「買って、預けて、配当を受け取る」販売預託(オーナー商法)は原則禁止:2022年6月1日の改正預託法で、すべての物品・権利が対象に。消費者庁の確認を受けた事業者は存在せず(2024年6月時点)、確認のない契約は無効。違反は個人5年以下の拘禁刑、法人5億円以下の罰金
販売預託(いわゆるオーナー商法)のしくみと規制を、預託等取引に関する法律(e-Gov法令検索)と、消費者庁「預託等取引に関する法律の概要」「販売預託は原則禁止!!」(令和6年6月時点版)でまとめました。販売預託とは、事業者が商品を売り、消費者がその商品を事業者に預け、事業者が運用した利益の一部を配当として支払う取引です。過去に豊田商事事件(金地金)、安愚楽牧場事件(和牛)、ジャパンライフ事件(磁気治療機器)などの大規模な被害があったことから、2022年6月1日施行の改正預託法で、すべての物品と特定権利を対象に原則禁止になりました。内閣総理大臣(消費者庁)の確認を受けた場合だけ例外ですが、確認を受けた事業者は存在しません。確認を受けない契約は無効で、勧誘や契約をすると個人は5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金、法人は5億円以下の罰金の対象です。

メル美親戚が「太陽光パネルを買って会社に預けておけば、売電の利益が毎月配当で入る」って誘われてるの。オーナーになれるって…

プレ男モノを買うなら、少なくとも手元に何か残るんじゃない?
今回は、販売預託(いわゆるオーナー商法)です。預託等取引に関する法律(預託法)の条文(e-Gov法令検索)と、消費者庁「預託等取引に関する法律の概要」「販売預託は原則禁止!!」(令和6年6月時点版)で確認しました。
誘われた人や、すでに契約した人が悪いのではありません。「モノを買って預けるだけ」という話は、投資の知識がなくても安心に見えるように作られています。
販売預託とは
消費者庁の説明では、次のような取引です。
- 事業者が商品を販売する
- 消費者が代金を払う
- 消費者がその商品を事業者に預ける
- 事業者が預かった商品を運用(第三者に貸し出す、売電するなど)
- 運用で利益が出る
- その一部を配当金として消費者に払う
- 商品の例として、消費者庁は太陽光パネルや航空機などを挙げています
- しかし実際には、運用による利益がほとんどない可能性があり、破綻するリスクが高いと消費者庁は注意しています

メル美商品は事業者が預かったままだから、本当にあるのか、本当に運用されているのか、こっちからは見えないんだ
過去の大きな被害
消費者庁は、過去に次のような大規模な被害があったとしています。
| 事件 | 預けた商品 |
|---|---|
| 豊田商事事件 | 金地金 |
| 安愚楽牧場事件 | 和牛 |
| ジャパンライフ事件 | 磁気治療機器 |
2022年6月1日から「原則禁止」
1986年(昭和61年)に施行された法律が2021年(令和3年)に改正され、2022年(令和4年)6月1日から次のようになりました。
- すべての物品と特定権利(ゴルフ場などの施設の利用権、物品の利用権、引渡請求権など)が対象
- 販売を伴う預託等取引(販売預託)の勧誘や契約は原則禁止。内閣総理大臣(消費者庁)の厳格な確認を受けた場合だけ例外(預託法9条・14条)
- 確認は1年ごとの更新が必要
- 消費者庁は、確認を受けた事業者は存在しないとしています(令和6年6月時点版のチラシ)
- 確認を受けないで結んだ契約(売買契約と預託等取引契約)は無効(2022年6月1日以降に締結・更新したもの)
罰則
| 内容 | |
|---|---|
| 確認を受けずに勧誘・契約した個人(預託法32条) | 5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、または併科 |
| 法人(両罰規定) | 5億円以下の罰金 |
「預託等取引」とは(預託法2条・消費者庁)
次のどちらかに当たる取引です。
- 3か月以上の期間にわたって物品などを預かり、その預かりについて利益(配当など)を約束する
- 物品などを預かり、3か月以上たったあとに買い取ることを約束する
見分けるポイント
- 「商品を買って、預けて、配当」「レンタル料・売電収入を分配」「オーナー制度」
- 「利回り◯%」「元本保証」(→「元本保証で高利回り」の出資と出資法)
- 新しい客のお金を前の客の配当に回していないか(→ポンジ・スキームとは)
- 紹介で報酬が出る(→ねずみ講・マルチ商法)
消費者庁は、「高利率・高配当や元本保証をうたって勧誘を受けたとしても、必ずもうかる、楽して稼げるということはありません」としています。自分の契約が販売預託に当たるかは、消費者庁の「販売預託該当性チェックシート」で簡易的に確かめられます。
困ったら
- 消費者ホットライン 188(いやや)。近くの消費生活相談窓口を案内してくれます
- 返金を持ちかける別の業者には注意(→被害回復をうたう二次被害)
まとめ
- 販売預託は、商品を買って事業者に預け、運用益を配当として受け取る取引
- 豊田商事・安愚楽牧場・ジャパンライフなど、大規模な被害があった
- 2022年6月1日から、すべての物品・権利で原則禁止。確認のない契約は無効
- 違反は個人5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金、法人5億円以下の罰金
- 困ったら 188
参考文献
- 預託等取引に関する法律(昭和61年法律第62号)第2条・第9条・第14条・第32条ほか(e-Gov法令検索). https://laws.e-gov.go.jp/law/361AC0000000062 (閲覧日:2026年10月10日)
- 消費者庁. 「預託等取引に関する法律」の概要. https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/act_on_deposit/assets/consumer_transaction_cms202_220601_00.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 消費者庁. 「販売預託」は原則禁止!! 違法な「販売預託商法」にご注意を!!(令和6年6月時点版). https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/act_on_deposit/assets/consumer_transaction_cms202_240712_01.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。