伊藤園の強みとは:「お~いお茶」などのリーフ・ドリンクが売上の約9割、海外では抹茶を含む日本茶が伸びる。タリーズコーヒーも。2026年4月期は自動販売機事業の減損149億円で当期純利益35億円(−75.5%)
伊藤園を、2026年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年6月1日、東証の適時開示)で分析しました。売上高4,979億円(+5.3%)、営業利益217億円(−5.6%、営業利益率4.4%、原材料費などのコスト上昇が想定を上回る)、経常利益233億円(+1.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益35億円(−75.5%、自動販売機事業などの減損損失149億円)、ROE2.0%、自己資本比率51.4%。セグメントは、リーフ・ドリンク関連(売上高4,434億円・+5.5%、営業利益175億円・−8.0%、海外は米国・ASEANを中心に抹茶を含む日本茶が拡大)、飲食関連(タリーズコーヒー、売上高465億円・+6.2%、営業利益36億円、850店舗)。自動販売機事業は子会社のネオス(伊藤園ネオス)に承継。年48円の配当(配当性向178.6%)、2027年4月期は営業利益200億円・当期純利益114億円・年52円の予想。サントリー食品インターナショナル・キリンとの比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男「お~いお茶」の伊藤園って、海外でも売れているの?

メル美決算短信を見ると、海外では抹茶を含む日本茶が米国や東南アジアを中心に伸びたんだって。でも、自動販売機の事業で大きな減損を出したみたい
企業分析の連載、195社目は伊藤園です。2026年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年6月1日)で確認しました。比較には、この連載のサントリー食品インターナショナルの強みとは・キリンホールディングスの強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、伊藤園株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。特定の商品や店をすすめるものでもありません。
1. ひとことで言うと
「お~いお茶」などの飲料と茶葉(リーフ)の「リーフ・ドリンク関連」を中心に、スペシャリティコーヒーショップ「タリーズコーヒー」の「飲食関連」を手がける会社
| 項目(日本基準・連結) | 2026年4月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,979億円 | +5.3% |
| 営業利益 | 217億円 | −5.6% |
| 営業利益率 | 4.4% | 前期 4.9% |
| 経常利益 | 233億円 | +1.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 35億円 | −75.5% |
| ROE(自己資本当期純利益率) | 2.0% | 前期 8.0% |
| 自己資本比率 | 51.4% | 前期 50.6% |
| 配当 | 年48円(配当性向178.6%) | 前期 44円 |
- 会社は、原材料費・物流費・人件費などのコスト上昇の中、消費者の節約志向が強く、厳しい環境だったとしています
- 当期純利益が大きく減ったのは、自動販売機事業で販売数量が減り収益性が下がったため、減損損失(合計149億円)を計上したからです
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 売上高 | 営業利益 |
|---|---|---|---|
| リーフ・ドリンク関連 | 国内は前年並み、海外は米国・ASEANを中心に抹茶を含む日本茶が拡大、コスト上昇が想定を上回る | 4,434億円(+5.5%) | 175億円(−8.0%) |
| 飲食関連 | タリーズコーヒー、「&TEA」「PRIME FIVE」業態、店舗数850 | 465億円(+6.2%) | 36億円(+1.1%) |
| その他 | 79億円(−7.9%) | 7億円(−13.9%) |
- 売上高の約89%がリーフ・ドリンク関連です(計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 日本茶の海外展開
- 海外では、抹茶を含む日本茶の市場が広がり、米国や東南アジア(ASEAN)を中心に堅調でした。会社は、国内外のマーケティングで「お~いお茶」のグローバル化を進めるとしています
② タリーズコーヒー
- タリーズコーヒーは、空港・鉄道などさまざまな場所に出店し、店舗数は850店舗(前期末比32店舗増)になりました
③ 価格改定と採算の改善
- 米国のコーヒー豆事業の採算性改善や、国内外の価格改定、経費のコントロールに取り組みました
4. 弱み・リスク
① 自動販売機事業
- 自動販売機事業は、コスト上昇の一方で販売数量が低下し、減損損失を計上しました。会社は、構造改革の一環として自動販売機事業を子会社のネオス(2026年5月から伊藤園ネオス)に承継させました
② コスト上昇と低い利益率
- 原材料費などのコスト上昇が想定を上回り、営業利益率は4.4%です
③ 高い配当性向
- 当期純利益が減ったため、配当性向は178.6%になりました(→配当方針の読み方)
5. ライバルとの比較
飲料の会社と並べます。決算期(伊藤園は4月期、ほか2社は12月期)、会計基準(ほか2社はIFRS)、利益の指標が違うので、おおまかな比較です。
| 伊藤園(2026年4月期) | サントリー食品(2025年12月期) | キリンHD(2025年12月期) | |
|---|---|---|---|
| 売上(売上収益) | 4,979億円(+5.3%) | 1兆7,154億円(+1.1%) | 2兆4,334億円(+4.1%) |
| 利益(営業/事業) | 217億円(営業) | 1,487億円(営業) | 2,518億円(事業) |
| 利益率 | 4.4% | 8.7% | 10.3%(計算値) |
| ROE | 2.0% | 7.0% | 12.0% |
- 伊藤園は、日本茶を中心に海外展開を進めていますが、利益率はほかの2社より低い水準です(→サントリー食品インターナショナルの強みとは、キリンホールディングスの強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
伊藤園の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年4月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| リーフ・ドリンク関連の営業利益 | 175億円 | 決算短信(セグメント別の業績) |
| タリーズコーヒーの店舗数 | 850店舗 | 決算短信(飲食関連事業) |
| 減損損失 | 149億円 | 決算短信(損益計算書) |
| 会社の業績予想 | 2027年4月期 売上高5,000億円、営業利益200億円、当期純利益114億円 | 決算短信のサマリー |
| 配当 | 年48円、2027年4月期予想52円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男海外の日本茶は伸びているけど、自動販売機とコスト上昇が重いんだね。利益率が戻るかを見ておこう
まとめ
- 伊藤園は、「お~いお茶」などのリーフ・ドリンクとタリーズコーヒーの会社
- 2026年4月期は営業利益217億円(−5.6%)
- 海外は抹茶を含む日本茶が米国・ASEANで拡大
- 自動販売機事業の減損で当期純利益35億円(−75.5%)
- 2027年4月期は営業利益200億円・当期純利益114億円・年52円の予想
参考文献
- 伊藤園. 2026年4月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年6月1日). https://www2.jpx.co.jp/disc/25930/140120260529556144.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- サントリー食品インターナショナル. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月12日). https://www2.jpx.co.jp/disc/25870/140120260212556026.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- キリンホールディングス. 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年2月13日). https://www2.jpx.co.jp/disc/25030/140120260212558383.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。