益の約53%が日本、海外はオーガニック成長率がマイナス
- 2026年12月期は当期利益697億円の予想(配当は0円の予想)
参考文献
- 電通グループ. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/43240/140120260108531049.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- リクルートホールディングス. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月15日). https://file.recruit-holdings.com/files/ja/Recruit_202603Q4_earnings_jp.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。