高齢の家族をねらう「劇場型」投資詐欺:別々の会社のふりをした何人もが口裏を合わせ、「その株を高値で買い取る」とあと押しする。金融庁への相談は2年で15,054件、約25%が60代以上。政府が挙げる6つの見破るポイントと、家族ができること
高齢者がねらわれやすい「劇場型」の投資詐欺と見破り方を、政府広報オンライン「投資詐欺にご注意を 気をつけるべき6つのポイント。相談窓口もご紹介。」(2025年10月6日)でまとめました。金融庁に寄せられた投資詐欺の相談は2023年1月〜2024年12月の2年間で15,054件、うち12,526件(83.2%)は被害あり。2024年の相談の約25%が60代以上でした。劇場型は、A社が未公開株を勧めた直後に別のB社が「高値で買い取るので代わりに買って」と持ちかけるなど、複数の役者が登場する手口。未公開株・外国通貨・発電設備の権利・プロ向けファンドなどが使われます。政府が挙げる6つのポイント(無登録の業者、上場確実・元本保証、未公開株・私募債、タイミングのよい別業者、公的機関のお墨付き、公的機関に似た名前)と、家族ができることを紹介します。

メル美おばあちゃんが「証券会社から未公開株を勧められて、別の会社からもその株を倍で買い取りたいって電話が来た」って…

プレ男2つの会社が同じ株をほしがってるなら、本当に値上がりしそう…って思っちゃうよね
今回は、高齢の家族がねらわれやすい「劇場型」の投資詐欺です。政府広報オンライン「投資詐欺にご注意を 気をつけるべき6つのポイント。相談窓口もご紹介。」(2025年10月6日)で確認しました。
だまされた人が悪いのではありません。何人もの「役者」が入れかわり立ちかわり出てくると、冷静な判断を保つのは非常に難しいと、政府広報もはっきり書いています。
投資詐欺の相談は2年で15,054件
政府広報によると(金融庁の金融サービス利用者相談室への相談をもとに集計)、
- 2023年1月〜2024年12月の2年間に、投資詐欺の相談は15,054件
- そのうち12,526件(83.2%)は、何らかの被害を受けた相談
- 2024年の相談者の年代は、30代以下12.39%、40代10.85%、50代14.97%、60代13.22%、70代以上11.26%、年齢不明37.31%。約25%が60代以上
「劇場型」とは
- 一見別々の会社を装った複数の人間が口裏を合わせて、1人をだまそうとする手口です。一味が別々の登場人物を演じることから「劇場型」と呼ばれます
- 例:証券会社を名乗るA社が、X社の未公開株を勧める → 直後に、投資コンサルタントを名乗るB社から「X社の株がほしいが、うちは直接買う資格がない。後日高値で買い取るので、代わりに買ってほしい」と連絡が来る
- 「別々の会社が同じように注目しているなら、有望なのかも」と思わせるのがねらいです。2社にとどまらず、何社もの「役者」が出てくる例もあります

メル美A社とB社は、じつは同じグループなんだ。「買い取る」って言った会社とは、払ったあと連絡がとれなくなる
よく使われる「投資先」
政府広報が挙げる主な手口は次のとおりです。投資の対象は、話題に合わせて次々と変わります。
| 手口 | 勧誘の例 |
|---|---|
| 未公開株 | 「近く上場する。上場すれば高値がつくのは確実」 |
| 外国通貨 | 「開発途上国が成長する。いまのうちにその国の通貨を買えば儲かる」 |
| 権利 | 風力・太陽光発電の土地の権利、新技術の知的財産権など、話題のキーワードに関連した権利 |
| プロ向けファンド | 「金融庁に届出をした業者」「限られたプロ投資家向けのファンド」と信頼させる |
- プロ向けファンドについては、2016年3月1日施行の改正金融商品取引法で、一定の要件を満たさない一般の投資家に売ることが禁止されました(→プライベート・エクイティ(PE)ファンドとは)
見破る6つのポイント(政府広報)
- 聞いたことのない業者(金融庁への登録も確認できない業者)から勧誘されている
- 「上場確実」「必ず儲かります」「元本は保証されています」などと請け合う
- 「未公開株」や「私募債」の取引を勧誘されている(一般に、幅広い投資家にこうした取引が勧誘されることは考えられない)
- 株や社債を勧められたあと、別の業者からタイミングよく連絡があり、「必ず値上がりする」「買ってくれたら後日高値で買い取る」と言われる
- 業者が「金融庁などの公的機関から認可・許可・委託・指示を受けている」と説明する(公的機関が投資の勧誘を民間に委託・指示することはない)
- 金融庁・財務局・消費者庁・消費生活センター・証券取引等監視委員会などの公的機関や、それらを連想させる名前を使っている
政府広報は、こうした勧誘を受けたら「勧誘の途中でもきっぱり断るなどして、絶対に関わらないように」としています。
家族ができること
- 高齢の親やおじいちゃん・おばあちゃんに、「未公開株」「高値で買い取る」「元本保証」という電話は詐欺、と事前に伝えておく
- 「誰かにすすめられた投資の話があったら、払う前に一度家族に話して」と約束しておく
- 業者の名前を聞いたら、一緒に金融庁の登録業者の一覧や警告を受けた業者の一覧で確かめる(→無登録業者の見分け方)
- 責めずに話を聞く。恥ずかしさから、被害を隠してしまうこともあります
相談先
- 金融庁 金融サービス利用者相談室(相談は無料、プライバシーは守られる)。詐欺的な投資の相談ダイヤル 0570-050588(IP電話 03-6206-6066)
- 消費者ホットライン 188、警察相談専用電話 #9110
未公開株の詐欺のしくみは未公開株・社債の勧誘に注意、取り戻すと言ってくる業者は被害回復をうたう二次被害へ。
まとめ
- 投資詐欺の相談は2年で15,054件、2024年は約25%が60代以上(金融庁の相談をもとにした政府広報)
- 「劇場型」は、別々の会社のふりをした何人もが口裏を合わせる手口。「高値で買い取る」が典型
- 投資先は未公開株・外国通貨・発電の権利・プロ向けファンドなど、話題に合わせて変わる
- 6つのポイント(無登録、上場確実・元本保証、未公開株・私募債、タイミングのよい別業者、公的機関のお墨付き、公的機関に似た名前)
- 家族で事前に話しておく、払う前に相談
参考文献
- 政府広報オンライン. 投資詐欺にご注意を 気をつけるべき6つのポイント。相談窓口もご紹介。(2025年10月6日). https://www.gov-online.go.jp/article/201510/entry-8432.html (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。