栗田工業の強みとは:半導体工場などの「電子」と、薬品・装置・CSVビジネスの「一般水処理」の2本柱の水処理の会社。2026年3月期は事業利益573億円(+12.7%)、米国子会社の減損で当期利益160億円(−21.4%)
栗田工業を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日)で分析しました。継続事業の受注高4,430億円(+7.3%)、売上高4,029億円(+3.6%)、事業利益573億円(+12.7%、事業利益率14.2%)、営業利益583億円(+16.8%)、親会社の所有者に帰属する当期利益160億円(−21.4%、非継続事業となった米国子会社ペンタゴン・テクノロジーズ・グループの、のれんを含む固定資産の減損損失)、ROE4.7%、親会社所有者帰属持分比率60.4%。セグメントは、電子(売上高1,718億円・事業利益277億円、半導体工場の増強投資で水処理装置の大型案件、メンテナンスが増加)、一般水処理(売上高2,311億円・事業利益297億円・+20.1%、CSVビジネスの伸長で原価率が改善)。PFAS処理・除去事業の強化にも取り組む。年112円の配当(配当性向77.1%)、2027年3月期は事業利益615億円・当期利益420億円・年134円の予想。横河電機との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

プレ男栗田工業って、水の会社なの?

メル美決算短信を見ると、半導体工場などで使う水の処理装置やメンテナンスと、いろいろな工場向けの水処理薬品などを手がけているんだって
企業分析の連載、199社目は栗田工業です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日)で確認しました。比較には、この連載の横河電機の強みとはで確認した数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、栗田工業株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
半導体工場などの「電子市場」と、さまざまな産業の「一般水処理市場」に、水処理装置・水処理薬品・メンテナンス・継続契約型のサービスなどを組み合わせて提供する水処理の会社
| 項目(IFRS・連結、継続事業) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 受注高 | 4,430億円 | +7.3% |
| 売上高 | 4,029億円 | +3.6% |
| 事業利益(会社独自の指標) | 573億円 | +12.7% |
| 事業利益率(計算値) | 14.2% | 前期 13.1% |
| 営業利益 | 583億円 | +16.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 160億円 | −21.4% |
| ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率) | 4.7% | 前期 6.1% |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 60.4% | 前期 61.2% |
| 配当 | 年112円(配当性向77.1%) | 前期 92円 |
- 事業利益は、売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を引いた、恒常的な事業の業績を測る会社独自の指標です
- 米国で精密洗浄事業をしている子会社ペンタゴン・テクノロジーズ・グループは、2026年5月13日付で譲渡することを決め、非継続事業に分類しました。売上高・利益などは、これを除いた継続事業の数字です
- 当期利益が減ったのは、このペンタゴン社ののれんを含む固定資産の減損損失が増えたためです(当期利益は継続事業と非継続事業の合計)
2. 何で稼いでいるか
| セグメント | 主な動き(決算短信の記載) | 受注高 | 売上高 | 事業利益 |
|---|---|---|---|---|
| 電子 | 半導体工場の増強投資で水処理装置の大型案件を獲得、メンテナンスが増加、水処理装置の採算性が改善 | 2,090億円(+7.5%) | 1,718億円(+1.4%) | 277億円(+5.6%) |
| 一般水処理 | 国内の大型案件、CSVビジネスの伸長で原価率が改善、土壌浄化の大型受注 | 2,340億円(+7.1%) | 2,311億円(+5.4%) | 297億円(+20.1%) |
- 2つのセグメントの事業利益は、ほぼ半分ずつです(電子が約48%、計算値)
3. 強み
会社の資料にある事実から、この連載で強みと考えた点です。
① 半導体工場の水処理
- 世界的に半導体製造工場の増強投資が活発で、水処理装置の複数の大型案件を獲得しました。国内と韓国を中心に顧客の工場の稼働が好調で、メンテナンスも増えました
② CSVビジネス
- 節水・GHG(温室効果ガス)排出削減・廃棄物の資源化などに貢献するCSVビジネスの売上拡大を進め、一般水処理の事業利益は+20.1%でした
③ 新しい分野
- 規制が強化されつつあるPFAS(有機フッ素化合物)の処理・除去事業の強化に取り組み、分析から除去・無害化までのワンストップソリューションを進めています
4. 弱み・リスク
① 海外子会社の減損
- 前期のクリタ・フラクタ・ホールディングスののれんの減損(25億円)に続き、当期はペンタゴン社の減損で当期利益が減りました
② 中国・東南アジアと地政学リスク
- 水処理薬品は中国と東南アジアで市場環境の弱さが見られました。会社は、イラン情勢の悪化によるエネルギー不足や、ナフサ由来の原材料のサプライチェーンの混乱を懸念しています
③ 高い配当性向
- 当期利益が減ったため、配当性向は77.1%になりました(→配当方針の読み方)
5. ライバルとの比較
工場・プラント向けの設備やサービスを手がける横河電機と並べます。会計基準(横河電機は日本基準)と事業の中身が違うので、おおまかな比較です。どちらも2026年3月期です。
| 栗田工業 | 横河電機 | |
|---|---|---|
| 売上高 | 4,029億円(+3.6%) | 6,048億円(+7.5%) |
| 営業利益 | 583億円(+16.8%) | 826億円(−1.2%) |
| 営業利益率 | 14.5%(計算値) | 13.6% |
| ROE | 4.7% | 11.8% |
| 自己資本(親会社所有者帰属持分)比率 | 60.4% | 65.4% |
- 利益率は近い水準ですが、栗田工業は減損でROEが低くなりました(→横河電機の強みとは)。半導体製造装置の会社は東京エレクトロンの強みとはも
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
栗田工業の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| 受注高 | 4,430億円 | 決算短信(経営成績の概況) |
| セグメントの事業利益 | 電子277億円、一般水処理297億円 | 決算短信(セグメント別の概況) |
| 減損損失・非継続事業 | ペンタゴン社の譲渡 | 決算短信(非継続事業) |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 売上高4,250億円、事業利益615億円、当期利益420億円 | 決算短信 |
| 配当 | 年112円、2027年3月期予想134円 | 決算短信 |
- 指標の読み方はPER・PBR・ROE・配当利回りの見方へ

プレ男半導体工場の水と、ふつうの工場の水処理が半分ずつなんだね。受注高と、減損が落ち着くかを見ておこう
まとめ
- 栗田工業は、電子と一般水処理の2本柱の水処理の会社
- 2026年3月期は事業利益573億円(+12.7%)
- 半導体工場の増強投資とCSVビジネスが伸びる
- 米国子会社の減損で当期利益は160億円(−21.4%)
- 2027年3月期は事業利益615億円・当期利益420億円・年134円の予想
参考文献
- 栗田工業. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月14日). https://www.kurita-water.com/content/uploads/jp/ir/docs/KWI20260514_FinancialResults_jp.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 横河電機. 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(2026年5月7日). https://www2.jpx.co.jp/disc/68410/140120260507517451.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。