不二製油の強みとは:チョコレート用油脂などの植物性油脂が事業利益の大部分を稼ぎ、米国Blommerなどの業務用チョコレートも。2026年3月期は事業利益360億円(+171.8%)、Blommerののれんを減損
不二製油を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日)で分析しました。売上高7,723億円(+15.1%、パーム油とカカオ豆の価格上昇による販売価格の上昇)、事業利益360億円(+171.8%、会社の指標)、営業利益298億円(+159.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益111億円(+188.4%)、ROE5.0%、親会社所有者帰属持分比率37.7%。セグメントの事業利益は植物性油脂334億円(+24.7%、チョコレート用油脂CBEが堅調)、業務用チョコレート24億円(前期は損失、Blommerのカカオ豆価格の安定)、乳化・発酵素材11億円、大豆加工素材は9億円の損失。Blommerは収益実現に時間を要するとして、のれんの減損と繰延税金資産の取崩し。年52円の配当、2027年3月期は事業利益375億円・当期利益195億円・年62円の予想。J-オイルミルズとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男不二製油って、どんな会社なの?

メル美決算短信だと、チョコレートに使う油や、業務用のチョコレートをつくっているんだって。カカオの値段の影響を大きく受けるみたい
企業分析の連載、270社目は不二製油です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日)で確認しました。比較には、この連載のJ-オイルミルズの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、不二製油株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の商品をすすめるものではなく、食品の健康効果についてはふれません。
1. ひとことで言うと
チョコレート用油脂(CBE)などの「植物性油脂」、米国Blommerなどの「業務用チョコレート」、「乳化・発酵素材」、「大豆加工素材」の4つの事業をもつ食品素材の会社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,723億円 | +15.1% |
| 事業利益(会社の指標) | 360億円 | +171.8% |
| 事業利益率 | 4.7% | 前期 2.0% |
| 営業利益 | 298億円 | +159.1% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 111億円 | +188.4% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 5.0% | 前期 1.8% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 37.7% | 前期 34.7% |
| 配当 | 年52円(配当性向40.1%) | 前期 52円 |
- 売上高は、パーム油とカカオ豆の調達価格の上昇にともなう販売価格の上昇で増えました
- 事業利益は、営業利益に持分法の損益を加え、非経常的な損益を除いた、会社独自の利益の指標です
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 事業利益 |
|---|---|---|---|
| 植物性油脂 | チョコレート用油脂の堅調な販売 | 2,711億円(+30.7%) | 334億円(+24.7%) |
| 業務用チョコレート | Blommerでのカカオ豆価格の安定と関連費用の減少 | 3,709億円(+10.8%) | 24億円(前期は損失) |
| 乳化・発酵素材 | — | 974億円(+3.4%) | 11億円(−32.7%) |
| 大豆加工素材 | — | 329億円(−5.9%) | −9億円(損失) |
- 売上高がいちばん大きいのは業務用チョコレートですが、事業利益のほとんどは植物性油脂です
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① チョコレート用油脂
- 会社は、チョコレート用油脂(CBE)やコンパウンドチョコレートを成長領域とし、競争優位性を発揮して収益力が上がったとしています
② 業務用チョコレートの回復
- 業務用チョコレートは、前期の損失から黒字になりました
③ 増配の予想
- 配当は年52円、2027年3月期は年62円の予想です
4. 弱み・リスク
① Blommer の収益
- 米国のBlommerは構造改革中で、需要低迷の長期化による販売数量の減少や固定費の増加で計画と実績に差が出たため、のれんの減損損失と繰延税金資産の取崩しを計上しました
② 原料価格
- 2026年3月期の増収は、パーム油やカカオ豆の調達価格の上昇にともなう販売価格の上昇によるものでした。カカオ豆の調達価格は、2024年の高騰以降、高い水準が続いているとしています(→金・銀・銅・原油の価格はどう動いた?)
③ 財務
- 親会社所有者帰属持分比率は37.7%、有利子負債は2,684億円です
5. ライバルとの比較
油脂のJ-オイルミルズと並べます。会計基準(不二製油はIFRS)と利益の指標が違うので、おおまかな比較です。どちらも2026年3月期です。
| 不二製油 | J-オイルミルズ | |
|---|---|---|
| 売上高 | 7,723億円(+15.1%) | 2,266億円(−1.8%) |
| 利益 | 360億円(事業利益) | 44億円(営業) |
| 利益率 | 4.7% | 1.9% |
| ROE | 5.0% | 4.4% |
- 食用油の会社はJ-オイルミルズの強みとは、チョコレートを売る菓子の会社は森永製菓の強みとはへ
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
不二製油の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 植物性油脂の事業利益 | 334億円 | 決算短信(セグメントごとの経営成績) |
| 業務用チョコレートの事業利益 | 24億円 | 決算短信(セグメントごとの経営成績) |
| Blommerの状況 | 構造改革中、のれんの減損 | 決算短信(経営成績の概況) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高7,540億円、事業利益375億円、当期利益195億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年52円、2027年3月期予想62円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男チョコレートに使う油で稼いで、アメリカのチョコレート事業の立て直しが課題なんだね
まとめ
- 不二製油は、植物性油脂と業務用チョコレートなどの食品素材の会社
- 2026年3月期は事業利益360億円(+171.8%)
- 稼ぎ頭はチョコレート用油脂などの植物性油脂(334億円)
- 米国Blommerののれんを減損
- 2027年3月期は事業利益375億円・年62円の予想
参考文献
- 不二製油. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月12日). https://www.fujioil.co.jp/pdf/ir/library/accounts/260512.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- J-オイルミルズ. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月11日). https://www2.jpx.co.jp/disc/26130/140120260508519771.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。