外貨建て一時払い保険の注意点:外貨で運用する保険で、為替で円での受取額が変わり、途中で解約すると市場価格調整(MVA)で解約返戻金が減ることも。金融庁は、外貨建債券などとの比較説明がほとんどないと指摘
外貨建て一時払い保険の注意点を、金融庁「顧客本位タスクフォース 事務局説明資料」(2022年9月26日)と「リスク性金融商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果(概要版)」(2023年6月30日)でまとめました。外貨建保険は、保険料の払込みや保険金の支払いなどを米ドルなどの外貨で行う保険で、為替リスクがあります(生命保険協会)。金融庁は、運用商品として勧めるときに似た運用効果を持つ外貨建債券などと比較する事例がほとんどないこと、分散投資の一部や資産全体の中での位置づけを踏まえた提案がされていないことを指摘しました。銀行で定期預金を申し込んだら「定期預金より安全で、複利で運用できる」と勧められ、円安のときに解約しようとしたら市場価格調整(MVA)で元本割れすると言われた、という苦情も紹介しています。2022年度上期には主要行等と地域銀行で販売額が急増し、販売を推進する業績評価が背景の一つと見られています。

メル美母が銀行で定期預金をしようとしたら、「ドル建ての保険のほうが利率がよくて安全ですよ」って勧められたんだって

プレ男保険なのに運用もできるの? 預金とどうちがうんだろう
今回は、外貨建て一時払い保険の注意点です。金融庁「顧客本位タスクフォース 事務局説明資料」(2022年9月26日)と、金融庁「リスク性金融商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果(概要版)」(2023年6月30日)で確認しました。
外貨建て一時払い保険は、保険会社が提供し、銀行などでも販売されている金融商品です。この記事では、しくみとリスク、金融庁が指摘している説明や売り方の課題、契約の前に確かめたいポイントを紹介します。特定の保険や金融機関をすすめたり、評価したりするものではありません。あわせて、国民生活センター「国民生活」2024年4月号の用語解説(生命保険協会の執筆)と、生命保険協会「市場リスクを有する保険商品への加入にあたって」も確認しました。
外貨建て一時払い保険とは
- 外貨建保険は、保険料の払込みや保険金・年金の支払いなどを、米ドルやユーロなどの外貨で行う保険です。生命保険協会は、投資対象国の経済状況を反映した運用成果が期待できる一方、為替リスクがあるとしています
- 一時払いは、保険料を一度にまとめて払う形です
- 外貨建て保険は、市場の相場などで保険金額などが増減する「特定保険契約」(保険業法)に当たり、金融商品取引法の行為規制の一部が準用されます。販売では、適合性原則(知識・経験・財産の状況や目的に照らして不適当な勧誘をしない)や、契約締結前交付書面の交付が求められます(国民生活センター「国民生活」2024年4月号)
金融庁の指摘
2022年9月(顧客本位タスクフォース)
- 販売額は2019年度以降減っていましたが下げ止まり、残高は地域銀行を中心に増加傾向
- 運用商品として勧めるときに、似た運用効果を持つ外貨建債券などと比較する事例がほとんど見られない
- 顧客は運用面の説明をもとに選んでいると考えられるのに、分散投資の一部として位置づけられていないことが多く、資産全体の中での位置づけを踏まえた提案もされていない
- 運用上の相対的な優位性を十分に説明していない
2023年6月(モニタリング結果)
- 2022年度上期は、主要行等と地域銀行で販売額が急増
- 多くの金融機関で、販売が増えた背景の一つが、販売を推進する業績評価の体系であることがうかがわれた
- 販売額・解約額が大幅に増える一方、残高は横ばいで、顧客のニーズに沿った販売か懸念がある先が相応にあるとしています
寄せられた声(金融庁の資料より)
銀行で定期預金を申し込んだところ、定期預金よりも安全で、複利で運用できる商品があると外貨建一時払い保険を勧誘された。円安になったときに解約しようとしたところ、契約時に「大したことはない」と説明を受けた市場価格調整(MVA)の影響で元本割れすると言われた。
- 市場価格調整(MVA)が適用された契約では、契約時と比べて解約時の市場金利が上がった場合は解約返戻金が予定より減り、下がった場合は増えます。保険会社が運用の中心にしている債券の価格が、市場金利が上がると下がるためです(国民生活センター「国民生活」2024年4月号)

メル美円安でも、途中で解約すると金利の影響で減ることがあるんだ。「定期預金より安全」とは言い切れないね
勧められたら確かめたいこと
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為替が円高になったら、円での受取額はどうなるか
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途中で解約したら、いくら戻るか(市場価格調整、解約控除)
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為替の手数料(外国通貨で契約することで特別に生じる手数料)や保険関係の費用はいくらか(契約締結前交付書面の「注意喚起情報」に書かれます)
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似た運用効果の外貨建債券や外貨預金と比べてどうか(→外貨預金のしくみと注意点)
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預金ではなく保険であること。自分の知識・経験・目的に合っているか
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同じく「利率が高く見える」商品は仕組債のしくみとリスク、おまかせ運用の費用はファンドラップのしくみとコストへ
まとめ
- 外貨建て一時払い保険は、外貨で運用する保険。為替で円での受取額が変わる
- 途中解約では市場価格調整(MVA)などで元本割れすることがある
- 金融庁は、外貨建債券などとの比較説明がほとんどない、資産全体での位置づけを踏まえた提案がないと指摘
- 2022年度上期は銀行で販売が急増。業績評価が背景の一つとされた
- 「定期預金より安全」と言われたら、為替・解約・費用・ほかの商品との比較を確かめる
参考文献
- 金融庁. 事務局説明資料(金融審議会 顧客本位タスクフォース、2022年9月26日 資料2). https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/kokyakuhoni_tf/siryou/20220926/02.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 金融庁. リスク性金融商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果(概要版)(2023年6月30日). https://www.fsa.go.jp/news/r4/kokyakuhoni/fdreport/02.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 国民生活センター. 国民生活 2024年4月号「気になるこの用語 市場リスクのある生命保険」(生命保険協会 執筆). https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202404_09.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 生命保険協会. 市場リスクを有する保険商品への加入にあたって. https://www.seiho.or.jp/data/billboard/market/ (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。