相場操縦とは:約定させる気のない注文で板を厚く見せる「見せ玉」、自分の売りと買いをぶつける「仮装売買」。個人投資家に159万円の課徴金が命じられた例も(日本取引所グループ)
株の相場操縦を、日本取引所グループ(日本取引所自主規制法人)の「相場操縦規制」のページでまとめました。相場操縦は、相場を意識的・人為的に動かし、自然の需給で決まったように見せかけて他人を誤認させ、その変動で利益を得ようとする行為で、金融商品取引法159条で禁止されています。例は、仮装売買・馴合売買(権利の移転を目的としない売買)と、見せ玉(約定させる意思のない注文で第三者の注文を誘う)。取引所は売買審査で不公正な取引を監視し、株価を引き上げる対当売買、寄付き前の見せ玉、特殊見せ玉などを注視しています。証券取引等監視委員会が示した見せ玉の判断要素と、個人投資家に159万円の課徴金の納付が命じられた事案、ネット取引で気をつけたい点も。

プレ男デイトレードで、買う気がないのに大きな買い注文を出して、すぐ取り消す人がいるって聞いたよ。それってアリなの?

メル美それ、「見せ玉」っていう相場操縦になるおそれがあるみたい。取引所の説明を見てみよう
今回は、相場操縦です。日本取引所グループ(日本取引所自主規制法人)の「相場操縦規制」のページで確認しました(2025年12月3日更新、2026年10月12日閲覧)。
この記事はルールの説明です。特定の株の売買をすすめるものではありません。
相場操縦とは
- 市場で相場を意識的・人為的に動かし、その相場を自然の需給で決まったかのように見せかけて他人を誤認させ、その変動を利用して自分の利益を図ろうとするものです
- 公正な価格の形成をさまたげ、ほかの投資家に思わぬ損害を与えるため、金融商品取引法で禁止されています
相場操縦の例
| 種類 | 中身 | 条文 |
|---|---|---|
| 仮装売買 | 自分の売り注文と買い注文を同時に出して約定させる、権利の移転を目的としない取引 | 金融商品取引法159条1項 |
| 馴合売買 | 売り手と買い手が連携して行う、仮装売買と同様の取引 | 金融商品取引法159条1項 |
| 見せ玉 | 約定させる意思のない注文を出して第三者の注文を誘い、相場を動かして自分に有利な値段で売買する | 金融商品取引法159条2項1号 |
見せ玉の具体例(取引所の説明)
現在値が500円で、持っている株を少しでも高く売りたい投資家Aの例です。
- 約定させる気のない買い注文(見せ玉)を496〜499円に合計400単位出し、買いが優勢に見せかける。あわせて505円に10単位の売り注文を出す
- 見せ玉を見て、株価が上がると誤解したほかの人の買い注文で株価が上がり、Aは505円で売ることに成功する
- いらなくなった見せ玉を取り消す
- 寄付き前に成行の見せ玉を出して寄付きの予想値段を引き上げる「寄付き前の見せ玉」や、引けの予想値段を動かす「特殊見せ玉」も、取引所は注視しています

メル美注文を出すだけで取り消しても、ほかの人をだまして値段を動かすなら相場操縦になりうるのね
見せ玉かどうかの判断要素
証券取引等監視委員会が示した判断要素として、取引所は次の例を紹介しています。
- 自分の売り(買い)注文が約定した直後に、反対の注文をすべて取り消している
- 指値の価格帯や数量が、板を厚く見せかけて、ほかの人の注文を誘う効果をもつ
- こうした行為をくり返し行っている
- 自分のふだんの取引の規模からみて、過大な量の注文を出している
個人投資家への課徴金の例
- 取引所は、インターネット取引の広がりにともない、個人投資家による見せ玉の事案が増えてきたとしています
- ある個人投資家は、約1か月の間に、売り板・買い板を厚く見せて第三者の注文を誘い、有利な値段で約定させたあとで注文を取り消す取引をくり返し、見せ玉と判断されて、金融庁から159万円の課徴金の納付を命じられました
取引所の監視
- 日本取引所自主規制法人は、株価や売買高が急に動いた銘柄などについて、売買の動きを毎日調べる売買審査を行い、専用のシステムで不公正な取引につながるおそれのある売買や注文を抽出しています
- 自分の売りと買いをぶつけて株価を引き上げたり、売買を活発に見せたりする対当売買も、注視の対象です
個人投資家が気をつけたいこと
- 約定させる気のない注文を、値段を動かす目的で出さない
- 板の厚さだけを見て「上がりそう」と飛びつかない。板は見せかけの場合があります
- 注文の出し方と値段の決まり方は株の値段の決まり方、短期売買の注意はデイトレードのしくみとリスク、2026年の課徴金の見直しは株の不公正取引のルールが厳しくへ

プレ男軽い気持ちでやると、課徴金の対象になるかもしれないんだね。板の見かけにもだまされないようにしよう
まとめ
- 相場操縦は、相場を人為的に動かして他人を誤認させ、利益を得ようとする行為で、金融商品取引法で禁止
- 例は仮装売買・馴合売買と見せ玉(約定させる気のない注文)
- 取引所は売買審査で監視し、見せ玉や対当売買を注視している
- 個人投資家に159万円の課徴金が命じられた例もある
- 板の見かけだけで判断しない
参考文献
- 日本取引所グループ. 相場操縦規制(2025年12月3日更新). https://www.jpx.co.jp/regulation/preventing/manipulation/index.html (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。