「元本保証で高利回り」の出資は、それだけで出資法違反のおそれ:銀行などでない者が、不特定多数から元本を約束してお金を集めることは禁止。2025年の利殖勧誘事犯の検挙は40事件・被害額約809億円(警察庁)
「元本保証で月3%」のような出資の勧誘がなぜ危ないのかを、出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)の条文と、警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」(令和8年3月)でまとめました。出資法1条は、不特定多数から出資金の全額以上を払い戻すと示して出資金を受け入れることを禁じ、2条は、ほかの法律に特別の規定のある者(銀行など)以外が業として預り金をすることを禁じています。違反は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)。2025年の利殖勧誘事犯の検挙は40事件・97人、被害人員2万5,392人、被害額約808億8,701万円。「元本保証」をうたった預り金の事犯は12事件・被害額約44億5,082万円でした。

プレ男先輩に「元本保証で毎月3%の配当が出る事業がある」って誘われた。元本保証なら損しないし、いいかなって…

メル美銀行の預金でも金利はわずかなのに、元本保証で月3%…? それ、法律的に大丈夫なのかな
今回は、「元本保証で高利回り」をうたう出資の勧誘です。出資法の条文(e-Gov法令検索)と、警察庁「令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について」(令和8年3月)で確認しました。
誘われた人や、お金を出してしまった人が悪いのではありません。知り合いからの話だと、断るのは難しいものです。この記事は、「元本保証」という言葉そのものが危ないサインになる理由を説明します。
出資法が禁じていること
正式名は「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」です。
1条:元本を約束して出資金を集めてはいけない
- 何人も、不特定かつ多数の者に対し、後日出資金の全額、またはそれを超える金額を払い戻すと明示し、または暗黙のうちに示して、出資金を受け入れてはならない
2条:預り金をしてはいけない
- 業として預り金をすることについてほかの法律に特別の規定のある者(銀行など)を除き、何人も業として預り金をしてはならない
- 「預り金」とは、不特定かつ多数の者からの金銭の受入れで、預金・貯金・定期積金の受入れ、または社債・借入金など、名前を問わず、これと同じ経済的性質をもつもの
罰則(8条3項)
- 1条・2条1項に違反した者は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方
- 名前ややり方を問わず、禁止を免れる行為をした者も同じです

メル美「出資」でも「貸付」でも、名前を変えても、元本を約束して多くの人からお金を集めたらアウトなんだ
なぜ「元本保証」が危ないサインなのか
- 本当の投資では、値下がりや事業の失敗で元本が減ることがあります。元本を約束できるのは、法律で認められた預金などに限られます
- 「元本保証で高い配当」は、後から入った人のお金を前の人の配当に回すしくみ(ポンジ・スキーム)でしか続かないことが多く、いずれ破綻します(→ポンジ・スキームとは)
- 警察庁の統計でも、勧誘時に「元本保証」をうたったことで出資法2条の預り金に当たる事犯が、独立した類型として集計されています
数字で見る:2025年(令和7年)の利殖勧誘事犯(警察庁)
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 検挙事件数 | 49事件 | 40事件 |
| 検挙人員 | 162人 | 97人 |
| 被害人員 | 8万6,128人 | 2万5,392人 |
| 被害額 | 約1,776億円 | 約808億8,701万円 |
類型別(2025年)の主なもの:
| 類型 | 検挙事件数 | 被害人員 | 被害額 |
|---|---|---|---|
| 集団投資スキーム(ファンド) | 17事件 | 1万7,043人 | 約168億1,658万円 |
| 公社債 | 3事件 | 5,543人 | 約472億1,294万円 |
| 元本保証をうたった預り金(上記以外の預り金) | 12事件 | 409人 | 約44億5,082万円 |
| 未公開株 | 1事件 | 2,000人 | 約110億円 |
- 2025年の検挙事件の42.5%(17事件)は、FX等の国際金融取引や暗号資産関連事業等への投資運用をうたったファンドに関連した事犯でした
- 利殖勧誘事犯の相談は3,017件。相談者は50歳代が20.9%で最も多く、65歳以上が25.6%を占めます
こんな勧誘は要注意
- 「元本保証」「元本割れなし」「毎月◯%の配当」
- 「紹介すれば報酬」(→ねずみ講・マルチ商法)
- 「FX・暗号資産で運用するファンド」で、金融庁の登録が確認できない(→無登録業者の見分け方)
- 「借用書」「業務委託契約」など、出資と呼ばない形でお金を集める
お金を出してしまったら
- 契約書・振込の記録・やりとりのメッセージを保存する
- 警察相談専用電話 #9110、消費者ホットライン 188、金融庁の金融サービス利用者相談室へ
- 「取り戻します」と近づいてくる業者には注意(→被害回復をうたう二次被害)
まとめ
- 出資法は、銀行など以外が、元本を約束して不特定多数からお金を集めることを禁じている(1条・2条)
- 違反は3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金
- 2025年の利殖勧誘事犯は40事件・被害額約809億円。「元本保証」をうたう預り金の事犯は12事件・約44億円
- 「元本保証で高利回り」は、それだけで危ないサイン
参考文献
- 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和29年法律第195号)第1条・第2条・第8条(e-Gov法令検索). https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000195 (閲覧日:2026年10月10日)
- 警察庁生活安全局生活経済対策管理官. 令和7年における生活経済事犯の検挙状況等について(令和8年3月). https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/2026_nenpou_teisei.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
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