株の不公正取引のルールが厳しく:TOBのインサイダー規制の対象に買われる会社のアドバイザーなどを追加、大量保有報告の違反の課徴金は70倍、他人名義の口座を使った不正は1.5倍、無登録業の罰則は拘禁刑10年に(2026年改正、金融庁)
有価証券の不公正取引の規制の見直しを、金融庁の「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料」(2026年4月)でまとめました(法律は2026年7月15日成立)。①公開買付け(TOB)のインサイダー取引規制の対象者に、買われる側の会社と契約・交渉している人(アドバイザーなど)を追加。②課徴金の見直し:TOBのインサイダー取引の課徴金の水準の引き上げ、大量保有報告制度の違反は現行の70倍、高速取引(HFT)の相場操縦は1日単位で算定。③他人名義の口座を使った不公正取引の課徴金を1.5倍、口座を提供した人への課徴金を新設、調査開始後の協力による減算。④無登録業の罰則を10年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金に引き上げ。⑤登録を取り消された業者の顧客財産を返す管理人制度の創設も。
目次

メル美TOBの前に株を買ってもうける不正のニュースがあったよね。ルールは変わるの?

プレ男2026年の法改正で、インサイダー取引の対象を広げたり、ペナルティを重くしたりするんだって
今回は、有価証券の不公正取引の規制の見直しです。金融庁の「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料」(2026年4月)で確認しました(2026年10月12日閲覧)。この法律は、2026年4月10日に国会に提出され、7月15日に成立しました。
この記事は制度の説明です。特定の株の売買をすすめるものではありません。
なぜ見直すのか
- 金融庁は、不正と考えられるのに今の法令では違反としてとらえられない例や、課徴金(行政上の金銭のペナルティ)の額が低く、抑止の効果が足りない例が出ていることを挙げています
① TOBのインサイダー取引規制の対象を広げる
- 公開買付け(TOB)では、買う側の関係者は広く規制の対象ですが、買われる側の会社の関係者は、その役員・従業員だけが対象でした
- 改正で、買われる側の会社と契約を結んだり交渉したりしている人(例:その会社のアドバイザー)なども対象に加えます(→TOB(公開買付け)とMBOのしくみ、インサイダー取引規制)
② 課徴金の計算を見直す
| 対象 | 見直し(法律案の説明資料) |
|---|---|
| TOBにかかわるインサイダー取引 | 課徴金の水準を引き上げ。「公表前の価格の50%増し」か「公表後2週間の最高値」の高いほうと、買った価格の差額に(これまでは公表後2週間の最高値) |
| 大量保有報告制度の違反 | 課徴金を現行の70倍に(これまでは時価総額の10万分の1) |
| 高速取引(HFT)による相場操縦 | 1円未満で切り捨て(これまでは1万円未満)、1日単位で算定 |
- 大量保有報告制度は、株を5%超持ったときなどに報告するルールです(→大量保有報告書(5%ルール)とは)
③ 他人名義の口座などへの対応
- 他人名義の口座を使うなどして不公正取引をした人への課徴金の水準を1.5倍に引き上げます
- 口座を提供するなど協力した人への課徴金を新しく設けます(水準は違反者の利得相当額の半額)
- 調査が始まったあとでも、協力の度合いに応じて課徴金を減らす制度を入れます(これまでは調査開始前に申告した場合だけ)

プレ男「口座を貸して」と頼まれて貸しただけでも、ペナルティの対象になりうるんだね
④ 無登録業への罰則と調査
- 無登録で金融商品取引業をした場合の罰則を、5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金(または両方)から、10年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金(または両方)に引き上げます
- 無登録業について、証券取引等監視委員会の犯則調査の権限を加えます(→無登録業者の見分け方)
⑤ 業者が退出するときの顧客財産の返還
- 登録を取り消された業者で役員がいなくなる例が出ていることから、顧客の資産を預かる業者について、管理人を置いて顧客財産を返す制度を設けます。投資者保護基金や自主規制機関なども管理人になれるようにします(→証券会社がつぶれたら預けた株はどうなる?)
施行日の注意
- 説明資料では、施行日は改正の項目ごとに定められ、細かい点の多くは政令・内閣府令で決まる予定です。いつから何が変わるかは、金融庁の最新の案内で確かめてください
まとめ
- TOBのインサイダー規制の対象に、買われる側のアドバイザーなどを追加
- 大量保有報告の違反の課徴金は70倍、TOBのインサイダーやHFTの相場操縦の課徴金も見直し
- 他人名義の口座を使った不正は1.5倍、口座を提供した人にも課徴金
- 無登録業の罰則は10年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金に
- 法律は2026年7月15日に成立、施行日は項目ごとに異なる
参考文献
- 金融庁. 金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料(2026年4月). https://www.fsa.go.jp/common/diet/221/02/03.pdf (閲覧日:2026年10月12日)
- 金融庁. 第221回国会における金融庁関連法律案. https://www.fsa.go.jp/common/diet/221/index.html (閲覧日:2026年10月12日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。