丸紅の強みとは:鶏肉・肥料などの食料・アグリ、チリの銅、電力、リース・不動産などの総合商社。2026年3月期は純利益5,439億円(+8.1%)。最大のセグメントは不動産事業の統合の評価益などで金融・リース・不動産(1,620億円)
丸紅を、2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日)で分析しました。収益8兆2,658億円(+6.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益5,439億円(+8.1%)、ROE13.6%、持分法による投資損益3,383億円、親会社所有者帰属持分比率41.4%。2026年3月期にセグメントを再編。セグメント別の当期利益は、金融・リース・不動産1,620億円(第一生命ホールディングスとの国内不動産事業の統合に伴う評価益、北米貨車リース事業の売却益など)、金属1,343億円(チリ銅事業の増益)、食料・アグリ815億円(国内鶏肉、米国肥料卸売など)、電力・インフラサービス536億円、エアロスペース・モビリティ478億円、ライフスタイル259億円、エネルギー・化学品232億円(前年度のカタールLNG事業終了に伴う実現益の反動など)。年107.5円の配当、2027年3月期は純利益5,800億円・年115円の予想。住友商事・三井物産・三菱商事・伊藤忠との比較と、見ておくべき数字も。売買をすすめるものではありません。

メル美丸紅って、穀物や食べ物に強い商社だって聞いたことがあるよ

プレ男総合商社はこれで5社目だね。丸紅はどこで一番稼いでいるんだろう
企業分析の連載、49社目は丸紅です。2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日)で確認しました。比較には、この連載の住友商事の強みとはなどで確認した4社の数字を使っています。
この記事は会社のしくみと数字の解説で、丸紅株の売買をすすめるものではありません。目標株価や「買い時」も書きません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
1. ひとことで言うと
食料・アグリ、金属資源、電力、リース・不動産、航空・船舶など、たくさんの事業に投資して稼ぐ総合商社
| 項目(IFRS・連結) | 2026年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 収益 | 8兆2,658億円 | +6.1% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 5,439億円 | +8.1% |
| ROE(親会社株主帰属持分当期利益率) | 13.6% | 前期 14.2% |
| 持分法による投資損益 | 3,383億円 | 前期 2,929億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 41.4% | 前期 39.4% |
| 配当 | 年107.5円(配当性向32.5%) | 前期 95円 |
- 2026年3月期から、セグメントを16から10に再編しました(例:食料第一・食料第二・アグリ事業 →「食料・アグリ」)
2. 何で稼いでいるか
セグメント別の親会社の所有者に帰属する当期利益(2026年3月期)です。
| セグメント | 当期利益 | 前期 | 主な増減内容(決算短信の記載から) |
|---|---|---|---|
| 金融・リース・不動産 | 1,620億円 | 591億円 | 第一生命ホールディングスとの国内不動産事業の統合に伴う評価益、北米貨車リース事業の売却益 |
| 金属 | 1,343億円 | 1,235億円 | チリ銅事業の増益、豪州原料炭・鉄鉱石は減益 |
| 食料・アグリ | 815億円 | 689億円 | 国内鶏肉、海外インスタントコーヒー、米国肥料卸売の増益 |
| 電力・インフラサービス | 536億円 | 611億円 | 電力卸売・小売の減益、インドネシア地熱発電の減損 |
| エアロスペース・モビリティ | 478億円 | 514億円 | 船舶保有運航の減益 |
| ライフスタイル | 259億円 | 295億円 | 豪州チップ、パルプ事業の減益 |
| エネルギー・化学品 | 232億円 | 862億円 | 前年度のカタールLNG事業終了に伴う実現益の反動、石油・ガス開発の評価損 |
| 次世代事業開発 | 196億円 | 47億円 | 電子部品関連事業の取得に伴う負ののれん発生益 |
| 情報ソリューション | 54億円 | 35億円 | IT・デジタルソリューションの増益 |
- 2026年3月期の最大は金融・リース・不動産ですが、不動産事業の統合の評価益や事業の売却益など、一度きりの利益が多く含まれています
- 毎年の稼ぎとしては、金属と食料・アグリが大きな柱です
3. 強み
会社の資料で確かめられる事実から、強みと考えられる点を挙げます。
① 食料・アグリ
- 国内の鶏肉、海外のインスタントコーヒーの製造・販売、米国の肥料卸売などで、セグメント利益は815億円(+18%)
② チリの銅
- 商品価格の上昇で、チリの銅事業が増益になりました
③ 事業の入れかえ
- 国内の不動産事業の統合、北米の貨車リース事業の売却、電子部品関連事業の取得など、事業の入れかえを進めています
