TOB(公開買付け)とMBOのしくみ:会社を買うために、期間・価格を公表して株主から株を買い集めるのがTOB。2026年5月1日から、取引所の市場内の買付けでも「30%超」になるならTOBが必要に。経営者が自社を買うMBOには利益相反の問題があり、経産省の指針がある
TOB(公開買付け)とMBO(マネジメント・バイアウト)のしくみを、金融商品取引法27条の2(e-Gov)、金融庁の「令和6年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等に関するパブリックコメントの結果等について」、経済産業省「公正なM&Aの在り方に関する指針」(2019年6月28日)、会社法179条でまとめました。株券等所有割合が30%を超える買付けなどは公開買付けによらなければならず、2026年5月1日からは市場内取引(立会内)も対象になりました(従来は3分の1ルール)。MBOは、経営者が出資して一般株主から株を取得するもので、構造的な利益相反と情報の非対称性があるとして、特別委員会の設置などの公正性担保措置が示されています。議決権の90%以上を持つ特別支配株主は、残りの株主に株式の売渡しを請求できます。

メル美持ってる株の会社に「TOB」がかかったってニュースが! 株価が急に上がったけど、どうすればいいの?

プレ男社長が自分の会社を買う「MBO」っていうのもあるらしいよ
今回は、TOB(公開買付け)とMBOです。金融商品取引法27条の2(e-Gov法令検索)、金融庁「令和6年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等に関するパブリックコメントの結果等について」(令和7年7月4日)と金融庁担当者の解説、経済産業省「公正なM&Aの在り方に関する指針」(2019年6月28日)、会社法179条で確認しました。
この記事はしくみの説明です。TOBに応じるか(応募するか)をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
TOB(公開買付け)とは
- TOB(Take Over Bid、公開買付け)は、ある会社の株を、買付けの期間・価格・株数などを公表して、市場の外で株主から広く買い集める方法です
- 会社の支配権に影響するような大きな買付けを、透明で公正に行うためのルールです
- ふつう、買付価格はその時の株価より高く設定されることが多いので、TOBが発表されると株価が上がることがあります
いつTOBが必要?:30%ルール(2026年5月1日〜)
- 金融商品取引法27条の2は、一定の買付けを「公開買付けによらなければならない」としています。いまの条文では、買付け後の株券等所有割合が30%を超える場合などが対象です
- 改正前は「3分の1を超える」場合(いわゆる3分の1ルール)で、取引所の市場内の取引(立会内)は対象外でした
- 令和6年の法改正で、基準が30%に引き下げられ、市場内取引(立会内)も対象になりました。関係する政令・内閣府令は、一部を除き2026年(令和8年)5月1日から施行されています(金融庁)
- 買付けで増える所有割合が0.5%未満の「僅少買付け」は、一定の条件で対象外です
株主はどうする?
- TOBが始まると、株主は応募する(売る)か、応募しないかを選べます。応募は、公開買付けの代理人の証券会社などを通じて行います
- 対象会社の取締役会は、TOBに賛成するか反対するかの意見を表明します
MBO(マネジメント・バイアウト)とは
経済産業省の指針によると、
- MBOは、「現在の経営者が全部または一部の資金を出資し、事業の継続を前提として一般株主から対象会社の株式を取得すること」です
- MBOでは、買う側(経営者)と売る側(一般株主)の間に、構造的な利益相反と情報の非対称性(経営者のほうが会社の情報をよく知っている)の問題がある、とされています
- そのため指針は、公正さを確保する実務上の対応として、次のようなものを示しています
- 独立した特別委員会の設置
- 第三者評価機関などからの株式価値算定書の取得
- ほかの買収者が提案できる機会の確保(マーケット・チェック)
- マジョリティ・オブ・マイノリティ条件(利害関係のない株主の過半数の応募などを条件にする)の設定
- 指針は、支配株主による従属会社の買収(親会社が上場子会社を完全子会社にするなど)も対象にしています

プレ男社長は会社のことをよく知ってるから、安く買えちゃうかもしれない…だからルールがあるのか
応募しなかったらどうなる?:スクイーズアウト
- TOBのあと、買った側が多くの株を持つと、残った株主から株を買い取って、会社を完全子会社にしたり上場廃止にしたりすることがあります(スクイーズアウト)
- 会社法179条は、会社の総株主の議決権の10分の9(90%)以上を持つ「特別支配株主」が、ほかの株主に株式の売渡しを請求できる制度を定めています
- 上場廃止になると、市場で売れなくなります
気をつけたいこと
- TOBの情報を、公表前に知って売買するのは禁止です(インサイダー取引規制。→インサイダー取引規制)
- 「近くTOBがある銘柄を教える」という勧誘は、情報の入手自体が違法の可能性があるうえ、詐欺の可能性もあります
- 非上場の会社を買って価値を高めるファンドについてはプライベート・エクイティ(PE)ファンドとは、上場のしくみはIPO(新規上場)のしくみ
上場廃止の流れと株主への影響は上場廃止になったら株はどうなる?へ。
まとめ
- TOBは、期間・価格を公表して株主から広く株を買い集める方法
- 2026年5月1日から、所有割合が30%を超える買付けは、市場内取引でもTOBが必要(以前は3分の1ルール)
- MBOは、経営者が自社を買うこと。利益相反と情報の非対称性があるので、特別委員会などの公正性担保措置(経産省の指針)
- 議決権90%以上の特別支配株主は、残りの株主に売渡しを請求できる(会社法179条)
- TOBの情報で公表前に売買するのは禁止
参考文献
- e-Gov法令検索. 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第27条の2. https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 (閲覧日:2026年10月6日)
- 金融庁. 令和6年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等に関するパブリックコメントの結果等について(令和7年7月4日). https://www.fsa.go.jp/news/r7/shouken/20250704/20250704.html (閲覧日:2026年10月6日)
- 新谷亜紀子ほか(金融庁企画市場局企業開示課). 公開買付制度・大量保有報告制度の見直しに係る金融商品取引法およびその関係政府令等の改正等の解説. 金融法務事情 No.2270, 2025. https://www.fsa.go.jp/frtc/kikou/2025/20251125_Houmujijou.pdf (閲覧日:2026年10月6日)
- 経済産業省. 公正なM&Aの在り方に関する指針 ―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―(2019年6月28日). https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/pdf/fairmaguidelines.pdf (閲覧日:2026年10月6日)
- e-Gov法令検索. 会社法(平成十七年法律第八十六号)第179条. https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 (閲覧日:2026年10月6日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。