4. 弱み・リスク
① 資源・商品価格
- 豪州の原料炭・鉄鉱石は価格下落で減益、パルプも市況が悪化しました
② 一度きりの利益の反動
- エネルギー・化学品は、前年度のカタールLNG事業の終了に伴う実現益の反動で、630億円の減益でした。2026年3月期の金融・リース・不動産の評価益・売却益も、翌年以降は同じようには出ない可能性があります
③ 減損・評価損
- インドネシアの地熱発電事業の減損損失、石油・ガス開発事業の評価損を計上しています
5. ライバルとの比較
総合商社5社を比べます(すべてIFRS・2026年3月期)。
| 丸紅 | 住友商事 | 三井物産 | 三菱商事 | 伊藤忠商事 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 親会社に帰属する当期利益 | 5,439億円(+8.1%) | 6,003億円(+6.8%) | 8,340億円(−7.4%) | 8,005億円(−15.8%) | 9,003億円(+2.3%) |
| ROE | 13.6% | 12.9% | 10.2% | 8.5% | 14.6% |
| 2027年3月期の純利益の見通し | 5,800億円 | 6,300億円 | 9,200億円 | 1兆1,000億円 | 9,500億円 |
- 利益の規模は5社で最も小さい一方、ROEは伊藤忠に次ぐ水準です(→住友商事の強みとは、三井物産の強みとは、伊藤忠商事の強みとは)
6. 投資プレイヤー的チェックポイント
丸紅の決算を見るときに、毎回確かめておきたい数字です(売買の判断基準ではありません)。
| 見ておく数字 | 2026年3月期 | どこに書いてある |
|---|---|---|
| セグメント別の当期利益と増減内容 | 金融・リース・不動産1,620億円など | 決算短信(経営成績) |
| 持分法による投資損益 | 3,383億円 | 決算短信のサマリー |
| 会社の業績予想 | 2027年3月期 純利益5,800億円 | 決算短信のサマリー |
| セグメント別の予想 | 金属1,530億円、食料・アグリ880億円など | 決算短信 |
| 配当 | 年107.5円、2027年3月期予想115円 | 決算短信 |
- 商社は、評価益・売却益・減損などの一度きりの損益が大きく、増減内容の説明を読むことが大切です
- 2027年3月期からは、電力・インフラサービスの一部をエネルギー・化学品へ移すなど、セグメントの中身がまた変わります

メル美今年いちばん稼いだのは金融・リース・不動産だけど、事業の統合の評価益が大きいのね。毎年の稼ぎは金属や食料を見るといいんだ
まとめ
- 丸紅は、食料・アグリ、金属、電力、リース・不動産などの総合商社
- 2026年3月期は純利益5,439億円(+8.1%)、ROE13.6%
- 最大の金融・リース・不動産(1,620億円)は評価益・売却益を含む
- 毎年の柱は金属(チリ銅)と食料・アグリ
- 課題は資源価格と一度きりの損益の反動
参考文献
- 丸紅. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.marubeni.com/jp/news/2026/release/data/202605012-1J.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 住友商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.sumitomocorp.com/-/media/Files/hq/ir/report/summary/2025/2603Tanshin.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 三井物産. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.mitsui.com/jp/ja/ir/library/meeting/pdf/ja_263_4q_ta.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
- 三菱商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結). https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/earnings/pdf/202605j.pdf (閲覧日:2026年10月7日)
- 伊藤忠商事. 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)(2026年5月1日). https://www.itochu.co.jp/ja/ir/financial_statements/2026/__icsFiles/afieldfile/2026/05/01/26_ended_01.pdf (閲覧日:2026年10月10日)
この記事は投資についての一般的な情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品の売買をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。